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2022年版ゲームソフトの表紙写真に抜擢!今シーズンも大谷翔平の活躍は問題なし?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
2022年版ゲームソフトの表紙写真に選ばれた大谷翔平選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【大谷選手が2022年MLBの顔に選出】

 プレイステーションやXボックスなどのゲーム機器用に開発されたMLBゲームソフト『MLB:THE SHOW』の2022年版が現地時間の1月31日に発表され、表紙写真を大谷翔平選手が飾ることになった。

 ここ数年の同ソフトの表紙写真を飾ってきたのは、アーロン・ジャッジ選手やフェルナンド・タティスJr.選手など、MLBを代表する若手スター選手ばかり。昨シーズンの大谷選手は投打にわたり球史に残る活躍をみせ、MVPを満票受賞しており、順当に2022年の顔に選ばれた。

 同ソフトの発表はニューヨークのタイムズスクエアでも実施され、その様子はSNS上でも配信されている。

 ちなみ2006年から販売されている同ソフトの表紙写真に抜擢されるのは、エンジェルスの選手として初めてのことで、マイク・トラウト選手でさえ実現したことがなかった快挙だ。

【表紙写真に選ばれる選手は活躍できない?】

 直近5年間に表紙写真に選ばれた選手を見てみると、2017年は引退したケン・グリフィーJr.氏だったが、それ以降は2018年がジャッジ選手、2019年がブライス・ハーパー選手、2020年がハビアー・バエス選手、2021年がタティスJr.選手と、MVPを代表する成長著しい若手選手が選ばれる傾向にあった。

 今回大谷選手が選ばれたのも、今後MLBを背負うだろう選手として認められた証だとも言える。

 ちなみにNBAのゲームソフト『NBA 2K』シリーズに関しては、表紙写真に選ばれた選手は、そのシーズンに活躍できないというジンクスが囁かれたことがあったのをご存知だろうか。

 そこでMLBソフトでも同じような傾向があるのかが気になったので、グリフィーJr.氏を除く上記4選手の表紙写真に選ばれたシーズンと前年の成績をチェックしてみた。

【4選手の2年間の成績を比較すると…】

●ジャッジ選手

 2017年:155試合/打率.284/52本塁打/114打点/OPS1.049/WAR8.0

 2018年:112試合/打率.278/27本塁打/67打点/OPS.919/WAR5.9

●ハーパー選手

 2018年:159試合/打率.249/34本塁打/100打点/OPS.899/WAR1.8

 2019年:157試合/打率.260/35本塁打/114打点/OPS.882/WAR4.5

●バエス選手

 2019年:138試合/打率.281/29本塁打/85打点/OPS.847/WAR6.6

 2020年:59試合/打率.203/8本塁打/24打点/OPS.599/WAR0.8

●タティスJr.選手

 2020年:59試合/打率.277/17本塁打/45打点/OPS.937/WAR2.8

 2021年:130試合/打率.282/42本塁打/97打点/OPS.975/WAR6.6

【前年を上回る活躍をしたのはタティスJr.選手だけ】

 データを比較検証する限り、前年を上回る活躍をしたのはタティスJr.選手だけで、ほぼ現状維持がハーパー選手、前年より下回っているのがジャッジ選手とバエス選手ということになる。

 ただバエス選手とタティスJr.選手の場合、新型コロナウイルスの影響で短縮シーズンになった2020年が含まれているので単純比較するのはなかなか難しいところだ。

 さらにハーパー選手に関しは、2018年の成績自体は決して芳しくなかったが、オフにFAとなり、フィリーズと同年オフの最高額で契約したことが話題になって選ばれた要素が強い。

 それを踏まえると、前年に目覚ましい活躍をして表紙写真に選ばれるという大谷選手のパターンに最も類似しているのは、ジャッジ選手だけということになるのだが、彼は明らかに前年を下回っているのが分かるだろう。

【大谷選手の気がかりなのは故障だけ?】

 それでも心配には及ばない。

 2017年に52本を放ち本塁打王のタイトルと新人王を獲得したジャッジ選手は、2018年も決して不調だったわけではない。前年ほど本塁打を量産していたわけではないが、シーズン前半戦終了時点25本塁打を記録し、前半戦はOPSもずっと10割前後を維持し続けていた。

 ところが7月26日のロイヤルズ戦で死球をぶつけられ右手首を骨折し長期離脱を余儀なくされ、復帰できたのが9月に入ってから。結局後半戦はわずか2本塁打に止まってしまったのだ。もしケガをしていなければ、本塁打王争いに絡んでいた可能性は十分にあった(2018年のア・リーグ本塁打王は48本)。

 あくまでここ数年の傾向ではあるが、MLBソフトの表紙写真に選ばれた選手たちで、その年のシーズンで成績不振に陥ったのはバエス選手のみで、しかも彼の成績は短縮シーズンのものなので、今一つ信頼性が薄いということになる。

 ということで、今シーズンの大谷選手の活躍を期待して良さそうだ。とにかくジャッジ選手のようなケガだけは防いで欲しいものだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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