Yahoo!ニュース

競馬ゲーム「ウイニングポスト10」 「ドバイWC」予想でまさかの優勝的中 「ウマ娘」ブーム生かせるか

河村鳴紘サブカル専門ライター
ドバイワールドカップを優勝したウシュバテソーロ(写真:ロイター/アフロ)

 競馬の情報サービス「JRA-VAN」との企画で、競馬ゲームの「ウイニングポスト10」(30日発売、PC、PS5、PS4、ニンテンドースイッチ)を使って、世界的レースの一つ「ドバイワールドカップ(ドバイWC)」の予想動画をレース前に配信したところ、ウシュバテソーロの1着を見事に当てました。

◇現実がゲームの世界を再現か

 ゲームを使った予想動画では、ウシュバテソーロのゴール前の強襲はもちろん、世界最高賞金額(13億円)のレース「サウジカップ」を勝った「逃げ馬」パンサラッサの失速までもそっくり。さすがに2着と3着の馬は的中しなかったものの、ウシュバテソーロは同レースの本命ではなかったことから、1着の予想を見事当てたことに驚いたのでしょう。同時にゲームのレースシーンの迫力があり、競馬ゲームの進歩が良くわかります。

 ちなみに「ドバイWC」の同日、「ドバイ・シーマクラシック」(G1)も開かれ、昨年の年度代表馬のイクイノックスが圧勝し、日本馬がドバイで大暴れしたわけです。SNSではそのことを「まるでウイニングポストの世界」と表現する人もいました。

「ウイニングポスト10」に登場するイクイノックス
「ウイニングポスト10」に登場するイクイノックス

 なぜかというと、「ウイニングポスト」シリーズの特徴の一つは、欧米はもちろん、ドバイなど多くの海外レースに出走できることです。ゲームが進むと、プレーヤーが所有する競走馬を海外へ積極的に出走させて、海外G1を取りまくるわけでして楽しいのですが、「現実味がない」と突っ込みもできます(そんなこといったらゲームの意味が……とは思うのですが)。ところが、現実がゲームの世界を再現した状態になっており、まさに「事実は小説より奇なり」です。

 シリーズ第1弾の発売から30年が経過した「ウイニングポスト」シリーズは、プレーヤーが馬主(兼生産者)になり、競馬の関係者とかかわりながら、成功を目指すゲームです。最新作「10」では、馬の個性があって、ハードな出走スケジュールでもよく走る馬、G1の大舞台で勝負弱さがある馬といった特徴も再現。そしてハイセイコーとタケホープの対決から始まり、シンボリルドルフとミスターシービー、メジロマックイーンとトウカイテイオー、ディープインパクトも登場し、アーモンドアイやコントレイルなど近年の名馬も走ります。

 なお「10」は体験版が配信されています。こちらをプレーして、本編を購入して遊ぶと、資金が上乗せされた上、貴重なアイテムがもらえます。要するに体験版をプレーすると、お得になる仕組みです。

 なお余談ですが今作でも、シリーズでおなじみの美女・有馬桜子も登場します。シリーズ初代をプレーしたときは、私よりもお姉さんでしたが、今では彼女が年下というわけで、時代の流れを感じます。

「ウイニングポスト10」に登場するおなじみの美女キャラ・有馬桜子
「ウイニングポスト10」に登場するおなじみの美女キャラ・有馬桜子

 話を元に戻します。現在は競馬の人気が出ており、競馬ゲームにとって好機です。もともと競馬人気が戻ったところに加え、2年前に名馬を美少女化した「ウマ娘」がヒット。引退したナイスネイチャに注目が集まるなど、競馬の新規ファンが増えていると報じられました。

 「ウマ娘」で実際の競馬に興味を持った人たちが、競馬の歴史を振り返って、競馬の知識を蓄積しやすいのが、「ウイニングポスト」シリーズです。

 競馬の知識はいろいろありますが、その中の一つに、血統があります。とはいえ、ネアルコやナスルーラ、ノーザンダンサーなど固有名詞の連発で(馬の名前だから当たり前ですが)、初心者にはなかなか理解しづらい話であるのも確か。ただこれを学ぶと、競馬の深み、歴史がわかるポイントでもあるのです。もちろん自分で勉強していくのも良いのですが、ゲームで楽しく学ぶほうが効率が良いといえます。

【関連】3大始祖と世界の血統(JRA)

 「ウマ娘」効果で、競馬ファンが増えただけで終わらせるのは、惜しいと思うのです。せっかくならば、いろいろな競馬ゲームが出て、盛り上がるのが理想の流れでしょう。競馬ゲームと言えば、昔のゲームファンなら「ウイニングポスト」「ダービースタリオン」の名が出るでしょうが、「ウマ娘」を含めてゲームのタイプ・テイストが違うのもポイント。どんな人気ゲームでも、人によっては見た目やフィーリングが合わないため、ゲームのバリエーションがあるのは重要です。

 新型コロナウイルスの巣ごもりが幕を下ろしつつあり、同時に急速な物価高もあるため、娯楽のゲームビジネスには逆風と言えますが、動きがあってほしいものです。1990年代の競馬ブームの時は、いろいろな競馬ゲームがありましたが、同じように競馬ゲームでにぎわってほしいものです。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

河村鳴紘の最近の記事