スイスがF-35A戦闘機の調達契約に署名。国民投票は無し
9月19日にスイスがF-35A戦闘機36機の調達契約に署名しました。この購入の是非を問う国民投票の計画が持ち上がっていましたが、スイス議会は9月15日に調達契約を承認しているため、調達契約が成立した以上はもう国民投票は行われません。売却するアメリカ側は昨年10月に既に署名済みで、これでスイスのF-35A購入は確定となります。
Air2030: Beschaffungsvertrag für die Kampfflugzeuge F-35A unterzeichnet (航空2030計画:F-35A戦闘機の調達契約締結:スイス連邦評議会)
- 2014年:スイス国民投票でグリペンの購入を否決
- 2020年:スイス国民投票で次期戦闘機購入を可決
- 2021年:スイス空軍は次期戦闘機にF-35Aを選定
- 2022年:スイス国民投票を行わずF-35A購入確定
これによりスイス空軍は老朽化したF-5E戦闘機およびF/A-18C戦闘機をF-35A戦闘機で置き換えます。2020年のスイス国民投票で戦闘機購入の是非が50.15対49.85の僅差で可決された後に、2021年にスイス空軍は購入できる候補機の中で唯一のステルス戦闘機(つまり候補機の中で最強の存在)であるF-35Aを選び、そして2022年のロシアによるウクライナ全面侵略という未曽有の危機が発生して、スイス空軍と政府の選択は先見の明があったことが証明されました。
とはいえ一度は国民投票でグリペン戦闘機の購入を否決した後に、二度目の国民投票では綱渡りのような僅差で戦闘機の購入を可決した結果、F-35A戦闘機に乗り換えて最良の機種を得ることになった経緯は偶然としか言いようがないのですが、スイス空軍と政府は転がり込んできたチャンスを最大限に活かしたとも言えます。
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