公立図書館の閉館時間はじわりと伸びている
読者好きにとって図書館は楽園的な存在だが、平日の閉館時間が早いと利用するのが難しくなる。図書館側でも利用者の需要を踏まえ、少しずつ閉館時間を遅くする傾向が見受けられる。その実情を公立図書館に限った話ではあるが、文部科学省の社会教育調査の公開データから確認していく。
次に示すのは公開データから作成した、公立図書館の閉館時間別の図書館数の動向グラフ。もちろん開館時間もまた図書館別に異なるが、人口の多分を占める就業者には何時まで開館しているかが大きな問題となることから、図書館の利用されやすさを判断する指針の一つとして、閉館時間を抽出精査する。
公立図書館数全体数も年度毎に変化を示しているが、それを差し引いても、17時台、あるいはそれより前に閉館してしまう図書館は漸減し、それより後に閉館する図書館が増えているのが分かる。また21時以降の閉館図書館も相当数に登っている。例えばグラフでは一つにまとめてしまった21時以降閉館部分の詳細データによると、直近の2010年度では、閉館が22時台の図書館数は20館となっている。
これを各年度における図書館数全体に占めるシェアを算出した結果が次のグラフ。明らかに閉館時間が夜遅くにシフトしている実態が確認できる。
18時より前に閉館してしまう図書館は、1998年度時点では5割近かったが、2010年度では3割を切っている。また19時以降の閉館図書館は1998年度は2割ほどだったのが、2010年度では4割に近づいている。それだけ図書館が夜遅くまで開館している、夜半の来館者にも対応する姿勢を示していることになる。就業から帰りがけに図書館に立ち寄りたい人にはありがたい話ではある。
閉館時間が遅くなれば、より多くの人が利用機会を得られるようになる。これにより文化的な憩いの場としての図書館の立ち位置がより重要性を増しているとすれば、喜ばしい話に違いない。
それと共に、状況の維持、さらなる改善のため、より多くの関係者の地位確保と、リソース投入が望まれるところではある。
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