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食べられたらラッキー!行列必須のバンコクのお粥屋さんジョークプリンスはミシュランピググルマン常連店

タイ旅行ライター吉田彩緒莉タイ大好きトラベルライター
店先でトロトロに煮込まれたジョーク

バンコクはグルメ天国。私がバンコクに通い始めた26年前からガイドブックには名店が並んでいたし、ガイドブックなんか存在する前から、行列ができる屋台や食堂で溢れていただろう。
数ある名店の中で、運の悪い私が15回行ったのに満席、もしくは完売で5回しか入れなかった行列のできるお粥の名店「ジョークプリンス」を紹介したい。
「ジョークプリンス」は2018年に始まったミシュラン・タイのビブグルマンに連続6年選出された名店中の名店だ。しかし2024年は残念ながら未掲載。

バンコクの下町・古き良きグルメストリート「ジャルンクルン通り」

最近のタイは屋台に厳しい。タイには屋台巡りに行くものだと思っていたし、バンコクでも歩道に溢れる名屋台で食べ歩くのが旅行の目的になる時代があった。

ジャルンクルン通りのロビンソンデパート裏路地には屋台が並ぶ
ジャルンクルン通りのロビンソンデパート裏路地には屋台が並ぶ

「ジョークプリンス」の周辺はそんな消えゆく屋台街がいまだ健在。「ジョークプリンス」の建つジャルンクルン通りは歴史ある名食堂も多く、バンコクっ子からもストリートフードや、昔からの名店の味が楽しめる場所として認識されている。

オリエンタルホテル、シャングリラホテル、ルブアアットステイトタワーなど高級ホテルのおひざ元でもある
オリエンタルホテル、シャングリラホテル、ルブアアットステイトタワーなど高級ホテルのおひざ元でもある

ジャルンクルン通りは1864年に開通したバンコクで最も歴史ある車道で、昔からタイに駐在していた外国人が馬車で通っていたのだそう。VIPや外国人が集まる要素があり、創業147年のオリエンタルホテルもこの通りにある。その影響なのだろうか。シャングリラホテル、ルブアアットステイトタワー、カペラホテル、フォーシーズンズバンコクなど、高級ホテルが目立つ通りだ。
歴史が古い通りであるがゆえに、昔から店を開けている老舗も多く、その中には家族数代に渡りタイ人に愛され続ける名店が残っている。

ジョークプリンスはリニューアルオープンしている

「ジョークプリンス」も創業約80年近い老舗。
初めて訪れたのは24年前。路地に辛うじて建てたのかな?と思うほど、床は土がむき出して通り抜けできるような店先だった。その後、床がコンクリートになり、椅子やテーブルが不揃いでなくなったりと、少しずつ良くなっていった。

しかしコロナ禍前の近年、偶然リニューアル工事中に訪れたことがあり「あれ?ジョークプリンスがない(号泣)!」と焦ったことがある(それが入れなかった1回にカウントされている)。

看板は昔のまま
看板は昔のまま

「なくなっちゃったのかな、移転したのかな?」とモジモジしたまま、まるっと1年ほど行かなかったのだが、ロビンソンデパートに立ち寄った際に様子を見に行ったら、リニューアルオープンしているのを発見。やっと行けたと思ったらコロナ禍が到来。2022年から再訪している。
いつも店先で口頭で注文していたため、メニューをろくに見たことがないのだが、意外としっかりした日本語のメニューもできたようだ。時の流れって凄いなあ!

昔訪れたことがある人は、昔よりオーダーしやすいし、店内も快適になったのでぜひ再訪してほしい。

活気あるジョークプリンスの店先

「オープンキッチン」と言ったらカッコイイが、本当に昔はお粥を作るキッチンがメインで、申し訳程度にイスとテーブルが置いてあっただけ。今もそのスタイルは変わらず、店先の一番目立つ場所にキッチンがあり、たくさんの鍋をかき回すおねえさまの姿が。
テイクアウトのお客さんが多い店は、キッチンが通りに面していることが多い。

淡々と切り盛りするおねえさん。話しかけると優しい
淡々と切り盛りするおねえさん。話しかけると優しい

その姿たるやもはやかっこいい。

忙しい時間だったが撮影は「いいですよー!」とのことだった
忙しい時間だったが撮影は「いいですよー!」とのことだった

いすやテーブルはシンプルながらちょっとレトロなカフェみたいになった。席数が増え、よく訪れる国の人たちの言葉で感謝の気持ちが現わされているのもうれしい。しっかりと日本語もあるぞ!

4月はPM2.5が酷く、バンコクではマスクをしている人が多い
4月はPM2.5が酷く、バンコクではマスクをしている人が多い

ジョークとは?

最初に訪れた時は店名の「ジョークプリンス」ってどういう意味なんだろう?と思った。笑えない冗談ばかり言う王子って意味?と思う人もいるかもしれない。いや、いないかもしれない。
この「ジョーク」はお粥の指すのだが、タイには「お粥」というか米を煮込んだものが2種あり、一つはこの店名にあるジョーク。砕いたタイ米をコトコト煮込んだお米のポタージュ的なもの。もう一つはタイ米を煮たカオトムだ。
つまり店名は「お粥の王子様」的な感じ。きゃー、なんかイケメンぽい(うるさい)。

ざざっと鍋に注がれるお粥王子
ざざっと鍋に注がれるお粥王子

豚肉団子がスーパーうまい!

このお店にはプレーンなジョークはなく、豚肉団子の入ったジョークがベーシックだ。その肉団子なのだが、見てほしい。
一つが大きい上に、豚肉は荒く叩いただけの、肉の食感がしっかりと残る肉団子だ。だから食べた時の存在感が半端ない。
一つのジョークに4,5個入っているので、豚肉好きにはたまらないはず!

お粥王子と相性最高の豚肉団子様!
お粥王子と相性最高の豚肉団子様!

注文方法は?

店内でいただく場合は、テーブルに座ったらメニューを見せてもらえる。日本語も併記してあるメニューは見やすく、とてもオーダーしやすい。指差しで注文すれば何の問題もない。
テイクアウトなら店先のスタッフに声をかけてメニューを見せてもらうか、カウンターの壁にある英語のメニューでオーダーしても良い。
私はいつも基本の肉団子のお粥に卵を入れてもらうだけなので「アオ、ジョークヌン(ジョークひとつ)。コー サイカーイ(卵入れてください)」と、言い続けてきたが、内臓入りもなかなかおいしそうなんだよなあ。今度はそれいってみよう!

ちなみに卵入り肉団子ジョークで2024年5月時点で50バーツ(2024年9月のレートで215円)。

テイクアウトするなら?

私はジャルンクルン通りのホテルに泊まる場合は、テイクアウト、それ以外の場所から、わざわざ「ジョークプリンス」を訪れた場合は、店先で食べるようにしている。
テイクアウトは「アオガッバーン(持ち帰り用)」「サイトゥンダイマイカー(袋に入れてもらえますか?)」などと言うと「ああ、持って帰るんだな」と理解してくれるが、「テイクアウェイ」と言えば無理にタイ語でなくても通じる。

ホテルが近ければ部屋でゆっくり食べても最高

直近ではジャルンクルン通りのサービスアパートメントに泊まっていた私は、部屋に食器が多いこと、テーブルのあるチャオプラヤー川一望のテラスがあることからテイクアウト。
トッピングのショウガとネギ、味調整のナンプラーもビニールの小袋に入れて渡してくれる。タイの屋台のこういう細やかさって凄いと思うのよね。

アイスカフェラテは、「ジョークプリンス」の近くにある、タイ発のコーヒーショップ「カフェアマゾン」で購入。

タイ常連の私が初めてジョークを食べた店

私が初めてこの店を訪れたのは、タイにハマってまだ2度目か3度目の渡タイ時だったと記憶している。ガイドブックを頼りに訪れたこの店は、70回タイを訪れた中で、初めてジョークというお粥を知ることになった店でもある。

ジョークの味は?

当時の私は「お粥なんて米を煮て、好きな具材を入れて卵を落とせば何でもおいしくなるんじゃないの?」程度にしか考えていなかった。

それが「え?なにこれ?こんなに美味しい米料理がまだ世の中にあるの?」と衝撃を受けてしまった。それくらい旨い!

トロトロのジョークは、ふんわりと優しい口当たりながらも、ジョーク自体にしっかりとコクのある中華スープベースの味を感じる。まさにお米のポタージュスープのような「カレーは飲み物です」に匹敵する「お米は飲み物です」になっている料理だと思う。

アツアツのジョークの中に沈んでいた卵は、いい感じに温泉卵状態。この卵の黄身をジョークに絡めながら、荒く叩いた豚肉団子にかぶりつくと、これまた肉汁も相まって、口の中が天国に。思わず「うんめー!」と叫んでしまう。

好き嫌いが分かれるお焦げの匂い

実は「ジョークプリンス」のジョークを初めて食べた時に「焦げてるのかな?炭火調理なのかな?」と思ったことがあるほど、ジョークを口に入れた時に香るお焦げの匂いに驚いた。ガスボンベを店内で見かけるのでガス調理だと思うのだが、この焦げた匂いは通い始めて一度も失われたことがない。ちなみに、他店やホテルの朝食で食べたジョークは焦げた風味や香りはしない。
観光客には好みは分かれるところだが「ジョークプリンス」のジョークはお焦げ臭が肉団子同様マストらしく、それがこの店のジョークの味の特徴で、美味しさなのだそうだ。へぇ...。
私はこの「お焦げ臭」に関しては正直どちらでもいい(笑)。
あってもなくても味が美味しいと思うし、邪道で申し訳ないが、できればない方が好みかもしれない(笑)。

お粥完売で閉店・土日は外まで行列

平日の朝8時30ならすいてたよ、とか、回転が早いのですぐに入れたって教えてくれる在住日本人の方もいるだけど...なんでだよ(号泣)!私なんか15回店まで行って5回程度しか食べられなかったんだよっ(鼻水)。
教えに則り平日朝8時30分に行って4回「お粥が売り切れました」って言われたことがあるし、まだ19時なのに「お粥が売り切れました」って言われたこともある。
平日の朝8時に行ったら外まで凄い行列で、その日予定があってこんなに待てないなんてこともあった。ランチの時間をずらしたり、夕食の時間をずらして行ったら今度は閉店(要は売り切れ)してたことも何度もある。
じゃあどうすりゃいいんだよ!と心の中で絶叫しながらそれでも食べたいから足が向かう。
私にしたら「食べられたらラッキーなジョーク」なのだ。
そう言えば2023年秋、タイのプーケット、パタヤ、クラビが世界で最も混雑する観光地の1位から3位を独占したのだが(MoneyTransfers.com調べ)少なからずバンコクにもふりかかってきていないだろうか。とにかくここ最近のジョークプリンスの混雑っぷりは、昔の混雑とはまた一味違うと感じた。
特に土日は避けた方が良いし、ジョークプリンスに立ち寄る日は、他の予定が流動的になる日を強くおすすめする。

ジョークプリンス(โจ๊กปรินซ์)
所在地:1391 Charoen Krung Road, Khwaeng Silom, Khet Bang Rak, Krung Thep Maha Nakhon 10500
営業時間:6時~13時/15時~23時※ジョークがなくなり次第終了
定休日:無休

タイ大好きトラベルライター

タイ旅行・タイエンタメ関連ライター。25年前タイにはまり「住んだら飽きるかも?」と1年住んで、ますますハマってしまいタイ大好き病が悪化。タイ関連記事は旅行、映画、ホテル、タイ芸能人・文化人インタビューなど多媒体&多岐に渡る。個性あるタイのホテルが大好きで泊まり歩く日々。特に好きな都市はチェンマイ、チェンライ、カオラック、バンコク、ホアヒン。ライター・編集者歴30年。大手音楽事務所宣伝部を経て某バンドの会報ディレクション、映画情報誌・旅行誌・インバウンドサイト・旅行サイトなど多くの編集部で執筆・編集を行ってきたライター・編集ひと筋のヒト。

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