来日5年目で西武のエルネスト・メヒアが苦悩から得ようとしている打開力
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西武のエルネスト・メヒア選手が厳しいシーズンを過ごしている。
開幕からチーム打率でリーグ1位を走り続ける好調打線とは裏腹に、ここまで39試合に出場し、打率.212、5本塁打、11打点と低迷している。2014年のシーズン途中に西武入りして以降、MLBで打者の評価に用いられるOPS(長打率+出塁率)で強打者レベルといわれる.800前後(14年.950、15年.778、16年.842、17年.778)を常に維持してきたが、今シーズンはここまで.711に留まっている。
メヒア選手自身、ここまでの打撃についてどう分析しているのだろうか。
「今シーズンは毎試合出場しているわけではない。その中で調整しながら試合勘だったり、ボールへのタイミングをつくっていくわけだけど、これまで16年間のプロ野球人生の中で自分は毎日出場するのが当たり前だった。やはりベンチ待機から時々出場するというルーティンには慣れていないので、自分にとってはかなりタフだよ」
メヒア選手が説明するように、今シーズンは開幕戦から先発から外れる機会が多くなった。メヒア選手が出場するポジションである一塁には山川穂高選手、指名打者にも森友哉選手がおり、ともに主軸打者として打線を牽引する存在になっている。必然的にメヒア選手の出場は、主力選手の休養時や代打出場に限られてくる。本人も認めているように、昨年まで毎日試合に出場するのが当たり前だったメヒア選手にとって、新たな起用法に適応していくのは決して楽な作業ではない。
これはメヒア選手に限ったことではない。これまでも実績あるベテラン選手たちがチームの方針で突如控え選手に回される場面に何度となく立ち会ってきたが、そのほとんどの選手たちが新しい環境、調整法にすぐに馴染めず苦労している姿を目撃してきた。世代交代といってしまえばそれまでだが、選手の立場からすれば多少理不尽に感じられる方針変更もあった。だがチームの方針に抗えるはずもなく、結局は与えられた新たな環境で結果を出すしかない。逆に結果を残せなければ、ますます出場機会が減っていくことにも繋がってしまうのだ。中にはそのままチームを去っていったベテラン選手もいたほどだ。
32歳という年齢を考えれば、メヒア選手はまだまだ控えに回るような年齢ではなく、本来なら今でも毎試合出場していておかしく存在だ。たぶん現在の状況に納得しているわけではないだろう。だが前述通りチームは打撃陣が絶好調で、リーグ首位を走り続けているのだ。チームの打ち出した方針が正しい以上、それを受け入れるしかない。
今メヒア選手にできることは現在の起用法の中で自分なりの調整を確立し、しっかり結果を残しながら、他の選手の負傷や打撃不振などの不測の事態が生じた時に、いつ先発出場を任されても対応できる状態を維持していくことだ。もちろん簡単なことではないが、それをやらなければ活路を見出すことはできない。
「まだ(現在の起用法に)しっくりきているわけではない。ただこれが自分に与えられた現状だ。今は馴染んでいけるように、毎日一生懸命取り組んでいる。今の自分には(代打などで)重要な局面で打席が回ってくることもある。とにかくチームが勝つために自分なりに最善を尽くしていきたい」
6月30日の楽天戦以来となる先発に名を連ねた7月8日の同じく楽天戦で、延長10回に第6号本塁打を放ちチームの勝利に貢献したメヒア選手。10年ぶりのリーグ優勝を目指す西武にとって、彼の長打力を必要とする時が必ず訪れるはずだ。シーズン後半戦においてメヒア選手がどんな打撃を披露するのか、注目してみたい。