『ローマの香り漂う男、まさか骨身を惜しまないタイプとは』浦和vs神戸【浦和レッズ川柳試合レビュー】
■集客力のあるチームの変化を感じる
早くも夏。雨に降られるよりはいいが、南側自由席の、いつものバックスタンド寄りに座ると、直射日光がきつくて、そのまま日焼けしちゃいそうだ。
試合開始30分前、あたりを見回すと、若者たちのグループもいれば中高年もいるし、小さい子を連れたファミリー、カップルもいて、多士済々。こういうのが理想的っていえば理想的なんだろう。よく、最近はJリーグも年寄りの客が増えて困ったもんだ、みたいな書き方をするネット記事も見かけるが、別に若ければなんでもかんでもいいってもんでもない。幅広い年齢層の人たちが楽しんでこそのサッカーなんだから。
もうすぐ70歳である私も、スタンドの階段を上がれるうちは、来る。
気になったのは、いつもは空席の目立つバックアッパーが、ほぼ満杯近くまで埋まっていたこと。
観客は、この前のゼルビア戦と同じくらいの4万前後と予想していたのだが、あそこが埋まるようなら4万5千以上にはなる。そうか、老舗のガンバやマリノス、それに時の勢いに乗ってるゼルビアより、今はヴィッセルのが集客力はあるのか、とそこんところは認識を改める。あとの発表で、現実に4万5千超えだったのを再確認。
イニエスタがいなくなっても大迫、武藤、山口蛍、酒井高徳と知名度の高い選手が揃っているので、メンバー発表でのレッズサポのブーイングもテンション高めだ。
ヴィッセルで バックアッパー 夏祭り
■当初のイメージと違ったソルバッケン
さて試合開始だが、私としては、きょうの注目選手はソルバッケンだ。ノルウェー代表でも活躍して、今年のシーズンのはじめから「点取り屋」として機能するはずだったのにケガで出遅れ。この前のゼルビア戦に出た時も、あんまり印象に残らなかった。
驚いた。きょうは前にうしろによく動く。あれ、こんなに「骨身を惜しまない」タイプだったのか、と意外なくらい、攻撃だけじゃなくディフェンスでも走り回る。
しかも前半5分くらいだったか、サンタナとのパスのやり取りの末に、決定的なチャンスをお膳立てする。入んなかったけど。よく動いて、なんでも自分で決めるではなく、バランスよく対応も出来て、しかもサンタナとはけっこう呼吸も合ってて。なんだ、これはなかなかいい選手ではないか、と一気に私の中では評価が上がった。
ただ、出来れば早めに一点とってほしい。FWは、この一点目が早く取れるかで、決定的にその後の展開が変わってくるから。何度も名前を出すが、1999年の盛田なんて、その一点が取れなくて、どんどん追い詰められていった。
よく見れば 働き者の 17番
試合そのものは、前半に関していえば、押され気味。得点されたシーンも、ほぼ完全にDFが崩された感じだし、レッズは南側自由席の目の前のゴールに向かってくるわけだが、決定的チャンスでソルバッケンが空振りするなど、点を取れそうな匂いがあまりしなかった。
■飛車角、金銀が揃う
で、後半。私は今度は注目選手を交替で投入された中島にチェンジ。とにかく、早くリーグ戦で点を決めて、どんどん波に乗ってほしい。ボール回しの勘がいいのか、中島が入ってから、滞りがちだった血流がスムーズになったみたいに、うまくボールが動き出した。
そして、オラ・ソルバッケンから来たボールを中島がおさめて、狙いすましたシュートだ。よし、きょうの私の注目選手2人が作りだしたゴールだ。そこが、私としてもただの1点ではなく、2点分嬉しい。
嬉しさは オラとショーヤで 2点分
ソルバッケン、もっと慣れて来たら、サンタナと同じで将棋でいう飛車、角の働きも出来そうだし、キレのいい中島の動きは、十分に金銀の役目は果たせそうだし、こりゃ、戦力揃ってくるな。
こうなりゃ、あとはもう1点とって、ここで勝ち点3といきたいところだったが、もう一歩攻めきれなかった。試合終了直前、相手ゴール前まで行って、「PK確認中」と表示が出た時は、ゼルビア戦の逆パターンかなと期待したものの、結局は「PK無し」。
となると反対に、うかつなアディショナルでのPKを取られて前試合の再現になっちゃいかん、と心配するも、選手側もそこはわかっていたのか、極力、敵陣でプレイしていた。
PKは 取るぞ取らすな アディショナル
1-1の引き分けながらも、ソルバッケンと中島の活躍から、今後への収穫もあり、後味の悪い試合ではなかった。ゼルビアも負けたらしいし、まだリーグ優勝を諦める段階ではない。
暑さも和らぎ、18時を過ぎてもまだ日は沈まず、自転車で家まで帰るには、なかなか心地よい季節ではある。しかしももうすぐ梅雨が来て、今年も「史上最高の暑さ」を記録しそうな夏本番が来る。イヤダ、イヤだ。
動画:今年もやります!浦和レッズ川柳2024【3月&4月編】
山中伊知郎
1954年生まれ。1992年に浦和に引っ越して来て、93年のJリーグ開幕時にレッズのシーズンチケットを取得。以後31年間、ずっとシーズンチケットを持ち続け、駒場、ならびに埼スタに通う。2021年より、レッズ戦を観戦した後、「川柳」を詠むという「レッズ川柳」を始める。
代表を務める「ビンボーひとり出版社」山中企画では、昨年8月、テレビの夢グループCMで、石田社長の横で「社長~! 安くしてエ~!」の甘え声でお馴染の歌手・保科有里の『愛人!? 困っちゃう・・・』という本を出し、11月には『タブレット純の日本芸能イジン伝・その① おひとりさま芸能人 エド山口に訊く!』を出す。現在、どん底地下芸人から中野区議会議員に転身し、「中野区から日本を変える!」と宣言している井関源二さんの本と、元放浪少女で、今は群馬県・沼田の市会議員に転身している今成敦子さんの本の企画を進行中。