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【浜松市】浜名区・森林公園バードビア浜北の企画展示「森の色」で草木染めのあれこれを学んじゃおう!

麻生のりこ旅ライター・地域情報発信ライター(浜松市)

浜名区(旧浜北区)の県立森林公園バードピア浜北のエントランスでは、2025年3月31日(月)まで公園内の植物を使用した草木染めによる企画展示「森の色」を開催。

展示内容は森林公園内の植物が持つ色を草木染めで表現したパネル展示のほか、使用した植物の成長過程などの解説や染色時の模様のつけ方などです。
さらに公園内の主な樹木を用いたさまざまな染色結果も!

静岡県立森林公園のビジターセンター・バードピア浜北の外観
静岡県立森林公園のビジターセンター・バードピア浜北の外観

バードピア浜北は静岡県立森林公園のほぼ中央に位置する「自然とのふれあい」をテーマにした施設。
浜松市浜名区(旧浜北区)の郊外にあり入館料は無料で、企画展示「森の色」の開催期間は2024年8月18日(日)から2025年3月31日(月)までです。

では、中へ入ってみましょう。

エントランスに一歩足を踏み入れると現れる草木染めの大型パネル!

バードピア浜北の企画展「森の色」正面パネル
バードピア浜北の企画展「森の色」正面パネル

企画展「森の色」の展示場所は、玄関ポーチから入ってすぐのエントランスです。

扉が開くと目の前には、森林公園内で採取した約30種類の植物を利用した草木染めの大型パネルが。

草木染めとは染材(染色材料)となる植物の花や葉、茎、樹皮などを煮出して抽出した染液(染色液)へ、染めたい布を漬けて染めること。
落ち着いた色合いに染まることから密かに人気の染色方法です。

染材が同じでも媒染液(染色後の布へ色を定着させる液体)の違いにより、色合いが異なるものも。

草木染めの大型パネルについて詳しくはこちらをご覧くださいね▼

【浜松市】浜名区・森の色を草木染めで表現!森林公園バードビア浜北で企画展示「森の色」を開催中

約30種の染材について写真と文章で説明している展示パネルの裏側企画概要(右)と展示パネル(左)
約30種の染材について写真と文章で説明している展示パネルの裏側企画概要(右)と展示パネル(左)

大型パネルの裏側は、今回の企画で使用した約30種類の染材を写真と文章で説明しています。

花や実、葉などの特徴のほか、染材となる部分に焦点を当てたものもあり、これはこれで圧巻…!

アカマツやソヨゴのさまざまな染色結果が並ぶ「草木染 色見本」は必見!

企画展コーナー出入り口の左側は、アカマツやソヨゴのさまざまな染色結果が並ぶ
企画展コーナー出入り口の左側は、アカマツやソヨゴのさまざまな染色結果が並ぶ

企画展コーナー出入り口の左側には同公園内でよく見られるアカマツやソヨゴの、さまざまな染色結果が「草木染 色見本」として並んでいました。

アカマツの草木染 色見本は、媒染方法と布の種類、そして何回目の染液に漬けた結果なのかを、少しずつずらして展示している
アカマツの草木染 色見本は、媒染方法と布の種類、そして何回目の染液に漬けた結果なのかを、少しずつずらして展示している

染め作業の協力をされた望月葉子さんにお話を伺うと、「赤松(アカマツ)は本当に事例が見当たらなかったので、どんな色が出るのか楽しみだったんです」とのこと。
その成果がアカマツの草木染 色見本になったんですね。

画像では分かりにくいと思いますが媒染方法と布と漬けた染液の回数が同じでも、葉と樹皮では染色結果の色が異なるんですよ。

ソヨゴの草木染 色見本(部分)
ソヨゴの草木染 色見本(部分)

さらに「絹には動物性たんぱく質が含まれているので、たいていの場合、一番濃く染まるんです」と望月さん。

上の画像はほんの一部分なので色の濃さの違いをもっと知りたい方は、実物を企画展示「森の色」で確かめてみて!

3つのテーブルともう1枚の展示パネルも見応えあり

企画展コーナーの展示品(画像中央壁側:ラクウショウやスギなど針葉樹を染液とした染色結果を貼りだしたパネル)
企画展コーナーの展示品(画像中央壁側:ラクウショウやスギなど針葉樹を染液とした染色結果を貼りだしたパネル)

そのほか3つのテーブル上には、染材植物の実物見本や手描きイラストを交えて解説した成長過程、草木染め時の模様のつけ方、実際に綿や絹のストールをソヨゴの葉やアカマツの青葉の染液で染めたものが展示されていました。

ラクウショウやスギなど針葉樹を染液とした染色結果
ラクウショウやスギなど針葉樹を染液とした染色結果

壁際のパネルは同公園内で見られる針葉樹(ラクウショウ、クロマツ、スギ、ヒノキ)を染液とした染色結果です。

テーブル上では染材見本(ケース入り・実物)を交え、成長過程などを手書きで分かりやすく解説
テーブル上では染材見本(ケース入り・実物)を交え、成長過程などを手書きで分かりやすく解説

白くて丸いテーブル上に展示されているのは今回の企画展示で使用された4種類の植物の成長サイクルと、6種類の染材実物見本です。
植物の成長過程はどれも望月さんの手書きによるもので、丁寧に書かれています。

望月さん手書きのヌルデシロアブラムシの生活環(くらし)とケースに入ったヌルデの実物見本
望月さん手書きのヌルデシロアブラムシの生活環(くらし)とケースに入ったヌルデの実物見本

特に私が注目したのは、五倍子(ごふし)の染材を作るヌルデシロアブラムシの生活環(くらし)です。


少しややこしい暮らし方をしているヌルデシロアブラムシの生活環を、文章とイラストとで分かりやすく解説しているため、「展示パネルの裏側の説明だけでは分かりにくいな」と思った方はぜひご覧ください!

上:ヤマモモの樹皮 / 下:左からヤシャブシの実、ラクウショウの枝、ソヨゴの葉
上:ヤマモモの樹皮 / 下:左からヤシャブシの実、ラクウショウの枝、ソヨゴの葉

6種類ある染材実物見本は透明のケースに入っていたり鍋に入っていたり。
これらが染液となり布が染まるなんて、植物が持つ力って不思議だと思いませんか?

絞り染め(纐纈 / こうけち)と板締め(夾纈 / きょうけち)による草木染めの模様のつけ方いろいろ
絞り染め(纐纈 / こうけち)と板締め(夾纈 / きょうけち)による草木染めの模様のつけ方いろいろ

もう1つの丸いテーブルでは、布へ模様を入れる際の絞り締めと板締めを紹介しています。

絞り染めは纐纈(こうけち)のことで、布を糸や紐でしばったり縫ったりすることで模様をつける方法ですが、ここではもっと簡単にできる輪ゴムでの方法を展示しています。
ただ輪ゴムでしばるだけなので、草木染め初心者でも簡単に楽しめますね。

板締めは夾纈(きょうけち)と呼ばれ、板と板との間に布を挟み込んで漬ける方法で、板の形や布をたたむ回数で模様の入り方が異なります。

ストールと絹糸をクサギの実やソヨゴの葉、アカマツの青実などを染液として染めたもの
ストールと絹糸をクサギの実やソヨゴの葉、アカマツの青実などを染液として染めたもの

四角いテーブルには実際にストールと絹糸をクサギの実やソヨゴの葉などで染めたものが。


どれも優しい色合いで、見ているだけで優雅な気分になれそう。
つい手に取って見たくなりますが、触らないようにご注意を。

ここ数年の間に森林公園で開催した草木染め講座の様子
ここ数年の間に森林公園で開催した草木染め講座の様子

染色の様子
染色の様子

展示企画「森の色」で見られるのは、すべて同公園内で生育する植物が持つ自然の色です。

この展示は、森林公園の魅力を知ってもらおうと、ビジターセンターの自然解説員が企画・実施したもの。園内の管理作業ででた植物を自然解説員自らが染色に取組み実現しました。
静岡県立森林公園の植物が持つ森の色を、この機会にぜひどうぞ。

<基本情報>

所在地:静岡県浜松市浜北区尾野2597-7
施設名:静岡県立森林公園 ビジターセンター「バードピア浜北」
入館料:無料
開館時間:9時~16時30分
休館日:毎週水曜 祝日の場合はその翌日、年末年始(12月29日~1月3日)
駐車場:500台(無料)
静岡県立森林公園バードピア浜北の公式サイト(外部サイト)

なお、2024年5月28日の大雨による土砂崩れにより、林道・岩水寺線(龍宮山岩水寺る道)は当面の間通行止めとなっております。
車両も歩行者も通行できません。
復旧作業の工期:令和6年12月10日(火)まで
※ ただし、工事終了後に清掃等実施されたのちに、通行止めは解除となります。

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2024年11月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
この記事は無断転載およびAI学習禁止です。(麻生のりこ)

旅ライター・地域情報発信ライター(浜松市)

日本史ミーハーな旅ライター。トラベルメディアでは国内の観光スポットなどをめぐり、取材記事を執筆しています。旅先で好きなこと⇒マンホールの蓋探し・西洋館探訪・神社仏閣参拝・城めぐり(18/100) / 2017大河ドラマ直虎まだまだ応援中。ここでは静岡県浜松市へ出掛けたくなる情報を発信します。

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