TWICEチェヨン「ナチスのシンボル・カギ十字」シャツ着用してSNS投稿で世界中が大炎上・謝罪
「意味を深く理解していませんでした」では許されないナチス、ホロコーストを想起させるデザイン
「TWICE」という韓国系ガールズグループのメンバーのチェヨンが2023年3月22日に自身のインスタグラムでナチスドイツの象徴だったカギ十字(ハーケンクロイツ)の模様のシャツを着用していて世界中で大炎上していた。チェヨンは英語と韓国語で「意味を深く理解していませんでした。細かくチェックできずに多くの方を傷つけてしまい申し訳ありませんでした」と謝罪文を掲載していた。
インスタグラムの写真で見ると明らかにナチスドイツのシンボルだったカギ十字(ハーケンクロイツ)のシャツを着た青年が描かれている。「ナチスっぽく見える」、「なんとなくカギ十字(ハーケンクロイツ)の絵柄に似ている」ではなくて、誰が見てもナチスのシンボルだったカギ十字(ハーケンクロイツ)である。世界中で大炎上して非難が殺到するのも当然だろうと思われるデザインである。
▼チェヨンのインスタグラムに掲載されたナチスのシンボルのカギ十字のデザインのシャツ
▼チェヨンのインスタグラムに掲載された謝罪文
過去に何回もあったナチスを想起させるデザインでSNS大炎上
第二次世界大戦の時に、ナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。ホロコーストやナチスドイツに関する公的な場所での不適切な発言や、ホロコーストに関するファッションや商品は販売したり、着用してSNSなどに掲載すると必ず炎上する。
欧米ではナチス・ドイツを想起させるシャツやデザインを着用することを禁じている国も多い。またホロコーストを想起させるデザインなども、犠牲者に対して失礼であることから炎上の対象となる。日本でも2016年11月にアイドルグループ欅坂46がナチス・ドイツの制服を想起させる衣装を着ていたことから、米国のユダヤ団体で世界的に影響力を持つサイモン・ウィーゼンタール・センターが激怒し、謝罪を要求する抗議を行い、世界中で報じられたことがある。この時は「ナチスのシンボルのカギ十字(ハーケンクロイツ)」ではなく、「ナチスの制服にそっくり」というデザインだった。
2018年11月には、サイモン・ウィーゼンタール・センターは韓国の男性タレントグループ「BTS(防弾少年団)」がナチスドイツ時代のナチス親衛隊(SS)のシンボルマークがついた帽子をかぶっていたり、コンサートでナチス親衛隊を想起させる旗を掲げていたとして抗議文を発表していた。
「ナチスっぽい」もダメ。世界中から非難の的に
今回のチェヨンのようなSNSでの炎上は初めてではない。過去にも世界中の有名人や一般人、企業もナチスやホロコーストに関連したデザインのシャツを着て世界中から叩かれて、謝罪したことは何回もあった。このような炎上事件があっても、ナチスを想起させるデザインのシャツなどはかっこいいと思われているのかいまだに販売されている。そのようなナチスを想起させる商品が販売されていると、その店に対して非難が集中して炎上することもよくある。だがお店側は炎上商法を狙ってわざと注目を集めるためにナチスやホロコーストを想起させるような商品を陳列することもある。そして過去の歴史を知らない若い人らがそのようなデザインがかっこいいと勘違いして購入してしまい、着用して写真をSNSにアップして叩かれて炎上して謝罪するの繰り返しが行われている。
ホロコーストやナチスを想起させるデザインの商品が無くならない限り、このような炎上はこれからも世界中で繰り返されるだろう。欧米ではホロコースト教育が学生時代に行なわれる。またナチスを想起させるデザインに対する嫌悪感が強いので、露骨にナチスドイツやホロコーストをイメージさせるようなデザインのシャツなどを着てSNSに投稿する人は多くない。そのようなことをしたときの炎上と代償を理解しているし、教えられている。だが日本やアジアではナチスドイツやホロコーストに関する知識がない人が多い。どうして炎上してしまうのか理解できないで、ナチスのカギ十字(ハーケンクロイツ)を想起させるデザインをかっこいいと勘違いしてしまう人もいるかもしれない。
ナチスやホロコーストに関連するデザインのシャツなどをSNSに投稿すると世界中から非難されて叩かれることになる。「ナチスっぽい」「ホロコーストを想起させる」のも絶対にNGである。
「意味を深く理解していませんでした」とチェヨンも謝罪していたが、ナチスやホロコーストに起因する炎上は知らなかったで許してもらえないことが多い。2021年に東京オリンピックでショーディレクターを務める予定だった小林賢太郎氏が、過去のホロコーストをパロディにしていた件で、ユダヤ団体のサイモン・ウィーゼンタール・センターが2021年7月21日に抗議文を発表していた。ウィーゼンタール・センターのリリースなので、世界中でも報道されており、国内外でも炎上していた。この時も欧米やイスラエルのメディアでも多く報じられ、世界中から非難が相次いだ。その際にも「日本の学校ではナチスを教えないのか?」「日本人はホロコーストを知らないのか?歴史を学習していないのか?」と呆れられて驚かれる報道や「日本はナチスドイツと同盟国だったからナチスが行っていたユダヤ人大量殺害のホロコーストを揶揄しているのか?!」といった辛辣なコメントが目立っていた。
卍(まんじ)にもご注意
ナチスドイツのシンボルだったカギ十字(ハーケンクロイツ)は欧州やアメリカではナチスを連想させることから絶対的にタブーのマークである。他にも日本人が何気なく使ってしまうが欧米やイスラエルの人にとってナチスを想起させるSNSでの表現がある。
日本人でもタレントや若者がSNSで「まじまんじ」という表現で寺院の地図記号「卍」の記号を掲載している人が多かった。だが欧米の人たちからは「卍」はナチスのカギ十字とはデザインの方向が違うとはいえ、ナチスのカギ十字(ハーケンクロイツ)を連想させることから、忌み嫌われるタブーの象徴のようなマークである。
特にユダヤ人にとって「卍」のマークはナチス時代の差別迫害の脅威と、ホロコーストの大量虐殺で家族を失ったような辛い思い出しかない。ホロコースト教育が行われている欧米では、SNSで「卍」を投稿することはほぼない。SNSで「卍」を投稿する人は、ほとんどが反ユダヤ主義者かネオナチである。欧米の人には「卍」はナチスのカギ十字しか連想しないので、日本人の若者が使う「まじまんじ」の「卍」の意味も日本語も全く理解できない。
「ハイル・ヒトラー」の「88」は悪夢の再来
さらに説明されないと何のことか、理解しがたいかもしれない「88」の連打もナチスを想起させる新しい隠語の表現である。反ユダヤ主義の強い欧米では、ユダヤ団体のSNSなどに「88!」が書き込まれており、すぐに削除されている。
「88」はナチスドイツの総統だったヒトラーを称える「ハイル・ヒトラー」の隠語である。「Heil Hitler」(ハイル・ヒトラー)の頭文字「H」がアルファベットで8番目であることから、「88」で「ハイル・ヒトラー(Heil Hitler)」を表している。
日本ではSNSなどで「888888・・」と書いて拍手(拍手のパチパチの擬音語)を表現することがあるが、欧米では「ハイル・ヒトラー」の連呼の隠語である。
日本ではライブ配信などで演者に対して拍手を表して「888888・・・(パチパチパチ)」と「8」が連打しているが、日本語が理解できない欧米の人が見たら、ネオナチが集って「ハイル・ヒトラー」を連呼している恐ろしいライブ配信にしか見えない。YouTubeライブなどで配信が終わる前にと拍手の意味で多くの人が「888888・・・」と投稿している。これは欧米人から見たら狂気の沙汰であり、ユダヤ人が見たらナチス時代のホロコーストの悪夢の再来で震えが止まらない投稿である。
インターネットでのライブ配信は世界中の誰もが見られる。"日本人しか見ていないから「8888・・」を投稿をしても大丈夫だろう"と安直な気持ちでいると、大きな問題になりかねない。再び書くがホロコーストやナチスに関しては「知らなかった」ということでは絶対に許されない非常にセンシティブな問題なのだ。
2021年8月にブルガリアの首都ソフィアにあるシナゴーグ(ユダヤ教の教会)の壁に、ナチスドイツのシンボルのカギ十字と、「1488」と落書きがされていた。ネットやSNSだけでなくリアルな場所、しかもシナゴーグというユダヤ教徒の神聖な場所でも「88」(ハイル・ヒトラー)の落書きがされていた。
「1488」とは日本人には全く馴染みもないし、この数字の羅列がいったい何が脅威なのかも不明な人も多いだろう。
「14」であるが、これは白人至上主義者が使う14文字のスローガンのことを指している。「We must secure the existence of our people and a future for white children」の14文字で「白人の子供たちの将来のためにも、私たち白人の存在をこれからも維持していかなければならない」というアピールで、他の民族や人種に主導権を取られることはない、これから将来も白人が支配していくことを主張している。つまり白人至上主義者の主張の隠語である。そして「88」が「ハイル・ヒトラー」である。
全世界規模で活動しているユダヤ団体のB’nai B'rithも、ブルガリア当局に対してユダヤ人の安全確保を呼びかけていた。