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大谷翔平の今季正当年俸は18億円以上だった?!年俸調停最終年の来オフはベッツ超えに期待

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今オフも年俸調停権を有していたら18億円以上の年俸と手にしていた?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【年俸調停期限前に駆け込み合意が続出】

 米国時間の3月22日は、各チームが年俸調停権を有している選手と直接交渉で合意できる期限日になっていた。そのため年俸調停を回避し、チームと合意する選手が続出した。

 現時点で未契約の選手は31人存在しているが、ただ実は期限日が過ぎたものの今後もチームとの交渉は可能で、まだ年俸調停前に合意することもできる(MLBのルールの複雑な部分だ)。

 未契約の選手の中には、ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手、カブスのウィルソン・コントレラス選手、ツインズにトレードされたばかりのゲイリー・サンチェス選手らが含まれており、今後の交渉状況が注目されるところだ。

【ここまでの最高額はターナー選手の2100万ドル】

 改めて年俸調停について説明しておくと、サービスタイム(MLB在籍日数)が3年以上6年未満の選手に与えられる資格で、FA権取得前に選手たちが正当な契約を得られるために設けられた制度だ。

 普通の選手の場合、FA権取得前に計3回の年俸調停権を得られるわけだが、例外が存在している。サービスタイムが2年以上3年未満の選手の中で、上位20%に入る選手たちは「スーパー2ルール」が適用され、1年早く年俸調停権が与えられ、計4回の年俸調停権を得られることもある。

 ちなみに今回の駆け込み合意の中で、最高額の契約を獲得したのは、ドジャースのトレイ・ターナー選手で、2100万ドル(約25.4億円)だった。ターナー選手もスーパー2ルール対象者で、今年は4回目の年俸調停権だった。

【2年契約の大谷選手は年俸調停権の対象外】

 昨年1年目の年俸調停権を取得していた大谷翔平選手は、昨シーズン開幕前に2年契約に合意していたため、2回目の年俸調停権は自動的に失効することになった。

 ちなみに昨年エンジェルスが大谷選手と2年契約に合意した当初は、過去3年間負傷を繰り返した選手に対しリスクが大きいと、メディアから疑問の声が挙がったりもしていた。

 だが昨シーズン大谷選手が期待以上の活躍をしたことで、エンジェルスは結果的にとんでもない額を消費せずに済んだのだ。

【順当なら今年の年俸は18億円以上だった?】

 昨年大谷選手が結んだ2年契約は、昨シーズンの年俸が300万ドル(約3.6億円)、そして今シーズンが550万ドル(約6.7億円)というものだった。

 もし大谷選手が昨シーズンに1年契約で留め、今シーズンも年俸調停権を有しているとしたならば、満票でMVP受賞した活躍が加味され、550万ドルをはるかに上回る額になっていたことだろう。

 そこで他選手と比較検証してみたい。

 2019年にMVPを受賞したドジャースのコディ・ベリンジャー選手は、その年のオフにスーパー2ルールの対象となり、年俸調停権を取得。2019年は60.5万ドル(約7300万円)だった年俸が、2020年は1100万ドル(13.3億円)まで跳ね上がっている。

 また2020年オフに同じくスーパー2ルールが適用され、年俸調停権を取得したナショナルズのホアン・ソト選手は、昨年の年俸は850万ドル(約10.3億円)になり、2回目の年歩調停となった今年は年俸調停を回避して1710万ドル(約20.7億円)で合意している。

 つまりMVPを受賞したベリンジャー選手の年俸上昇率、そして2回目の年俸調停権のソト選手の年俸額を考えると、今年の大谷選手は、1500万(約18.2億円)~2000万ドル(約24.2億円)の間で交渉が続けられていた可能性が高い。

 繰り返すが、エンジェルスはとんでもない額をセーブすることができたのだ。今オフの選手補強にも間違いなく影響が出ていたことだろう。

【年俸調停最終年の来オフはベッツ選手超えも】

 スプリングトレーニング初の記者会見に応じた大谷選手は、契約延長について尋ねられ、契約交渉はすべて代理人に任せるとともに、シーズン中は野球に集中したい旨を明かしており、今シーズンは契約延長に合意せずオフを迎える公算が強い。

 その場合3回目の年俸調停権を得ることになるわけだが、果たしてどれだけの年俸額になるのか興味が尽きないところだ。

 ちなみに年俸調停最終年の選手が獲得した史上最高額は、2019年オフにレッドソックス(当時)と合意した、ムーキー・ベッツ選手の2700万ドル(約32.7億円)だ。

 もちろん今シーズンも昨シーズン並みの活躍をすることが前提条件となってくるが、二刀流の評価が他選手以上に高くなると考えれば、ベッツ選手を超える可能性もあるのではないだろうか。

 これも今シーズンの大谷選手に注目する、楽しみの1つになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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