米国ネブラスカ大学、ホロコースト生存者と退役軍人の経験を後世に伝える「記憶のデジタル化」
ネブラスカ州でのホロコースト教育の教材としても活用
約600万人のユダヤ人が殺害されたホロコーストから約80年が経ち、当時の生存者たちも高齢化が進んでいき、当時のことを知っている人も少なくなってきており、近い将来にはゼロになる。ホロコースト生存者は現在、世界で約24万人いる。彼らは高齢にもかかわらず、ホロコーストの悲惨な歴史を伝えようと博物館や学校などで語り部として講演を行っている。当時の記憶や経験を後世に伝えようとしてホロコースト生存者らの証言を動画や3Dなどで記録して保存している、いわゆる「ホロコーストの記憶のデジタル化」が積極的に進められている。
現在、世界中の多くのホロコースト博物館、大学、ユダヤ機関がホロコースト生存者らの証言をデジタル化して後世に伝えようとしている。デジタル化された証言や動画は欧米やイスラエルではホロコースト教育の教材としても活用されている。
アメリカのネブラスカ大学では、ネブラスカ州に住んでいるホロコースト生存者と収容所を解放したアメリカ軍兵士の記憶と経験をデジタル化して伝えている「ネブラスカ 人道の物語:ホロコースト生存者と第二次大戦の退役軍人(Nebraska Stories of Humanity: Holocaust Survivors and World War II Veterans)」というプロジェクトで、オンラインでホロコーストの記憶を伝えている。
ネブラスカ大学では、ホロコースト生存者らの貴重な当時の手紙やメモ、写真、遺品などもデジタル化して世界中に発信している。ネブラスカ大学ではネブラスカ州でホロコースト教育の法案が通過した直後から、このプロジェクトを開始してネブラスカ州でのホロコースト教育の教材としても使用されている。
▼ネブラスカ大学のホロコーストプロジェクトにも登場している生存者で上の写真のビー・カープ氏(1932年ドイツ生まれ)の講演