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『ウルトラマンデッカー』ヒロインに弘中アナ似の村山優香「悔しい思いばかりしても諦めないで良かった」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
(C)円谷プロ (C)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京

『シン・ウルトラマン』が大ヒットして話題を呼ぶ中、新番組『ウルトラマンデッカー』がスタートする。怪獣災害に立ち向かうエキスパートチームの女性隊員役でヒロインを務めるのは村山優香。弘中綾香アナに似てると注目された19歳で、小学生で芸能界に入って以来、初の大役となる。アクションも含めた取り組みと素顔について聞いた。

子どもなりに「チャンスは逃したくない」と

――小学生の頃から芸能活動をしていたんですよね?

村山 小5のときにスカウトしていただきました。私は茨城出身で、母と東京に遊びに来たとき、ベタに原宿で声を掛けられて(笑)。

――自分でも芸能界に興味はあって?

村山 全然なかったです。ただの田舎の真っ黒な女の子だったので(笑)、芸能界は別世界だと思っていました。スカウトされてから「あんなにキラキラした世界に入れるチャンスは逃したくない」と小学生なりに考えて、夢がガラッと変わったんです。それまでは「ケーキ屋さんになりたい」と言っていたのが(笑)、女優を目指すようになりました。

――学校では人前に出るのは好きだったんですか?

村山 小さい頃からずっと、人前に出るのは嫌いでした。授業で前に出て発表とかすると、小声で震えて、顔が真っ赤になって汗をかいている感じだったので。

――じゃあ、本当にガラッと変わったんですね。最初は茨城から仕事に通っていたんですか?

村山 小学生の間は、高速バスに乗って1人で東京に来ていました。今思うと、子どもながらに頑張っていたなと(笑)。中学生になるとき、母と一緒に上京しました。

泣いてトイレに駆け込んだこともあります

――現在19歳で『ウルトラマンデッカー』のヒロイン・キリノイチカ役に選ばれましたが、これまではオーディションなどで、悔しい思いをしたこともありました?

村山 ずっと悔しい思いばかりでした。最初はオーディションを受けてはすぐ落ちて、高校に入ったくらいから最後の2人まで残ったとか、お仕事が決まることもありましたけど、そこから上に行けたわけでもなくて。「私はダメなのかな。このまま続けて大丈夫かな」と思っていました。

――ヘコんだこともあったと。

村山 レッスンでも小学生のときから、怖いお芝居の先生に「それじゃダメ。もう帰れ!」とかビシバシ言われて、泣いてトイレに駆け込んだり、悩んだりしていました。

――イチカのように「諦めなければ、絶対!!!」と思ったりも?

村山 『ウルトラマンデッカー』が決まって、「諦めないで良かった」と思いました。続けていれば、こういう大きな作品に関われることもあるんだと、実感しています。

――『あざとくて何が悪いの?』の再現ドラマでの、弘中綾香アナ役も話題になりました。

村山 私は弘中アナさんに似てると言われていて、テレビ局の方がSNSで見つけてくれて、オファーをいただきました。

――撮影のために髪を切ったとか。

村山 もともと短めでしたけど、弘中アナさんの写真とかを見て調べて、寄せるためにもう少し切ったほうがいいなと思って。あざとさの研究もしました(笑)。

オーディションでは練習しすぎで声がカスカスに

――『ウルトラマンデッカー』のオーディションでは、特撮ならではのこともしたんですか?

村山 お芝居の他に「ちょっとしたアクションをやってもらいます」と言われていて、銃を構えたり受け身を取ったり、乗り物の操縦をしました。私はアクションはやったことがなくて、自信はなかったんですけど、「やるしかない!」という強い気持ちや必死さは伝わったかなと思います。

――手応えはあったわけですね。

村山 私、前日に大きな声でお芝居の練習をしすぎて、朝起きたら声がカスカスになっちゃっていたんです。「終わった……」と思いながら頑張ったんですけど、やっぱり声は出なくて。「ダメだったな」と落ち込んで帰って、結果を待っていたら受かったと聞いて、「こんな奇跡ある?」と思いました。

――それにしても、声が嗄れるほど練習したんですね。

村山 気合いは入っていました。母に掛け合いを手伝ってもらって練習していたら、声が大きすぎて、中2の弟が「何か恥ずかしい」って他の部屋に行っちゃって(笑)。「夢を諦めない!」みたいな台詞で、弟はたぶん初めて必死な私を見たんでしょうね。

――ヒロインに決まったと発表されて、反響は大きかったですか?

村山 本当にたくさん連絡が来ました。LINEもめちゃくちゃ来ましたし、久しぶりの人から電話も掛かってきて。ずっと応援してくださっているファンの方からも、「今まで頑張ってきて良かったね」と温かい言葉をいただきました。

100円ショップで買ったおもちゃの銃で練習しました

――ウルトラマンシリーズには、もともと馴染みはあったんですか?

村山 正直、観てはいなかったです。でも、すごく歴史のある作品なので、もちろん知ってはいました。写真を撮るときに、スペシウム光線のポーズを取ったこともあります。

――改めて過去作を観たりは?

村山 観ましたし、最近はオフの日にウルトラマンのイベントに行ったりもしています。

――お気に入りの怪獣はいますか?

村山 ブースカがかわいすぎて本当に好きです。ピグモンも好きで、洗顔用のヘアバンドをウルトラマンのオフィシャルショップで買いました(笑)。

――『ウルトラマンデッカー』の撮影には、いつから入ったんですか?

村山 去年の12月ですね。

――クランクインするまでに、準備したことはありました?

村山 イチカ役に決まってすぐ、100円ショップに行って、おもちゃの銃を買いました(笑)。アクションの経験がなかったので、少しでも慣れておきたくて、鏡の前で構えてカッコよく見えるように練習したんです。現場でプロの方に教えていただいたら、全然違う感じでしたけど(笑)、気持ちは入れておきました。

隊員服を着るとシャキッとします

――隊員服を着ると気持ちが変わるところもありますか?

村山 だいぶ変わります。撮影前は私服でボケーッとしていたのが(笑)、着替えるとシャキッとなるんですよね。目や表情から自然と変わって、気持ちも全然違います。

――最初からフィットする感じでした?

村山 鏡で見て、イケてると思いました(笑)。自分で言っちゃいますけど、意外と似合うなと。すごくカッコいい衣装ですからね。着るとヒロインに選んでいただいた実感も湧いて、自撮りしました(笑)。

――イチカは地上攻撃担当ということですが、どんな攻撃をするんですか?

村山 銃を撃って戦います。構えて走って、ほとんどずっと撃っています。

――そういうシーンは特撮ならではですよね。

村山 その場にいない怪獣に対して、お芝居するのは本当に難しいです。想像力を働かせるのと、過去作を観てイメージしたりしました。

アザだらけになっても痛みは感じません

――イチカはスポーツウーマンという設定です。

村山 私はスポーツはまったく経験ないですけど、体を動かすのは大好きです。お仕事をしていて部活には入ってなかったのに、体育委員になったり、体育の授業は全力でやったり、1人で張り切る感じでした(笑)。

――体育祭も楽しみだったり?

村山 必ずリレーの選手になって、人より多くの種目に出ていましたね。

――では、走るシーンも苦ではなくて?

村山 そうですね。走るのは気持ちいいくらいです。

――爆破シーンもあるんですか?

村山 あります。ふっ飛ばされたり、階段の上から下に転げ落ちたり。最初は「大丈夫かな」と思いましたけど、不安を持っていたら余計に体が動かなくなるので、すぐ忘れました。とりあえず、やってみる。集中していて緊張もあるので、痛みは全然感じません。家に帰ると脚がアザだらけだったりしますけど、どこでできたのか、まったく覚えていないんです。

夢に向かう気持ちはわかって熱くなります

――イチカはキャラクター的には演じやすい役ですか?

村山 自分と似ているので、寄せにいくというより、足りない部分を取り入れる作業をしています。

――似ているのは、明るくて前向きなところ?

村山 そうですね。夢に向かっている部分は、気持ちがすごくわかります。私は普段はボーッとしていますけど(笑)、どんなお仕事でも現場に行ってスイッチが入ると、本当に熱くなります。

――口調とか仕草で、普段と変えている部分はありますか?

村山 イチカのほうがハキハキしています。私のしゃべり方はのっそりしているので(笑)、普段から役柄に合わせてハキハキ話すように意識しています。あと、イチカはちょっぴり天然なんですけど、私は天然ではないと思っていて。でも、周りからは「いや、天然だよ」と言われます(笑)。

――それは天然あるあるじゃないですか(笑)。

村山 自分では普通だと思って話したことが、人が聞いたらおかしいみたいで「何それ?」みたいに笑われることはよくあります(笑)。具体的には覚えていませんけど、真面目に言ったはずなのに……という。

元気で明るいけど悩む部分も表現しないと

――撮影は順調に進んでいますか?

村山 順調です。特に悩むことはありません。監督からは最初に「イチカの一生懸命さがちゃんと出ればいいから」と言っていただいて。あとは、元気で明るいけど悩んだり考えていることもあるから、そこをうまく表現してほしいと言われています。

――1話では、イチカたち3人がGUTS-SELECTに入る前の話が描かれているそうで。

村山 そうなんです。撮影初日は3人とも台詞がひと言もなくて、ただ必死に訓練するシーンを撮りました。すごく気持ちが入って「これから頑張っていくぞ」という想いを持てたので、最初があのシーンで良かったです。

――体力的には大変だったでしょうけど。

村山 普段使わない筋肉を使ったので、筋肉痛になりました。太もも、ふくらはぎ、お尻……。ほとんど体じゅうですね(笑)。今は慣れてきて、痛くなくなりました。

――撮影は朝が早いとか。

村山 4時とか5時起きですね。でも、もともと朝は強いほうだし、この作品に入っている嬉しさのほうが勝って、眠いはずなのにシャキッとします。全然苦ではないですね。

役に「しっかりしろ!」と言われてる感じです

――女優として学ぶことも多いですか?

村山 多いですね。他の方たちのお芝居を見て「今のいいな」と思ったら、こっそり携帯にメモして、自分も取り入れるようにしています。

――撮影の空き時間はどうしているんですか?

村山 主人公のカナタ役の松本大輝くん、ソウマ役の大地伸永くんと3人で、他愛ないおしゃべりをしています。役について話すこともありますけど、どこの何がおいしかったとか、そういう話題が多くて(笑)。それで撮影に入ったら、シャキッと切り替えます。

――今、演技的に課題にしていることはないですか?

村山 慣れてきた今こそ、一生懸命さを忘れないようにしています。イチカが夢に向かう気持ちはどんどん強くなって、「絶対に仲間たちを助けるんだ」という想いが出てくるので、たぶん目つきから何から自然に変わっていると思います。

――優香さん自身、撮影が始まった当初と変わってきたところも?

村山 ありますね。挫けそうになったときとか、イチカに「しっかりしろ!」と言われている感じがするんです。普段から悩んだときにイチカを思い出して、見習って助けられています。

洋服を買うのがストレス発散で試着は必ずします

――今年は10代最後の夏ですが、仕事以外にやりたいことはありますか?

村山 何だろうな? 去年の夏はプールに行ったり、普通の生活をしていましたけど、ガラッと変わりました。10代の最後に素敵な作品に出会えたので、たくさんお仕事をしていきたい気持ちでいっぱいです。

――普段のオフはどう過ごしているんですか?

村山 お洋服がすごく好きで、お買い物がストレス発散でもあり、癒しでもあります。あとは母と一緒にお散歩をしたり、iPadで映画やドラマを観たり。

――洋服はどんな系統が好きなんですか?

村山 いろいろな服を着ます。白いフリッとしたワンピースだったり、モノトーンのシックな服だったり、日によって変えるようにしていて。それが本当に楽しくて、髪型も合わせて変えています。

――買うときは迷わないほうですか?

村山 私、失敗はしたくないので、必ず試着をします。ネットでかわいいのを見つけると、カートに入れるまでは行っても、結局怖くなって取り消します。店舗に行って着てみて、気に入ったら買います。

――散歩はどんなところに?

村山 近所の公園に行ったり、お出掛けしてもなるべく電車に乗らず、歩くようにしていて。浅草が好きで、散歩がてら食べ歩きもします。

――19歳で浅草とは渋いですね(笑)。代官山とか下北沢ではなくて?

村山 そっちはあまり行きません。和の雰囲気が好きで、神社やお寺が落ち着きます(笑)。

特撮でも青春ドラマみたいになっていて

――『ウルトラマンデッカー』の放送が始まるのは、楽しみですよね?

村山 楽しみです。みんなの熱い気持ちがぶつかって、泣いたり笑ったり。特撮ですけど、青春ドラマみたいになっています。いろいろな方に愛していただける作品だと思います。

――イチカ同様、優香さんの女優としての夢も広がっていますか?

村山 想いが強くなりました。イチカみたいに「絶対に叶えるぞ! 諦めないぞ!」という気持ちです。

――目指す女優像もありますか?

村山 カメレオン女優といいますか、いろいろな役にハマれるようになりたいです。今回は元気な役ですけど、たとえば病気の役だったら、本当に体が悪いと思われるような女優を目指していきます。

――満島ひかりさんが憧れだとか。

村山 大好きです! 満島さんもウルトラマンシリーズに出演されていたんですよね?

――『ウルトラマンマックス』でアンドロイドの隊員役でした。

村山 それも含めて、今回ヒロインに選んでいただけたことが、本当に嬉しくて。これからどんどん上に行きたいと思います!

Profile

村山優香(むらやま・ゆうか)

2003年2月19日生まれ、茨城県出身。

2015年公開の映画『忘れ雪』で女優デビュー。主な出演作は映画『いつでもアオハル』、『お嬢様のヘアーカット』、ドラマ『そしてユリコは1人になった』、『TOKYOドラゴン飯店 負けるな!!琉球占い師リオちゃん!』、『あざとくて何が悪いの?』(再現ドラマ)など。7月9日スタートの『ウルトラマンデッカー』(テレビ東京系)に出演。

『ウルトラマンデッカー』

7月9日スタート テレビ東京系/土曜9:00~

公式HP

(C)円谷プロ (C)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京
(C)円谷プロ (C)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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