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最多出火原因は放火…出火原因の内訳などをさぐる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 火災は財産だけでなく人命まで根こそぎ奪いうる(写真:アフロ)

2016年の出火原因は放火が最多

短時間に財産や人の命を根こそぎ奪いかねない重大な災害の一つ、出火。その実情を消防庁の公開資料「火災の状況」の内容から確認していく。

最初に示すのは年単位の最新データにあたる2016年分の出火原因の内訳。最大値を示すのは放火で3586件、ついでたばこの3483件となった。

↑ 出火原因の内訳(2016年、火災件数)
↑ 出火原因の内訳(2016年、火災件数)

後述するが放火は年々その件数、全体に対する比率を減らしつつあるものの、今なお最大の件数にある。単純計算だが毎日10件ほど、放火による火災が発生している計算になる。さらに「放火の疑い」まで含めると全体の1割強・5814件にまで達する。

次いでたばこ。こちらは3500件ほど。たばこの喫煙率の漸減もあり、件数は年々漸減しているが、上位陣にあることに違いは無い。さらにこんろ、放火の疑い、たき木と火災原因としてはよく見聞きする原因が続く。

これを過去5年間について、動向把握をするため、各年の全体件数に占める比率と、単純に件数の積み上げとしてのグラフを生成したのが次の図。

↑ 出火原因の内訳(火災件数比率)(2016年時点の上位10位でラインアップ)
↑ 出火原因の内訳(火災件数比率)(2016年時点の上位10位でラインアップ)
↑ 出火原因の内訳(火災件数)(2016年時点の上位10位でラインアップ)
↑ 出火原因の内訳(火災件数)(2016年時点の上位10位でラインアップ)

件数比率で見ると放火は多少の上下を繰り返しながらも、大よそ減少中。一方たき木などのように振れ幅が大きい出火原因も多く、全体数としてはやや大きな上下を繰り返しながら漸減の傾向にある。

また「その他」項目が3割を維持していることからも分かる通り、出火原因そのものは多様化しており、最初のグラフで示した細分化の項目一覧にすら収まらないような事案が多々あることがうかがえる。

出火場所と犠牲者

出火原因は放火とたばこの不始末が多いことは判明した。それではどのような場所で火災は多く発生しているのだろうか。出火場所の建物種類別に見た件数は次の通りで、一般住宅(いわゆる戸建)が最上位についている。その数、およそ7500件/年

↑ 建物用途別建物火災件数(2016年、上位)
↑ 建物用途別建物火災件数(2016年、上位)

次いで共同住宅が3373件と、住宅火災が多分を占めていることが分かる。「特定複合用途」とは2つ以上の用途に用いられる建造物のことで、そのうちの用途の一つが劇場や集会場、飲食店、病院、旅館、養護学校など特定の用途に該当するもの。例えば1階が飲食店で2階以上がオフィスのようなビルを指す(特定用途に該当しない複数の用途に用いられるのは「非特定複合用途」)。大規模火災などが報じられる場合が多いため、工場や作業場の件数も多数に登るように思えるが、実際には1614件と順位の上では4番目に留まっている。

最後は火災のうち住宅で発生したものに関して、その火災で命を落とした人の年齢階層区分別割合(年齢不詳は除いて計算している)。

↑ 住宅火災死者(放火自殺者等を除く)における年齢区分別割合
↑ 住宅火災死者(放火自殺者等を除く)における年齢区分別割合

元々高齢者の数・全人口比は増加する傾向にあるのだが、それでもなお人口構成比以上に高齢者の割合が大きく、さらに増加中なのが分かる。これは運動能力が低下しているなどで、逃げ遅れたり着衣が着火してしまうことを起因としていることに加え、高齢者の一人暮らし、寝たきりあるいはそれに近い状態の人が増加していること、そして高齢者の中でもより歳を取った人の数・割合が増加しているのも原因として考えられる。

火災はすべての宝物を一晩で奪う、非常に影響力の大きい災害。火がつきやすいものを外に置かないなどの配慮はもちろんだが、日常生活でも火の用心は欠かせない。また、お年寄りがいる世帯では寝たばこをしないよう心掛ける・うながすなど、さまざまなルール作り、万一の際の備えが必要。

火そのものは非常に便利なものだが、同時に大敵ともなりうる諸刃の剣。そのことを忘れないようにしよう。

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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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