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ネギが世界をちょっと幸せに。コロナ禍でプロバスケットボールクラブが地域密着型に注目するワケ。

佐藤裕はたらクリエイティブディレクター
越谷アルファ―ズの選手入場時に選手同士のネギタッチを実施(クラブより画像提供)

新型コロナウイルスの感染拡大は、東京オリンピック・パラリンピックの開催延期をはじめ、プロ野球やJリーグといった興行が確立されたプロスポーツや学生たちの部活動の制限など、スポーツ界全体にも大きな影響を与えている。まだまだ続くであろうコロナ禍で、スポーツビジネスはどう向き合っていくべきなのか。

クラブの存続に関わる観客動員は収容定員50%制限と厳しい状況は続く中、埼玉県越谷市をホームタウンとして地域密着型で活動するB.LEAGUE所属のプロバスケットボールクラブ越谷アルファーズ苦悩と今から、これからのスポーツビジネスの大きなヒントを得ることができた。

※実際に越谷アルファ―ズの副社長を務める上原和人(うえはら・かずと)氏にコロナ禍のクラブ運営について話を聞いてみた。

越谷アルファーズの副社長を務める上原和人(うえはら・かずと)氏(画像|クラブ提供)
越谷アルファーズの副社長を務める上原和人(うえはら・かずと)氏(画像|クラブ提供)

ファンが応援で声が出せない世界観

――この2年、新型コロナウイルスの影響は如何でしたか。

「プロスポーツの大半が観客動員による収入と現地で購入頂くグッズを含めた物販による収入なので試合が出来ない時もですが、収容定員50%がそもそも我々にとっては本当に厳しい制限となっています。そして何よりファンあってのクラブ運営となりますので、ファンの期待に応えられないことが本当に心苦しいです。

例えば、熱心なスポーツファンならどのスポーツでも一番つらいのは、声を出せないことだと思います。声による応援は基本控えて頂いていますし、チャンスの場面やピンチの場面では声が出そうになるのをグッとこらえてもらっています。間近でプロならではのテクニックでゴールが決まることがバスケットボールは多いのですが、そこでついつい声が出そうになりますが、やはり我慢という状況です」

応援するならネギたたこう!

――ファンが声を出せない試合はどんな雰囲気なのですか。

「実は、ファンが声を出せない状況を逆手に取って新しい取り組みがスタートしています。越谷アルファーズは一体感の輪を広げ、ホームアリーナで日本一一体感のある空間を生み出すことを目標に掲げているので、まずファンが声を出せない環境ならメガホンに注目をしてみました。

チームカラーでもあるバーガンディーのメガホンで会場を埋め尽くすような仕掛けを実施すると、ファンの方々がメガホンをたたいて応援するという空気を作ってくれたので、思い切ってその空気に地域との一体感も重ねることにチャレンジしてみました。

応援で声が出せない中、メガホンを叩いて応援する子供たち(画像|クラブ提供)
応援で声が出せない中、メガホンを叩いて応援する子供たち(画像|クラブ提供)

越谷特別市民ガーヤちゃんからヒントを得て、埼玉ブランド農産物のひとつである「ネギ」をモチーフにしたグッズネギばんばんを新応援アイテムとして投入し、一体感のある空間を生み出すひとつの起爆剤になればと考えたのが、『ネギばんばんプロジェクト-ネギで世界をちょっと幸せに-』というプロジェクトになります。

越谷アルファ―ズが考案した新応援アイテム「ネギばんばん」(画像|クラブ提供)
越谷アルファ―ズが考案した新応援アイテム「ネギばんばん」(画像|クラブ提供)

●ネギらい応援金

ネギばんばんを値切らずに1,200円で買ってくださった場合、ネギり(値切り)価格1,000円との差額(200円)は「ネギらい応援金」として、越谷アルファーズが特産品を活用した地域活性化や農家で困っている皆さまのために役立てさせていただきます。

●ネギで広がる笑顔の輪

地域の幼稚園・保育園・小学校などにネギばんばんを届け、子どもたちとネギばんばんダンスをしたり、埼玉ブランド農産物「ネギ」への理解を深めると共に、ネギで笑顔を広げていく地域貢献企画を考案中。

地域に根ざすプロスポーツクラブだからこそできることだと感じており、地域の皆さまと共にアイデンティティ(越谷らしさ/さいたまらしさ)を生かした物語をつくりあげていこうと考えています」

試合会場では越谷アルファーズ専属チアリーダー AlphaVenusも「ネギばんばん」で応援をしている(画像|クラブ提供)
試合会場では越谷アルファーズ専属チアリーダー AlphaVenusも「ネギばんばん」で応援をしている(画像|クラブ提供)

農産物×地域×スポーツの可能性

――ネギばんばんの反応はどうですか?

「1月22日からプロジェクトをスタートしましたが、ご来場者の4人に1人以上の方にネギばんばんを収穫(ご購入)いただきました(笑)。また、テレビや新聞などのメディアにも取材を頂いている状況です。直近では小さなお子様が本物のネギを持参してくれました!その時は地域との繋がりの可能性を強く感じましたので越谷アルファーズでは、ネギばんばんを通して、農産物×地域×スポーツの可能性を発信していこうと考えています。SNSでも大きな反響があり、ファンの方々に本当に支えられています」

1月22日からスタートしたプロジェクトの反響が大きく、メガホン(ネギばんばん)の販売(収穫)も急増中(画像|クラブ提供)
1月22日からスタートしたプロジェクトの反響が大きく、メガホン(ネギばんばん)の販売(収穫)も急増中(画像|クラブ提供)

コロナ禍で失われる子供の思い出づくりと体験

――しばらくコロナ禍は続きますが、どのように活動を考えていますか。

「この2年で本当に残念だと思うのは、スポーツ観戦だけでなくそもそもスポーツをする環境に制限があるので子供たちの思い出づくりや体験することが少なくなっている点です。越谷アルファーズはチーム名の由来がα(アルファ)は『はじまり』であり、未知の力で挑戦を続け、みんなにとっての+αを生み出すクラブでありたいという想いが込められていますので、子供たちに少しでも何か提供できたらと常に考えるようにします。そして、いつも支えてくださるファンやスポンサーの皆さんにも+αの価値を提供していきたいと考えています。

2022年2月19日(土)・20日(日)の春日部開催ホームゲームの冠ゲームスポンサーである株式会社GFD様より「子どもたちに夢を与えられる企画を」とご提案いただき、当該試合において、各日先着250組(お子様+保護者1名)を無料ご招待する観戦企画記念Tシャツプレゼントプロコーチ&選手に教わるバスケットボールクリニックエスコートキッズシュートチャレンジ親子モッパ―体験選手宣誓(応援宣言)など、とにかく子供たちの思い出づくりに注目した企画をさせて頂きました」

子供たちの思い出づくりに注目した企画が実施される2月19日、20日のホームゲーム(画像|クラブ提供)
子供たちの思い出づくりに注目した企画が実施される2月19日、20日のホームゲーム(画像|クラブ提供)

コロナ禍だから気付けた本質

駅からホームアリーナまでの街をネギで埋めつくしたいという夢を持つクラブとして定期的に清掃活動(越谷アルファーズ わんダフル大作戦-まちなかアルファーズ宣言-)や地域のイベントに参加するのは地域の方々との触れ合い、直接声を聞く、活動のヒントを得るという草の根活動で、これからの地域プロスポーツには欠かせない活動だろう。

清掃活動(越谷アルファーズ わんダフル大作戦-まちなかアルファーズ宣言-)(画像|クラブ提供)
清掃活動(越谷アルファーズ わんダフル大作戦-まちなかアルファーズ宣言-)(画像|クラブ提供)

試合開催や急な中止の決定などに対して様々な不安の声が寄せられることも多かったコロナ禍初期と比べれば、今ではファンの理解は深まりクラブと一体化して運営をしているように感じる。まだまだ続く新型コロナウイルスの影響の中でプロスポーツだけでなく、企業全般に言えることはこれまでの文化を破壊して関わる全ての人の声を柔軟に聞き入れ、ともに新しい価値を見つけ出すことが重要だということ。

そして、越谷アルファーズの随所に見せる遊び心も顧客の心を掴むヒントかもしれない。

はたらくを楽しもう。

【越谷アルファ―ズ】

越谷アルファーズ公式サイト

越谷アルファーズ公式Twitter

ネギばんばん

子供たちに夢を|2/19・20ホームゲーム開催情報

※親子観戦無料招待企画について

はたらクリエイティブディレクター

はたらクリエイティブディレクター パーソルホールディングス|グループ新卒採用統括責任者、キャリア教育支援プロジェクトCAMP|キャプテン、ベネッセi-キャリア|特任研究員、パーソル総合研究所|客員研究員、関西学院大学|フェロー、名城大学|「Bridge」スーパーバイザー、SVOLTA|代表取締役社長、国際教育プログラムCAMPUS Asia Program|外部評価委員などを歴任。現在は成城大学|外部評価委員、iU情報経営イノベーション専門職大学|客員教授、デジタルハリウッド大学|客員教員などを務める。 ※2019年にはハーバード大学にて特別講義を実施。新刊「新しい就活」(河出書房新社)

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