100年以上にわたる初婚年齢の推移をさぐる
人口の漸減状況や結婚観の移り変わり、男女の世帯内での立ち位置の変容、平均的な世帯における子供数の変化に伴い、注目を集めている結婚関連の実情の中でも、特に注目されている初婚年齢。その推移を厚生労働省の人口動態統計から確認する。
次に示すのは取得可能な最古の値である1908年から直近分の2017年に至るまでの、平均初婚年齢。併せて戦前と戦後それぞれに限定したグラフも作成する。
戦中から戦後の一時期は資料不足で欠けているのが残念だが、この空白期間においては、戦中は戦地におもむく人たちの「見合い婚」や「取り決め婚」(親同士の話し合いで結婚相手を決める婚姻)によって、戦後は平和を謳歌する人たちの解放感などで、平均初婚年齢は引き下げられたと推測できる。
戦前においては、1930年代前半まではほぼ横ばいで推移し、それ以降はじわじわと上昇。横ばいで推移している時期は、江戸時代までの慣習(適齢期になると自分の立ち位置に従った伝統などに基づき結婚することが常識とされていた)が残っていたからで、多くが「見合い婚」か「取り決め婚」。
そして経済・文化の発展や西洋化とともにこの慣習も薄れ、結果として初婚年齢も上昇を見せ始める。結婚関連の近代化が確認できるのは、1930年ぐらいからと見てもよいかもしれない。
戦後では少しずつ晩婚化が進んでいる。第二次ベビーブーム期に多少の若返り現象が見られるが、その後再び晩婚化。男性に限れば前世紀末に第三次ベビーブーム的な動き(晩婚化の足踏み現象)が生じているが、21世紀に入ってからは再び急速に晩婚化が進んでいる。
日本の平均初婚年齢は現時点ではすでに女性だけでなく男性においても、少なくとも記録に残っている限りでは、未到の領域に突入することになる。果たしてどのような社会構造の変化が生じるのか。想像することは難しい。
もっともこの数年は男女とも横ばいの値を計上している。現状ではこれが上限なのかもしれない。
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