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あすにかけて広範囲で大荒れに 台風21号を吸収した低気圧が急発達

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
2日(金)朝の予想天気図。

きょう1日~あす2日は、低気圧が急発達して進み、全国的に風が強まります。台風21号崩れの高温多湿の空気を吸収し、低気圧は猛烈に発達。過去の同様の例では大きな被害も出ており、警戒が必要です。

台風21号が乗り移って発達する低気圧

台風21号崩れの高温多湿の空気が、北の低気圧に吸収される。低気圧は急激に発達。
台風21号崩れの高温多湿の空気が、北の低気圧に吸収される。低気圧は急激に発達。

今週、沖縄の先島諸島に暴風をもたらした台風21号は、その後、大陸に上陸して崩れました。

ただ、台風を形作っていた、高温多湿の空気は生き残っています。

その空気は上空の偏西風に流され、日本へ向かって流れ始めたタイミングで、北を進む低気圧が吸収。台風21号が乗り移った形となり、低気圧は猛発達します。

過去には船の転覆や山岳遭難も

2006年10月の天気図。台風16号を吸収し、前線上に発生した低気圧が猛発達。
2006年10月の天気図。台風16号を吸収し、前線上に発生した低気圧が猛発達。
2004年12月の天気図。台風27号を吸収し、前線上に発生した低気圧が猛発達。
2004年12月の天気図。台風27号を吸収し、前線上に発生した低気圧が猛発達。

元々は台風だった空気を吸収し、低気圧が猛発達した事例は、過去にもあります。

2006年10月。台風16号が崩れたあとの暖湿空気を吸収した低気圧は、関東~東北太平洋側で猛烈に発達。

暴風が吹き荒れて、海は猛烈なしけとなり、各地で船の座礁などが相次ぎました。宮城県沖ではサンマ漁船が横倒しとなり16人が犠牲となる事故も起こっています。

また、長野県や岐阜県では、山岳遭難も発生しています。

2004年12月には、台風27号が崩れたあとの暖湿空気を吸収した低気圧が猛発達。全国各地に激しい雨や暴風をもたらし、東京都心でも史上2位となる最大瞬間風速40.2m/sを観測しています。

北日本は暴風雨 関東南部も今夜~明朝は荒れる

北海道は3日(土)も暴風に警戒が必要。
北海道は3日(土)も暴風に警戒が必要。

今回の低気圧は日本海から北海道の北へ進むため、影響は北日本で大きくなります。北海道や東北では、明日にかけて交通機関が混乱するレベルの暴風雨になるおそれも。

竜巻など激しい突風が起こる可能性も否定できません。

また、九州~関東でも、沿岸部を中心に風が強まり、一時的に雨が激しく降りそうです。

影響は北日本ほどではないかもしれませんが、関東南部など南側に海がある地域は、南風が強まりやすく、交通機関の乱れ等に要注意です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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