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オランダ「自転車スマホ」防止アプリ開発へ:自転車走行中はスマホをロック

佐藤仁学術研究員・著述家

オランダでは自転車が日常生活に欠かせない。子供から大人まで通学や通勤に自転車を活用している。かつてオランダに住んでいたことがあるが、道路には専用レーンもあり、スピードも速く、日本人がオランダ人と一緒に自転車で並走するのは大変だ。それだけ自転車での交通事故も多い。

多発する「自転車スマホ」での事故

最近では特に若い人たちの自転車に乗りながらのスマホ操作による事故が多発している。「歩きスマホ」ならぬ「自転車スマホ」だ。真冬の寒い時に自転車に乗っていても、スマホのチェックは欠かせない。WhatsApp(日本のLINEのようなもの)やFacebookのメッセンジャー、ショートメッセージなどが来たら、気になってしまう。

ついつい自転車に乗りながらスマホを触ってしまい、自動車と衝突して取り返しのつかないことになってしまう。オランダ交通当局によると2015年には若者の自転車での事故のうち5人に1人がスマホ操作中だった。またそれによって1年間に12人が死亡し、441人が怪我をしている。

自転車に乗っている時はスマホを使えない「Safe Lock」

そこで、オランダの通信会社KPNとオランダ交通当局が連携して、自転車に乗っている時にはスマホを利用できないアプリ「Safe Lock」を開発している。自転車の鍵と連携しており、自転車に乗っている時にはスマホは利用できない。停止して自転車に鍵をかけると、アプリが施錠を認識してスマホが利用できるようになる。

自転車の鍵と連携。停止して自転車の鍵をかけるとスマホが利用できるようになる
自転車の鍵と連携。停止して自転車の鍵をかけるとスマホが利用できるようになる

まずはAndroidのみで対応で、今年の夏に試験を行い、早ければ今年の冬から商品化し、100ユーロ(約13,000円)で販売を予定。まずはKPNのスマホを利用している人が対象だが、将来的には他の通信会社の人も利用できるようにしたいとKPN広報のVictorina de Boer氏は述べている。

危険しかない「自転車スマホ」

「自転車スマホ」は物凄く危険だ。視野が狭くなっており、神経がスマホに集中しているので咄嗟の判断もできない。そのため突然目の前に現れた自動車に反応することができずに、大きな事故につながる。自動車の運転手の視点で見ると、スマホを操作しながら走っている自転車は「突然飛び出してくるのではないか」など次にどのような行動に出るのか予測できないので、非常に神経を使う。

また自分自身が事故に遭うだけでなく「自転車スマホ」は歩行者や他の自転車に気付かずに突っ込んでしまい、相手に怪我をさせてしまい加害者になることもある。

オランダ通信会社KPNでは、自転車走行中のスマホ操作がいかに危険か、多くの実験を繰り返している。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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