「PTAは任意です」と言っても大丈夫? 選べる前提で勧誘する方法
この春こそはPTAの自動強制加入をやめて、保護者の意思を尊重する運営に舵を切りたい、と考えているPTA役員さんも多いことでしょう。
とはいえ、これまでずっとなあなあできたところ、いきなり入学式の保護者たちを前に「PTAへの加入は自由(任意)です」と口にするのはおそろしい。会員がうんと減ってしまったらどうしよう? と思うと躊躇する、という声も聞きます。
しかしおそらく、ご心配には及びません。この国の同調圧力は頑強です。会長が「任意」と言った程度で入会をやめる人は、たぶん予想より少数です。もともとPTAのあり方に疑問をもっていた人や、さまざまな事情を抱えた人が、安心して非加入を選べるようになるくらいです。
むしろ「加入するかどうか選べる」とわかることで、モチベーションが上がる人も少なくないでしょう。少なくとも筆者はそのタイプです。加入者が減っても、自分で「入る」と決めた人で構成するほうが、団体としての存在意義はずっと上ではないでしょうか。
これまでPTAは長い間、「保護者は全員必ず参加する」という前提で「楽しいよ、やろうよ(やれ)」と言い続けてきたわけですが、これはやはり信ぴょう性がありません。「選べる」ということをはっきり示したうえで、「楽しいよ、やろうよ」と誘われることで初めて、「おおそうか、それならやってみようか」という気になると思うのです。
たとえば、こちらの動画(3分50秒)をご覧ください。2、3年前から改革に着手し、会員の意思に基づいた活動や加入の仕組みを実現してきた、名古屋市立吹上小PTAの勧誘ムービーです。
- (ナレーションは先生が担当されたそう。特に見ていただきたいのは、2分14秒の辺りから)
最初に活動内容を紹介したあと、「吹上小PTAに強制はありません。入会、退会は自由です」とほがらかに宣言。そのうえで参加方法を説明し、加入や活動にお誘いする、という流れです。
これなら「やってみようかな」という気持ちになる人は多いと思います。
動画を作成した元PTA会長の下方丈司さんは、こう話します。
「最後に『吹上小学校PTAの活動にご賛同いただけましたら、ぜひご加入・ご参加の検討をお願いします』と言うところもポイントです。任意加入なんだから『入らなくてもいい』と説明するべきだ、という意見もありますが、勧誘しながらそれを言うのは不自然です。『ぜひ、検討をお願いします』と言ったほうが、義務ではなく選べるんだということが、よく伝わると思います」
なお、この動画をご覧になって「自分のPTAでもつくってみたい」と思った人もいると思いますが、下方さんは映像制作が本業なので、我々が同レベルをめざすのは残念ながら難しそうです。
「一番大事なのは台本と構成です。絵面を見せるのは、パワーポイントのスライドショーや、フォトムービーでも十分」とのことでした。
以下にご紹介するのは、吹上小PTAの関連資料です。PTAの改革や問題改善を進めるうえで大変参考になると思いますので、興味のある方はぜひ、ご覧ください。