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尹錫悦大統領は弾劾されるのか? 10日で早くも100万人が嘆願!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
尹錫悦大統領(大統領室HPから)

 一生懸命国政に励んでいるのにどういう訳か尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持率が一向に上がらない。

 韓国2大世論調査会社の最新調査をみると、「韓国ギャラップ」の調査(6月28日)では支持率は25%。

 政権与党の「国民の力」が大敗した総選挙後の調査(5月末)では支持率は大統領就任(2022年5月)以来最低の21%まで落ちていた。

 もう一つの世論調査会社「リアルメーター」の調査(7月1日)では少し高く、31.6%。それでも4月以来30%前半のままだ。信号に例えると、黄色信号の状態が続いている。

 尹大統領は可哀そうなぐらいとにかく不人気なのだ。

 支持されない理由をみると、経済・国民生活・物価対策への不満と並んで「コミュニケーション不足」や「独断的で一方的」という項目が上位に並んでいる。この他にも海兵隊員が殉職した事故に職権を乱用し、捜査に圧力を掛けたとの疑惑や夫人関連スキャンダルなども重なり、評判を落としているようだ。

 尹大統領の任期は2027年5月10日までだが、早くも一部国民の間では尹大統領を引きずり下ろす動きが始まっている。

 国会のホームページに国民の請願が掲示されているが、国会に尹大統領の弾劾訴追発議を要求する嘆願が7月3日午前現在、100万人を突破している。この請願は6月24日に初めて掲示されたが、まだ10日しか経っていない。一日に平均10万人が弾劾に同意している勘定となる。

 弾劾の理由として▲海兵隊員の殉職事故への職権乱用▲夫人の不正疑惑▲南北関係の悪化▲元徴用工問題の親日的解決処理▲福島原発汚染水(処理水)の海洋放流幇助の5つを挙げていた。

 請願が殺到し、ホームページがパンクし、アクセスしにくい状態となっており、今後改善され、スムーズに接触できれば、あっという間に500万人に達するものと予測されている。韓国の人口は約5100万人なので、約10人に一人は弾劾賛成ということになる。

 1か月以内に5万人以上が同意した請願は法制司法委員会請願審査小委員会で審査され、請願の妥当性が認められれば、本会議に付議することができる。そして本会議で通過した請願は政府に移送され、政府は該当の請願を処理した結果を国会に報告しなければならない。

 請願審査小委員会は最大野党の「共に民主党」が多数を占めており、また法制司法委員会委員長も「共に民主党」所属議員であることから野党がその気になれば、本会議に上程することができる。

 憲法65条1項に基づけば、大統領への弾劾訴追は在籍議員の3分の2以上(200議席)の賛成が必要となる。現在、「共に民主党」を筆頭とする野党議員は191人なので与党から9人が離反し、賛成に回らなければ可決されない。

 また、仮に弾劾が国会で可決されたとしても、最終的にその裁定を決める憲法裁判所の9人の裁判官のうち6人(3分の2)が国会決議に賛成しない限り罷免できない。

 現在9人いる裁判官のうち3人は尹大統領が自ら指名した裁判官であり、裁判長も尹大統領が任命した人物である。

 韓国の歴代大統領では過去に盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と朴槿恵(パク・クネ)大統領の2人だけが国会で弾劾されている。

 但し、盧大統領は憲法裁判所の裁定で救われたが、罷免され、失職したのは朴大統領だけだった。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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