「雨の音が怖い」:心の傷を癒しPTSDを予防する:九州北部豪雨
災害直後の心の傷が長引かないための大切な方法は、理解し合い、支えあうこと。
■雨の音が怖い
豪雨による大きな被害が出た九州北部では、災害との戦い、復興活動、そして心の戦いと癒しへの活動が始まっています。
■ASDとPTSD
大きな災害や事故を体験した後に、何でもないはずのことが怖いと感じた体験は、少なからずの人が体験していることでしょう。これを、ASD(急性ストレス障害)と呼びます。しばらくしてこのような症状が消えれば良いでしょう。しかしこれが長く続いてしまうと、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼ばれます。
心の傷が長引き、苦しみが続くことを、少しでも防ぎたいと思います。
■災害の直後には
小さなことでも怖くなります。いつも不安だったり、イライラすることもあります。子どもがわがままになったり、甘えてきたりすることもあります。みんながこのようになってしまえば、家族のことで悩んだり、互いにぶつかってしまうこともあるでしょう。
しかし、この困った状況が、いつまでも続くわけではありません。乱暴な人や、弱い人になってしまったわけではありません。災害直後には多くの人が体験することです。
心や体が疲れていることを理解して、互いに支えあえたらと思います。
症状が重い時には、精神科医などプロの出番もあります。薬が効くこともあります。適切に医療も活用しましょう。しかし、家族や近隣の人同士の助け合いが、大切です。
■子どもなど災害弱者を守る
子どもが甘えてきたら、甘えさせましょう。大丈夫です。その状態がずっと続くわけではありません。とても頑張っている子ども若者がいたら、その活躍をいたわり、少し休ませてあげましょう。
水害の心の傷は、特に高齢者に重くのしかかります。思い出や、家財産、田畑や故郷を失うことは、若者以上に辛いこともあります。
心の傷を癒すためには、周囲の理解が必要です。
できれば、いつもの日常に早く戻れればと思います。いつもの仲間と、いつものように過ごすことが、心の傷を癒します。世話を焼いてもらうだけが癒しではありません。
■弱者を支える人を支えよう:PTSDの予防と復興への道
大規模災害発生時には、地元の人はみんな被災者です。それでも、災害弱者を支えようとする親や先生や、様々な役割の人々がいます。この方々を支えましょう。
泣きじゃくっているような人は、心配です。みんなでケアしたいと思います。感情が消えてしまっているような人は、もっと心配です。安心して悲しめる場所を提供できたらと思います。
頑張っている人の中に、辛さを抑え込んでいる人もいます。無理をさせすぎず、休息させましょう。
誰かを支えるためには、その人自身の心の癒しが必要です。子どもや高齢者、心が不安定になっている人などの災害弱者を、家族や医療スタッフ、福祉職員など身近な人が支えます。さらにその人々をみんなで支えることが、PTSDの予防になり、復興へとつながる道になるでしょう。