中国やインドの増えっぷりに驚き・主要国の一次エネルギー消費量推移
10年間のエネルギー消費の変化をたどる
エネルギーの利用状況はその国の発展度合いを推し量るモノサシの一つとなる。主要国の動向を、イギリスに本拠地を構える国際石油資本BP社が毎年発行しているエネルギー白書「Statistical Review of World Energy」から確認し、そこからここ十年ほどの変化を見ていくことにする。
「一次エネルギー」とは、自然界に存在する形を用い、エネルギー源として使用されているものを指す。化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)、ウラン、そして水力・火力などが該当する。他方「二次エネルギー」も存在するが、これには電気やガソリンに代表される、一次エネルギーに手を加えて得られるエネルギーが対象となる。今回は「一次エネルギー」を対象にしているため、要は「国内外を問わず、どのような自然の恵みをどれだけ用いているか」について精査することになる。
最新の2015年分データでは、一次エネルギーをもっとも多く消費している国は中国、次いでアメリカ合衆国の順となっている。
直近の2015年時点における上位国10か国に関して、過去10年分をさかのぼり、その動向を追ったのが次のグラフ。上位5位に限っては折れ線グラフも別途生成した。
中国の工業化は急激に進み、それに伴い一般市民の生活水準も向上。それが元々人口の多い同国のエネルギー消費量増加に拍車をかける形となっている。つまり人口増加×一人あたりのエネルギー利用量増加で、累乗的に消費量は増えていく。産業面でも似たような状況なのは明白。
上記グラフにある通り、米中両国間でエネルギー消費量が逆転したのは2009年。アメリカが景気後退や省エネ化の促進でエネルギー消費量を漸減している一方(技術や経済力、工業力の伸張が、必ずしもエネルギー消費量の増加には連動しないことは要注意)、中国は漸増を続けているのだから、両国間でクロスが生じるのも当然の話。双方のエネルギー政策、消費動向に変化はなく、時間の経過と共に差異はさらに開く傾向にある。
また、インドと日本においては、米中同様に日本の漸減・インドの増加により、こちらも2009年に逆転現象を起こしている。ただしインドでは、中国ほど大規模な増加率はまだ示していない。もっとも2015年の前年比はプラス7.0%。非常に大きな伸び率に違いない。
前年比の推移から動向をチェック
これら諸国のエネルギー消費量について、前年比計算をした上でグラフとして生成したのが次の図。多数国を一枚に収めるため、多少見難くなるが、あえて棒グラフにしている。
多くの国で2009年の値が大きなマイナス値を示している。これはリーマンショックの直接の影響を受けて、産業・消費が停滞、その分エネルギー消費量も減退したのが原因。その反動もあり、2010年はそれなりにプラスを示しているが、それ以降は息切れしている国も少なくない。
一方で、上記に挙げた中国やインド、さらにはブラジル、イランでは金融不況やリーマンショックの影響もほとんど受けず、ほぼ継続的にエネルギー消費量を増やしている。特に中国とインドはその上げ幅も大きく、絶え間ない伸びを示しているのが分かる。
今回言及した「エネルギーの消費量」はあくまでも産業・経済の発展を示す一つの指標に過ぎず、絶対的なものでは無い。例えば他の条件が同じなら、人口が多い国の方が量も大きくなるのは当然の話。また、エネルギーの消費効率(要は無駄遣いしているか否か)でも大きな変化か生じる。単に多ければ良いわけでは無い。GDPなどと同等に、一律に扱うのは難がある。
今件「一次エネルギー消費量」はそれらを把握した上で、眺めることをお勧めしたい。
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