NY金2日:イエレン発言を受けて売り安心感、年初来安値を更新
COMEX金2月限 前日比9.70ドル安
始値 1,067.90ドル
高値 1,071.00ドル
安値 1,049.40ドル
終値 1,053.80ドル
イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米経済に対して強気スタンスを示したことが嫌気され、大幅続落となった。
アジアタイムからじり安の展開になったが、イエレンFRB議長の講演に急落地合を形成し、一時1,050ドルの節目も割り込む急落地合になった。その後は短期的な目標達成感から買い戻しが膨らむ場面もみられたが、1,050ドル台前半を回復するのに精一杯であり、本日の安値圏で引けている。
イエレンFRB議長は、12月15~16日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに着手するのか明言を避けたが、労働市場の回復が進む一方で海外からのリスクがなくなる中、利上げは米経済が景気後退から回復していることの証明になるとの見方を示した。その後の金利軌道については「緩やかな」ものになることが再確認されており、急激な引き締めが金融市場と景気回復にリスク要因になるとの認識を示している。ただ、少なくとも米金融政策が正常化プロセスに進む流れが再確認される中、ドルにポジティブ、金にネガティブと評価されている。
今回の講演内容にサプライズ感までを見出すことはできないが、少なくとも金市場に対して投機マネーが流入する必要性は乏しく、売り安心感の強さが再確認されている。ドルは対ユーロで高値を更新しているが、明日は欧州中央銀行(ECB)理事会の開催も控えている。イベント消化後はユーロの買戻しが一時的に膨らむ可能性も低くはないが、米欧の金融政策スタンスの違いを考慮すれば、ドル高がドル建て金相場の下値切り下げを促すフローは維持されよう。
1,050ドルの節目を割り込む中、次は緩やかなペースで1,000ドルの大台割れが打診されることになる。なお現物市場主導で安値是正を進めるような動きは確認できず、米利上げイベントの織り込みが続くことが、ドル相場高・金相場安を促す見通し。