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NY金12日:ドル反落で小反発、短期的な過熱感修正の動き

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

COMEX金4月限 前日比1.30ドル高

始値 1,153.70ドル

高値 1,165.70ドル

安値 1,147.50ドル

終値 1,151.90ドル

ドル高一服で安値是正の動きが強まり、小反発した。

急激なドル高連動で下値を切り下げる展開が続いているが、本日はドル高圧力が一服したことが好感され、安値是正の動きが優勢になっている。アジアタイムは1,150ドル台前半から中盤で方向性を欠く展開になったが、欧州タイム入りと前後して買いが膨らみ、一時1,165.70ドルまで急反発した。特に何か大きな材料があった訳ではないが、為替市場でドル買いポジションに利食い売りを膨らんだことを受けて、金市場でも売り方ファンドが利益確定の買い戻しを入れた模様。ただ、その後はドル高一服と連動して戻り売り圧力が強まり、引けにかけては上げ幅を削る展開に。これまで売りポジション構築に出遅れていた向きが、高値で売り込む好機と捉えた模様。

ドルインデックスは本日も高値を更新し、一時は100ポイントの節目もブレイクした。2月小売売上高は前月比-0.6%と予想外のマイナスになったが、新規失業保険申請件数が前週の32.5万人から28.9万人まで大きく落ち込んだこともあり、ドルの先高感は維持されている。3月17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えてポジション調整絡みの動きが活発化し易いが、特に「ドル高→金相場下落」のフローに修正を迫る必要性は見当たらない。

本日の金相場は安値更新を回避したが、問われるのはスピード調整の有無のみであり、改めて金相場に買いを入れる必要性は見当たらない。FOMCでは金利フォワードガイダンスの修正も行われる可能性が高く、米連邦準備制度理事会(FRB)がドルに対する信認回復の歩みを継続していることが、代替通貨・安全通貨としての金に対する投資需要を後退させることになる。

ドルインデックスやCRB商品指数などとの比較ではなお割高感のある価格水準である一方、現物市場主導で下げ止まりを促すような動きも鈍く、引き続き戻り売り優勢の地合を想定している。現物需要が投機売りを吸収できる価格水準を模索する展開が続く見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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