雪の予報に変わった関東甲信地方の日曜日
南岸低気圧の通過
令和2から3年(2020から2021年)の冬は、前年の暖冬から一変し、寒冬というより厳冬になっています。
日本付近のジェット気流が大きく蛇行し、この蛇行にのって北極付近の強い寒気が、周期的に日本付近へ南下しているからです。
一般的には、大寒から立春の前日(2月3日頃、今年は124年ぶりに2月2日)までの間、一年中で最も寒い時期に入ります。
小寒(1月6日頃、今年は1月5日)から大寒をはさんで立春の前日までの約30日間を「寒」といい、耐寒のためのいろいろな行事、例えば寒稽古が行われます。
また、酒や味噌など、寒気を利用した食べ物を仕込むのに最もよい時期とされ、「寒仕込み」という言葉もあります。
しかし、令和3年(2021年)は、1月20日の大寒を境に強い寒気の南下も一段落し、日本付近は大きな移動性高気圧に覆われ、その後、日本付近には前線が停滞しました。
この前線上に低気圧が発生し、1月23日から24日にかけて、本州の南海上を通過する見込みです(図1)。
冬から春にかけ、本州の南海上を東進する低気圧による関東甲信地方の天気予報は非常に難しく、気象予報士泣かせです。
雨で降るなら問題がありませんが、雪で降る場合は、普段は雪が少ないことから雪の備えがほとんどないために、少しの雪でも交通機関が大混乱します。
雨か雪かで社会に対する影響は雲泥の差です。
しかも、低気圧発達の程度や、低気圧の進路がちょっと変わっただけで、関東甲信地方は雨になったり、雪になったりしますので気象予報士泣かせの難しい予報です。
事実、1月22日の朝までは、標高の高い山地は雪であっても、関東地方の平野部は雨と考えられていました。
しかし、22日昼になると、新しい観測資料やスーパーコンピュータを使った数値予報から、この南岸を通過する低気圧はこれまでの予報より発達し、関東地方の地表面付近には冷たい空気が入って雪となる可能性が高くなりました。
関東甲信地方の標高の高い所だけでなく、関東南部の平野部でも雪が降り、都心でも積雪となるおそれがでてきました。
関東甲信地方の雪
関東甲信地方では、1月23日昼前頃から雨が降り始め、長野県南部や群馬県などでは雪に変わる見込みです。
そして、雪の範囲は次第に平野部に広がり、24日未明には東京都もほとんどの場所で雪の予想です(図2)。
降雪量は、長野県と山梨県の標高が高い地方では50センチ程度、東京都心でも数センチの雪が予想されています(図3)。
気温が予想よりも低くなった場合は、関東南部の平野部でも降雪量は増え、大雪となる可能性があります。
最新の気象情報を入手し、大雪による交通障害に注意・警戒してください。
また道路の凍結や電線・樹木への着雪、なだれにも注意してください。
大寒後の暖かい日
令和3年(2021年)の冬は、1月23日から24日の南岸低気圧通過時に気温が下がりますが、大きく見ると、1月20日の大寒までが寒く、大寒後は暖かい日が続きそうです(図4)。
2月前半までの最高気温は、1月23日は平年より低くなりますが、それ以降は平年並みか平年より高い日が続く予報です。
また、最低気温は平年並みか平年より高い日が続く予報です。
東京の16日先までの天気予報を見ると、降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEや二番目に低いDが多いのですが、1月27日までは黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)や傘マーク(雨)があり、1月24日は雪ダルマに傘マーク(雨か雪)です(図5)。
しかし、1月28日以降は、お日様マーク(晴れ)と白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)の日が続きます。
気温の上昇は一進一退で、「温度の春」はなかなか実感できませんが、日中の時間が冬至の頃に比べれば、かなり長くなっていますし、この16日先までの天気予報です。
まもなく「光の春」を感じることができると思います。
タイトル写真の出典:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート。
図1の出典:気象庁ホームページ。
図2、図3、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに著者作成。