「なぜ欲しいのかワケがわからない」文在寅の原潜計画に米国から疑念
米国政府は最近、韓国から原子力潜水艦で使用する核燃料の供給を打診されたが、これを受け入れなかったとされている。
韓国メディアが6日、米外交筋の話として伝えたところでは、青瓦台(大統領府)の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長が先月中旬に訪米。今後、韓国が原子力潜水艦を開発する意向であることを説明した上で、米国から核燃料を購入したいとの意向を伝えたところ、米側は自国の核不拡散の原則を理由に難色を示したという。
韓国では近年、原子力潜水艦を建造すべしとする機運が高まっている。北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発に力を入れており、これを搭載した潜水艦が実戦配備された場合、常時監視と即応体制の強化のため、長期間にわたり水中活動が可能な原潜が必要である、との理屈からだ。
文在寅大統領も大統領選挙の候補者だったとき、原潜の必要性に言及している。
しかし、米国内にはこうした韓国の動きを怪しむ向きがある。米ランド研究所の上級防衛アナリストであるブルース・ベネット氏は米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、「北朝鮮への対応を考えた場合、地理的な観点から言って、韓国の潜水艦が遠洋に出ていく状況は多くはないだろう」としながら、韓国海軍が原子力潜水艦の導入を主張し続ける理由は、実用的な理由よりは技術力を誇示するための象徴性にあるのではないか」と語ったという。
同氏はまた、「原潜が核兵器を搭載しないならば、効率的な『戦略資産』にもなり得ない」と指摘したとのことだ。
米ミドルベリー国際問題研究所のジョシュア・ポラック上級研究員もRFAに対し、「韓国はすでに北朝鮮全域を攻撃できるミサイル戦力を備えており、海上から発射できるミサイルも多数保有している。それなのに、どのような理由から韓国が原潜を欲しがるのか、その背景に疑問を抱かずにはいられない」と語っている。
これらはいずれも民間の専門家の意見ではあるが、米国政府の中にも同様の疑問があるということだろう。
米国にトランプ政権が、韓国に文在寅政権が誕生して以降、米韓のこうした「ズレ」は数多く表面化してきた。特に原潜の件に関しては、北朝鮮に融和的過ぎるとの批判を受けてきた文在寅政権が、珍しく「北の脅威」を強調して軍備増強を希望しているにも関わらず、米国側がそっぽを向いているのだ。
そもそも、原潜を欲しがる文在寅政権の真意については、筆者もかなりの「怪しさ」を感じている。
(参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は)
しかしその良し悪しについては別の機会に語るとして、本当に原潜が欲しいならば文在寅政権はまず、米国の政治家や軍人、専門家らを時間をかけて説得し、韓国の方針を支持する世論を作らねばならなかったはずだ。
それをしない文在寅政権は、一種の「サボリ体質」を内包していると言えるかもしれない。そしてそれは、理念先行で現実と格闘しようとしない、対北関係や対日関係にも表れているように思われる。