Yahoo!ニュース

人間関係で悩んでいませんか?良好な人間関係を保つための5つの秘訣を心療内科医が解説

私たちの悩みの8割以上は人間関係で悩んでいると言われています。
対人関係で傷ついたり、腹が立ったりする出来事も多いと思います。
でも、良好な人間関係を保つための秘訣(ひけつ)を知ることで、人間関係によるストレスを減らすことができます。
そこで、この記事では、良好な人間関係を保つための5つの秘訣を解説します。

良好な人間関係を保つための交流分析

好意を持っている人とは笑顔であいさつができるけど、そうでない人とは同じような笑顔ではあいさつできないことはよくあると思います。
苦手な人には、どうしても無表情で心がこもっていないあいさつになるかもしれませんが、そんなあいさつでは相手を不快に感じさせてしまい、関係が悪化してしまいます。
このように自分と相手との交流を分析すること(交流分析)で、良好な人間関係を保つためにどのような行動をすればよいのかを理解できるようになります。

相手の存在を認める表現(ストローク)

以前の記事では、交流分析の理想の基本的な構えは、「私はOKである、あなたもOKである」ことを解説しました。
「私はOKである」は、自分自身の存在を認めるポジティブな表現であり、「あなたはOKである」は、相手の存在を認めるポジティブな表現です。
この存在を認める表現は、「ストローク」と呼ばれます。

自分からあいさつをして、相手からもあいさつが返ってきた場合には、自分から相手にストロークを与え、相手から自分にストロークが返ってきたことになります。
相手からほめられたり、好きな相手からハグをされたりすることも相手から自分にストロークが与えられたことになります。
つまり、日常生活で私たちはストロークをやり取りしています。
このストロークをうまく使うことで、私たちは良好な人間関係を保つことができます。

良好な人間関係を保つための5つの秘訣

では、そのストロークをうまく使うためには、どのようにしたらいいでしょうか?
ここでは、ストロークを使って良好な人間関係を保つための秘訣(3つ)とストローク以外の方法を使って良好な人間関係を保つための秘訣(2つ)を解説します。

① 言葉以外によるストロークに気を配りましょう!

さきほど説明した笑顔やハグは、言葉以外によるストロークです。
笑顔であいさつをすれば、言葉によるストロークと言葉以外の笑顔によるストロークの両方を相手に与えることができます。
表情、視線、声のトーン、しぐさ、態度などの言葉以外によるものによって相手に与える印象は大きく変わります。
そのため、これらの言葉以外によるストロークに気を配ってコミュニケーションをとることは、とても重要です。

② ポジティブなストロークを与えましょう!

笑顔で話す、相手をほめるなど相手がうれしくなるような表現は、ポジティブなストロークです。
そのため、なるべくポジティブなストロークを与えるようにしましょう!
逆に、無視したり、相手の意見を理解しようともせずに否定するなど相手がネガティブな気持になる表現(ネガティブなストローク)は、なるべく避けるようにしましょう!

③ 無条件のストロークを与えましょう!

ある条件(行動)に対してストロークを与えることを条件つきストロークといいます。
例えば、親が子どもに「テストの点数が満点だなんて、すごいね」といった場合です。
この時は、ある条件(行動)が「テストの点数が満点であること」であり、その条件に対してストロークを与えることが「すごいねとほめること」になります。
https://therapynavi.com/stroke/より

これに対して、無条件のストロークは、条件なくストロークを与えることになります。
例えば、親が子どもにテストの点数なんて関係なく、「居てくれるだけでいいんだよ」とか「大好きだよ」などのように無条件に相手の存在そのものを認めるメッセージを与えることです。
無条件のポジティブなストロークを相手に与えていると、次第に相手からも無条件のポジティブなストロークを得ることが増えてきますよ!

ストロークについてもっと詳しく知りたい方は、こちら(外部リンク)の記事を読んでください。

④ 相手の気持ちを推察して、相手の立場に立ってみましょう!

相手の立場に立って考えていても、自分の考え方や価値観のままで相手の目線に立っても、本当に相手の立場に立っているとは言えません。

相手の立場に立って考えることは大事であることはわかっていて、そのことを実践しているつもりでも、実際には相手の立場に立って考えられていない場合があります。
多くの人は自分の考え方や価値観のままで、相手の目線に身を置き換えるだけで考えてしまうため、相手の考え方や価値観で考えることができていません。
本当の意味で相手の立場に立つことは難しいことですが、そのことができるようになると相手とのコミュニケーションが良好になり、人間関係のストレスを減らすことができます。
https://therapynavi.com/perspective-taking/より

相手の考え方や価値観を推察して、相手の立場に立つ方法を以下に示します。

相手とコミュニケーションが取れない場合
・相手と同じ目線で物事を見る
・相手がどういう気持ちでいるのかを想像する
・相手がどういう行動を取るのかを想像する

相手とコミュニケーションが取れる場合
・相手が話しやすい環境を作る
・相手に興味を持って、相手の気持ちや意見を聴く(相手の話を否定しないで聴く)
・相手が何を考えているか・何を感じているのか・何をしたいのかを理解する

https://therapynavi.com/perspective-taking/より

相手の気持ちを推察して、相手の立場に立つことについてもっと詳しく知りたい方は、こちら(外部リンク)の記事を読んでください。

⑤ 相手を不快にさせずに自分の言いたいことを言いましょう!(アサーション)

相手との関係が悪くならないように、言いたいことが言えないことはありませんか?

以前の記事でもお伝えしたように、言いたいことを相手に言ってしまうと、相手を不快にさせてしまうのではないかと気になりますよね!
でも、言いたいことが言えずに我慢しているとストレスがたまってしまいます。
そんな時は、相手を不快にさせないで自分の言いたいことを言えるようにする方法であるアサーションを使ってみましょう。

アサーションとは、「相手の考え方や価値観を尊重して理解していることを事前に相手に伝えることで、相手を不快にさせることなく、自分の気持ちや意見を伝えることができるコミュニケーションの方法」です。
相手が言ったことや行ったことを否定しないで、相手の気持ちを理解していることを伝えた上で、自分の気持ちや意見を伝えるようにしましょう!

アサーショントレーニングでは、相手の気持ちを推察すること、自分なりのものの見方や考え方について考え直すこと、感情的にならないようにすること、相手を尊重していることがわかるように相手に伝えること、相手に対する要求を主張しないで自分の気持ちを伝えることが重要であり、これらについてトレーニングを継続することで、アサーティブなコミュニケーションができるようになります。

https://therapynavi.com/assertion/より

アサーションについてもっと詳しく知りたい方は、こちら(外部リンク)の記事を読んでください。

まとめ

今回の記事では、良好な人間関係を保つための5つの秘訣について解説しました。
言葉だけでなく言葉以外のストロークにも気を配り、無条件のポジティブなストロークを相手に与えることで、良好な人間関係を保つことができるようになります。
また、相手の気持ちを推察して、相手の立場に立って、相手を不快にさせずに自分の言いたいことが言えるようになると、もっと良好な人間関係を保つことができるようになります。

是非、参考にして実践してみてくださいね!

心療内科専門医・総合内科専門医のよっしーです。心療内科医として20年以上、大学病院で15年以上患者さんを診察してきました。大学では教授として研究や学生の教育も行っています。より多くの人たちのお役に立てるような心と身体の情報を発信しています。健康な人にとっても病気の予防にも役に立つ効果的な治療法(セラピー)の情報やその実践法についてもわかりやすく解説しています。

心療内科医よっしーの最近の記事