海外で日本茶が選ばれるこれだけの理由【カナダの日本茶事情】
それは今年の1月、インスタグラムのDMにカナダの方からメッセージが入ったのがきっかけでした。
カナダで日本茶のオンラインショップを始めるにあたり、質問したいことがあるので個別相談をお願いしたい、という内容でした。
早速オンラインでで個別相談を行い、2月に無事お店をオープンされ、今も時々個別相談や日本茶のレッスンを受講してくださっているテシエ・アヴェリさんに、カナダの日本茶事情を伺いました。
日本では当たり前のように飲まれる日本茶ですが、カナダではどのように受け止められているのでしょうか?
日本茶の抗酸化作用に注目!
近年、海外では日本茶の抗酸化作用に注目が集まり、抹茶などの緑茶がとても人気があります。
抗酸化作用というのは体の中に活性酸素ができるのを阻害するということで、緑茶の成分の「カテキン」や「ビタミンC」、そして茶葉に含まれる「ビタミンE」にも抗酸化作用があると言われています。
そして、平成2年度の緑茶の輸出は前年度より128%もアップしており、アメリカ・カナダ・イギリス・フランスへの輸出が特に伸びています。
内容としては、抹茶を含む粉末状の茶の輸出が特に堅調で、その人気の背景には「健康のため」や「落ち着くから」などの理由の他に、「禅(ZEN)っぽくてcool」だというイメージもあるようです。
実際、抹茶は800年前に禅僧によって日本に伝わり、茶道と禅は歴史的にも密接に関わっています。
カナダで飲まれる日本茶
今回は緑茶の輸出が多い国の一つ、カナダを取り上げます。
日本で生まれ育ち、現在カナダのトロント在住のテシエさんにカナダのどの地域で日本茶がよく飲まれているか伺いました。
そんなに飲まれているとは!そしてコストコでも日本の緑茶が買えるとは、驚きました。
アメリカでは、ロサンゼルスやニューヨークの都市部では日本茶は洗練されたイメージで健康志向の高い人に人気ですが、地方になるとなかなか見かけないと聞いたことがあったので、もしかしたら今後はカナダの方が日本茶が人気になっていくかもしれません。
抹茶も馴染みがあるのですね。今は抹茶ラテや抹茶スイーツは海外でもポピュラーになりました。
カナダは紅茶文化があるため、リーフで飲む日本茶も受け入れられやすい環境なのかもしれません。テシエさんのオンラインショップでは九州の緑茶を扱っているそうです。
トロントはお茶が身近にあり、様々な国の茶文化が楽しめる街なのですね!いつか訪れてみたいです。
人気のある日本茶、飲み方とその魅力
以前、海外における抹茶の人気についてお話しを伺った際の記事でもご紹介しましたが、カナダでは今「カフェインクラッシュ」を避ける傾向があるそうです。
カフェインクラッシュというのは、カフェインを含むコーヒーを飲み急激にカフェインの効果を感じた後、また急激にその効果がなくなっていく、そのような現象を指すそうです。
「緑茶はコーヒーとは違ってゆるやかにエネルギーが持続する」とカナダでは言われていて、日本茶などの緑茶の人気が高まる一つの要因となっているとのこと。
抹茶以外の日本茶はどうなのか、についても伺いました。
以前から、外国の方に人気のあった、玄米茶やほうじ茶も依然人気があるのですね。煎茶は外国では意見が分かれるようで、さらに硬水の影響も受けやすいものでもあります。
カフェイン量が少ない玄米茶やほうじ茶は日常に取り入れやすいのでしょう。
玄米茶を5分も浸出するのですか!?驚きです!
玄米茶の浸出時間は通常は30秒程度なので、かなり濃い味になりそうです。
今、カナダではほうじ茶ラテの人気が高まっているようですね。日本ではほうじ茶ラテはカフェなどでよく目にしますが、ほうじ茶パウダーは専門店の一部でしか取り扱っておらず、まだ一般的ではありません。
カナダならではの日本茶の広がりが見えてきました。
ではここから、カナダのお茶の人気店をテシエさんにレポートしていただきます!
カナダのほうじ茶人気の火付け役!
トロントでのほうじ茶ブームに火をつけたのは、Hojicha.Co というオンラインショップだそうです(サイトはこちらの外部リンク)。
ここでは京都から取り寄せたほうじ茶パウダーを中心に扱っており、インスタでも美味しそうなレシピをたくさん載せています。
サイトには、ほうじ茶の玄米茶や京番茶も掲載されています。
カナダで一番人気のお茶の専門店
カナダで一番有名なお店は、 David’s Tea です(サイトはこちらの外部リンク) 。
まるでお菓子のようなフレーバーティーやデザートティーを中心に扱っており、根強いファンが多いです。また、ポップでカラフルなパッケージも人気の理由の一つです。
インスタでも、David’s Tea 専門のレビュアーをたくさん見かけます。
お茶マニアに人気の専門店
お茶マニアの間では、モントリオールにある Camellia Sinensis も人気です(サイトはこちらの外部リンク)。 ※カメリア・シネンシスはお茶の木の学術名です
名前の通り、世界各国のチャノキからできた飲み物を扱っており、ラインアップには圧倒されます。産地、標高、品種、味の特徴などもネットショップに全て載せているので、マニアックな知識を求める人の心をくすぐります。
トロントの抹茶のお店
トロントの抹茶パウダーのお店 Matchaninja も人気です(サイトはこちらの外部リンク)。
以前は八女産のものを使用していたものの、放射性物質に配慮し、中国産に切り替えたとのこと。
複雑な心境ですが、Whole Foods をはじめとする高級オーガニック系スーパーで取り扱われており、健康志向の高い人たちからは人気のブランドのようです。
抹茶のエナジードリンク
ToroMatcha というお店もあります(サイトはこちらの外部リンク)。
抹茶パウダーも販売していますが、一押しは抹茶のエナジードリンクのようです。
Dragon's Den (出資を願い出る投資番組) に出演したこともあり、注目度の高いお店のようてす。
カナダの大手ドーナツ店にも抹茶ラテが!
カナダで一番有名なドーナツチェーン、Tim Hortons (ティムホートンズ、愛称はティミーズ) でアイス抹茶ラテを発見しました!
最近は品質が落ちたということで、昔のティミーズを知っている人からは残念がられているようですが、未だ根強い人気を誇っていて街の至るところで見かけます。
メニューを確認したところ、アイス抹茶ラテ、ホット抹茶ラテの二種類とも定番メニューになっているようです。
夏なので、アイス抹茶ラテを注文してみました。
スタバの抹茶フラペチーノは激甘濃厚なので、ティミーズも同じような感じかと想像していたのですが、意外なことに甘さ控えめで、すっきり、あっさりした味わいでした!
抹茶の味もやや控えめで、どちらかといえば牛乳の味のほうが強かったです。
抹茶好きにとっては若干物足りない気がしないこともないですが、甘〜いドーナツと合わせて飲むことを考えると、すっきりめにしたほうがカナダ人の舌に合うのかな?と思いました。
プラントベースのカフェにもお茶のスイーツが!
Tsuchi cafe はトロントで1年ほど前にオープンしたプラントベースのカフェです(サイトはこちらの外部リンク)。メニューはこちら
プラントベースというのは肉や魚、また乳製品などの動物性のたんぱく質を使っていない食べ物のことを言います。
経営者の方が日本人なのですが、日本のカフェでの定番商品、ショートケーキ、プリン、ティラミスなどのデザートから、カレーやサラダなどのフードメニューも販売しています。
乳製品やお肉を全く使用していないにも関わらず、コクと旨味のある料理を提供しているので、ヴィーガンではない人からも人気のお店です。
私はよくUber Eats で唐揚げカレーを注文しています。(この唐揚げもプラントベースなのに、本当に鶏肉っぽいんですよ。また食べたくなりました!)
内装も素敵で、店内に足を踏み入れるとまるで日本に戻ったような気分になります。
ここでは先程あげたトロントを拠点としている Hojicha.Co というお店のほうじ茶パウダーを使用したデザートや飲み物を提供しています。
ほうじ茶くるみクッキーが定番のようですが、季節によってほうじ茶ドーナツや、ほうじ茶ケーキなども販売しています。
もちろん、抹茶ラテや抹茶クッキーなども置いてあります。
カナダからのレポートは以上です!
テシエさん、ありがとうございました。カナダに行ったような気分になりました。
輸出は追い風になるか
先日はまた別のカナダ人の方と、インスタグラムのDMで日本茶についてディスカッションしていました。
緑茶のカテキンがコロナの感染予防に効果があるという研究結果を読んだそうで「日本でも話題になっているでしょう?」と言われましたが(以前の記事参照)、日本では薬事法もありこの情報はそれほど浸透していなないと答えると、とても残念がっていました。
日本茶がこれだけカナダで人気があるということは、エビデンスがしっかりしていればさらに国内でも海外でも日本茶はもっと広がるのではと思います。
今回は、カナダでの日本茶事情でしたが、またほかの国の方にも伺いたいと思います。
カナダでもこれからどんな広がりを見せるのか、楽しみです。
今回お話を伺ったテシエ・アヴェリさんの日本茶オンラインショップ
the green tea shop (外部サイト)