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年俸50億円や62歳までの支払期間!? ブライス・ハーパーが袖にした契約オファーの中身とは?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
フィリーズ入りが決まったブライス・ハーパー選手の下には様々なオファーが届いていた(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 すでに本欄を含め多くのメディアが報じているように、今オフ最も注目されていたFA選手のブライス・ハーパー選手が、北米プロスポーツ史上最高額の13年総額3億3000万ドル(約363億円)でフィリーズと合意した。米メディアが報じたところでは、ハーパー選手は早速自宅のあるラスベガスからフィリーズのキャンプ地であるフロリダ州のクリアウォーターに移動した模様だ。

 今オフの注目FA選手でありながら契約交渉は難航を極め、結局スプリングトレーニングが開幕しても契約合意に至らず、オープン戦が始まったこの時期になってしまった。これまでハーパー選手獲得に乗り出しているチームとしてフィリーズの他に、ナショナルズ、ホワイトソックス、ドジャース、ジャイアンツ、パドレス──等々、様々なチームの名前が浮上してきたが、彼らはハーパー選手にどんな契約オファーをしていたのか気になるところだろう。

 そんな下世話な(?)な興味に答えてくれるかのように、『New York Post』紙のジョエル・シャーマン記者が、ハーパー選手関連のツイートを複数投稿している。シャーマン記者は契約合意後に、ハーパー選手の代理人であるスコット・ボラス氏と話す機会を得たようだ。その内容をツイートしているのだ。

 まずこのツイートは、ボラス氏によれば短期間ながら平均年俸額4500万ドル(約50億円)に上るオファーが届いていたと報告している。残念ながらチーム名は明らかにされていないが、米メディアの報道を総合すると、最近になってドジャースがハーパー選手とミーティングを行い、短期契約のオファーを出したと報じられており、ドジャースの可能性が高そうだ。もちろんこの額はいうまでもなくMLB史上最高額だ。

 またこちらのツイートは、前所属先のナショナルズに関するものだ。ナショナルズがハーパー選手を引き留めるため、10年総額3億ドルの契約延長のオファーを提示していたのは昨年末に報じられているが、実は3億ドルの内1億ドルは別払いとし、引退後も62歳(別のメディアは60歳としている)まで支払い続けるという内容だったという。つまりナショナルズはハーパー選手の一生涯の面倒を見る覚悟を示していたのだ。

 またシャーマン記者ではなく、ジャイアンツをカバーする『NBCスポーツ(NBCS)』によれば、ジャイアンツもフィリーズに近い12年総額3億1000万ドル(約341億円)の大型契約をオファーしていたようだ。ただジャイアンツとしては更なる高額オファーを提示することもできたようだが、カリフォルニア州の税制度のためこのオファーに留まったようだ(下記参照)。

 いずれにせよハーパー選手は、そうした様々なオファーの中からフィリーズを選択した。すでにフィラデルフィアの街は歓迎ムードに包まれ、契約合意のニュースが世を駆け巡ってからわずか24時間で10万枚以上のチケットが売れているという。しばらくは“ハーパー・フィーバー”で盛り上がりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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