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得点>失点なのに勝てない。阪神の不思議

小中翔太スポーツライター/算数好きの野球少年

このピンチを凌げるか、ここで1本打てるか、この試合は落とせない・・試合やペナントレースの中ではポイントとなる場面がある。そんな重要な局面において阪神が勝負弱い印象を受けるのは、単にメディア露出が多いからだろうか。4度進出したCSでは1度もファーストステージを突破していない。阪神ファンはやきもきしているに違いないが、それはこんな数字が影響しているのかもしれない。

過去5年間のセリーグの勝敗と得失点差

2009年

巨 +43 +157

中 +19 +97

ヤ -1 -58

阪 -6 +14

広 -10 -47

横 -42 -188

2010年

中 +17 +18

阪 +15 +100

巨 +15 +94

ヤ +4 -4

広 -26 -141

横 -47 -222

2011年

中 +16 +9

ヤ +11 -20

巨 +9 +54

阪 -2 +39

広 -16 -57

横 -39 -164

2012年

巨 +43 +180

中 +22 +18

ヤ +3 -15

広 -10 -27

阪 -20 -27

De -39 -149

2013年

巨 +31 +89

阪 +6 +43

広 -3 +3

中 -13 -73

De -15 -56

ヤ -26 -105

トータル

巨 +141 +574

中 +61 +69

阪 -7 +169

ヤ -9 -202

広 -65 -269

De -182 -779

巨人、広島、DeNAは勝敗と得失点差の比率がだいたい1:4(得失点差+4で貯金1、-4で借金1)となっている。ほぼ1:1なのが中日。終わってみれば1点勝っていた、という試合が多い印象だったがいかにも中日らしい比率だ。大健闘はヤクルト。得失点差は-202ながら借金はわずかに9。シーズン終盤にケガ人が続出することが多いが、フルスロットルで戦い続けた反動なのかもしれない。

そして問題なのが阪神。中日を得失点差で100点上回っているにもかかわらず借金を抱えている。ゲーム差に換算すると中日とはなんと34ゲーム差。

パリーグも同様に過去5年間の成績をまとめると

ソ +70 +352

日 +37 +257

西 +31 +130

楽 +12 +13

ロ -31 -62

オ -58 -252

勝敗と得失点差の比率は

1:1・・楽天

1:2・・ロッテ

1:4・・西武、オリックス

1:5・・ソフトバンク

1:6・・日本ハム

となっている。

こうしてみると勝敗と得失点差の比率が1:4前後の球団が多いことがわかる。阪神にこの比率を当てはめると貯金42のはず。ところが実際は借金7。いかにも効率が悪い。

近年の阪神は貧打が嘆かれることが多いが、最大の問題はそれ以外のところにあるのかもしれない。この体質が改善されなければ新外国人のゴメスが大当たりだったとしても、巨人の背中は見えて来ないだろう。

失点より得点が多ければ勝率は高くなる、野球に限らず点取り合戦のスポーツはそういう傾向が強いはず。何事にも例外は存在するが、若手と呼ばれる年齢層然り、ファンの多さと熱狂度然り、やはり阪神は特殊な球団だ。

スポーツライター/算数好きの野球少年

1988年1月19日大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビや高校野球ドットコムにも寄稿する。セイバーメトリクスに興味津々。

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