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IL-23阻害薬って何? 乾癬などの皮膚の病気に効く新薬を解説!

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
(写真:アフロ)

【IL-23ってどんなもの?】

IL-23は私たちの体の中にある特別なタンパク質の一つです。でも時々、このIL-23の働きが強すぎて、体に炎症を起こしてしまうことがあるんです。

IL-23が関係している病気には、皮膚の病気の乾癬(かんせん)や乾癬性関節炎、腸の病気のクローン病や潰瘍性大腸炎などがあります。乾癬は、皮膚が赤くなってかゆみのあるブツブツができる病気です。

【IL-23阻害薬の働き】

IL-23は、私たちの体の中で、他のタンパク質と協力して炎症を引き起こしています。そこで開発されたのが、IL-23の悪い働きを抑える「IL-23阻害薬」というお薬です。

IL-23阻害薬は、IL-23を直接ブロックすることで炎症を抑えます。今までも炎症を抑えるお薬はありましたが、IL-23阻害薬は効果が高く、長く効くと期待されているんです。

実際、乾癬やクローン病、潰瘍性大腸炎の患者さんにIL-23阻害薬を使ったところ、症状が良くなったという報告がたくさんあります。患者さんの生活の質を上げることにも役立っているようです。

でもIL-23阻害薬が効かない病気もあります。IL-23が悪さをする時期や場所、方法は病気によって違うからです。だから病気に合わせて、最適な治療法を見つける必要があります。

【IL-23阻害薬の可能性と課題】

IL-23阻害薬は乾癬などの皮膚の病気だけでなく、関節や腸の病気の治療にも使われ始めています。炎症を抑える新しい方法として、多くの患者さんに希望を与えてくれる大切なお薬だと言えます。

しかし、まだ解決しなければいけない課題もあります。IL-23がどのようにして病気を引き起こすのか、もっと詳しく調べる必要があります。そうすれば、それぞれの病気に合った最適な治療法が見つかるはずです。

これからもIL-23についての研究が進んでいけば、もっとたくさんの病気が治せるようになるかもしれません。IL-23阻害薬に期待したいです。

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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