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BNPパリバオープン第5シードの錦織圭、多忙なオフコートも楽しみながら笑顔で

内田暁フリーランスライター
元女王のマルチナ・ヒンギスと健闘を称えあう錦織

先週末のデビスカップが開催されたカナダのバンクーバーから、飛行機でググ~ッと南下すること約1,700キロ。フライト時間にすればわずか2時間半ほどですが、現在BNPパリバオープンが開催中のカリフォルニア州インディアンウェルズは、晩冬のバンクーバーから一転、気温30度を超す真夏の日差し。青空を突き刺すヤシの木と赤土むき出しの岩山、そして地中海を思わせる白塗りの高級邸宅の並びが、リゾート地特有の現実離れした空気を醸成します。

自他共に”第5のグランドスラム”を標榜するこの大会は、毎年のように施設が改善され、大会前に行なわれるイベントなども盛りだくさん。そして我らが(?)錦織圭も、大会第5シードとしての責務を果たすべく、多くのプロモーション活動やメディア対応を精力的にこなしております。

昨日はウイルソンのプロモーションに加え、会場近くのテニスクラブで行なわれた“プロ・アマ大会”に参加。このイベントはクラブ会員たちによるプロ・アマ混合のリーグ戦で、優勝者は錦織やマルチナ・ヒンギス、ダビド・フェレールらと打ち合うチャンスが得られます。さらにはトッププロによるミックスダブルスや、選手たちと写真を撮れる特典もこのイベントの目玉でしょう。

エキジビションのミックスダブルスでは、ヒンギスとの壮絶なボレー合戦を繰り広げたり、公式戦では封印している“唸り声”を連発してペナルティを取られるなどの活躍を見せた錦織。試合後に笑顔で記念撮影に応じる姿にも、余裕や貫録が感じられます。

そして本日は数時間にわたり、テレビや大会公式ウェブサイト用のビデオ撮影、さらに新聞や雑誌等への囲み取材などに対応しました。トッププレーヤーはこのように、コート外での責務も多岐に渡ります。煩わしいことも多く大変だろうと思うと同時に、フェデラーやナダルたちは10年近く、このようなオフコートでのノルマもこなしながら今の地位にいることに改めて驚きを覚えもします。錦織も「上に行くほど、フェデラーやナダル、ジョコビッチたちのすごさを実感する」と言っていましたが、その発言の背後には、自分が今経験しつつある多忙さや注視へのプレッシャーもあるでしょう。

「日本のメディアは大騒ぎしているようで、プレッシャーを感じるのでは?」

今日の囲み取材では、米国の記者からそんな質問も向けられました。

「そんなことはないよ。僕は18歳の頃から取材は多く受けてきたから、慣れてもいる。多くのファンにテニスのことを知ってもらうのは大切だし、ファンのサポートが得られるのはうれしいこと」

大会第5シードは、さらりとそう言いました。改めて日本語でメディア対応について尋ねると、ふわりとした笑みを浮かべて、こう言います。

「楽しいことの方が大きいかなと思います。テニスと離れる時間も必要だと思いますし。写真やCM撮影は緊張するところもありますが、慣れてきたのは確かだと思います」

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さて、本日はそんな取材の一環として、大会公式用のちょっとユニークなインタビューがありました。それは、5歳の子供たちが描いた選手の似顔絵を見て、誰か当てるというもの。「えー、難しいな~。わかんないよ」とタジタジだった錦織ですが、見事マリア・シャラポワを当ててガッツポーズ。見ていた周囲のスタッフたちも思わず笑顔。本人のみならずメディアや大会スタッフたちも、新たなトップシード選手の参入を楽しんでいるようでした。

※テニス専門誌『スマッシュ』のfacebookより転載。大会期間中のレポートも掲載する予定です

フリーランスライター

編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーランスのライターに。ロサンゼルス在住時代に、テニスや総合格闘技、アメリカンフットボール等の取材を開始。2008年に帰国後はテニスを中心に取材し、テニス専門誌『スマッシュ』や、『スポーツナビ』『スポルティーバ』等のネット媒体に寄稿。その他、科学情報の取材/執筆も行う。近著に、錦織圭の幼少期から2015年全米OPまでの足跡をつづった『錦織圭 リターンゲーム:世界に挑む9387日の軌跡』(学研プラス)や、アスリートのパフォーマンスを神経科学(脳科学)の見地から分析する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。

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