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新たな熱帯低気圧が発生、今後小笠原近海へ北上予想

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

ダブル熱帯擾乱の動向は?

天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)
天気図の変化(気象庁発表に筆者加工あり)

昨夜5日(土)午後9時、グアム島付近で新たな熱帯低気圧が発生し、またきょう6日(日)午前3時、フィリピンの東海上で新たな低圧部が発生しました。低圧部とは周囲より気圧が低く、雲の循環はあるものの、中心付近がハッキリとしない熱帯擾乱(ねったいじょうらん)のことで、中心付近が解析されるようになると、熱帯低気圧に名前が変わります。

気象庁発表の予想天気図によると、まずグアム島付近の熱帯低気圧は北上し、あす7日(月)午後9時には、北緯20度を越え、小笠原諸島父島の南海上に達する見込みです。気象庁からはまだ発表はありませんが、諸外国を含む種々の計算では、今後台風とみられるような勢力に発達する計算も多くみられます。

一方、フィリピンの東海上の低圧部は、熱帯低気圧を追いかけるように北東へ進みますが、今のところ、発達するような計算は、多くありません。

台風になったとしても日本の東海上を北上か?

太平洋高気圧、偏西風、熱帯低気圧の予想(ウェザーマップ発表に筆者加工あり)
太平洋高気圧、偏西風、熱帯低気圧の予想(ウェザーマップ発表に筆者加工あり)

上図はあさって8日(火)昼の熱帯低気圧や太平洋高気圧、偏西風の予想です。まず熱帯低気圧は父島の南海上まで北上しますが、今週は太平洋高気圧が大きく南や東に退くため、ここから本州付近へ向かうような進路は予想されずに、父島の東海上を北上する計算でおおむね揃っている状態です。

また偏西風も本州の南岸付近まで南下するため、熱帯低気圧は父島の東海上を北上したあと、10日(木)から11日(金)頃にかけて、偏西風に流され、日本の東海上を北東進する計算が多くなっています。ですから、もし台風になったとしても、小笠原諸島以外への影響は、かなり小さいのではないかと考えられます。

なお、今週末以降は、太平洋高気圧の勢力が再び強まり、本州の南岸付近まで張り出す予想となっていますので、日本付近での台風シーズンが終わったと考えるのは、時期尚早の段階です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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