ウクライナ軍、ロシア製の携帯式防空ミサイル「9K38イグラ」でロシア軍偵察ドローン撃破
2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。そして両軍でドローンの撃墜が繰り返されている。
ロシア軍は主にロシア製の偵察ドローン「Orlan-10」で上空からウクライナの監視・偵察を行っている。またロシア製の攻撃ドローン「KUB-BLA」や「ZALA KYB」で攻撃を行っている。
2022年8月にはウクライナ軍はロシア製の携帯式防空ミサイルシステム「9K38イグラ」でロシア軍の偵察ドローン「Orlan-10」を爆破して撃墜させた。真っ黒に焼かれた偵察ドローン「Orlan-10」の写真も公開している。
▼携帯式防空ミサイルシステム「9K38イグラ」
再利用不可能なほど徹底的に破壊へ
ドローンは攻撃用も監視用も探知したらすぐに迎撃して破壊してしまうか、機能停止する必要がある。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。携帯式防空ミサイルシステム「9K38イグラ」は明らかに"ハードキル"だ。
特に偵察ドローンは探知されやすく、すぐに迎撃しなくてはならない。偵察ドローンは攻撃をしてこないから迎撃しなくても良いということは絶対にない。偵察ドローンに自軍の居場所を察知されてしまったら、その場所にめがけて大量のミサイルを撃ち込まれてしまい大きな被害を招きかねないので、偵察ドローンを検知したら、すぐに迎撃して爆破したり機能停止したりする必要がある。
装甲車やこのような対空ミサイルなどで偵察ドローンを壊滅させるのはコストがかなりかかるのでコストパフォーマンスが悪く見えるかもしれない。だが中途半端な破壊でドローンに搭載されている部品を回収されて再利用されてしまうよりも効果的である。両軍にとって命にかかわるので偵察ドローンこそ、すぐに爆破する必要がある。
また"ソフトキル"で機能停止して上空から落下させるだけでは、その落下したドローンを敵軍に回収されて再利用されてしまう可能性も高いので、徹底的に"ハードキル"で二度と再利用されないように壊滅しておく方が効率的でもある。携帯式防空ミサイルシステム「9K38イグラ」で撃墜されて真っ黒になるまで攻撃されてしまっては部品の再利用は無理である。
上空のドローンやミサイル撃破のためにも装甲車や地対空ミサイルは重要な兵器である。そして、そのような装甲車や地対空ミサイルは攻撃の標的になりやすく、検知されるとすぐに攻撃されてしまうので、何台でも必要である。