「20~30人をいっぺんに処刑」金正恩、水害被災地で…韓国当局者
韓国の聯合ニュースは4日、国家情報院(国情院)が明らかにしたとして、北朝鮮が7月末に平安北道や慈江道で発生した洪水被害の責任を問い、多数の幹部を処刑した動向があると報じた。
一方、朝鮮日報系のTV朝鮮はこれに先立ち3日、韓国政府当局者の話として「被災地の幹部20~30人がいっぺんに銃殺されたものと把握された」と伝えた。ここには「更迭された姜峯訓(カン・ボンフン)慈江道(チャガンド)党責任書記が含まれている状況がうかがわれ、確認中」ともしている。
(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面)
金正恩総書記は7月末に開かれた朝鮮労働党中央委員会政治局の非常拡大会議で、「党や国が与えた責任のある職務を怠ったことで容認できない人命被害を発生させた者については厳しく処罰する」と発言していた。
この会議では姜氏を含め、日本の警察庁長官に相当する社会安全相や平安北道と慈江道の党高官が更迭されていた。
被災地域の中でも慈江道は、北朝鮮で有数の軍需地帯だ。姜氏も党軍需工業部の副部長であり、その分野の専門家だ。
韓国デイリーNKは、被災地に派遣された朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の軍人にインタビューを行い、「(現地の)軍需工場では、地下につながる坑道まで水に浸かってしまったところが多い。軍需品生産に必要な機械や資材もすべて濡れてしまった。今回の(朝鮮労働党中央委員会)政治局会議で、慈江道委員会の責任書記(トップ)が解任されたのは、人民の命を救えなかったというのが理由ではなく、実際は軍需工場まで浸水被害を受けた責任を問われたのだ。ここにいる軍人は皆知っていることだ」との証言を得ていた。
ロシアに武器弾薬を売って外貨を稼いでいる北朝鮮にとって軍需工場の損失は、水害被害と重なりダブルパンチと言える。