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世界最大のバイクショー「インターモト2018」から見えてきた世界の最新トレンドとは!?

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
撮影/佐川健太郎

世界最大級のモーターサイクルの国際見本市「インターモト2018」に行ってきました。ケルン大聖堂で有名なドイツの古都で2年に一度開催されることから、ケルンショーとも呼ばれ世界中から多くのメディアや2輪ファンが集まります。

国産勢の目玉はやはり新型カタナだった

今年の目玉はなんといってもスズキから登場した新型「KATANA(カタナ)」でしょう。正式発表前に少しずつチラ見せするティザー告知が浸透していたことや、また初期型カタナが1980年のケルンショーで衝撃的なデビューを飾った背景もあり、期待感もひと際大きかったものと思われます。

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スズキブースはプレスカンファレンス開始のだいぶ前から多くのメディアでひしめき合っていました。アンベールとともに大きな拍手が巻き起こり、現代に生まれ変わった新たなカタナの誕生を皆がセレブレートしている姿が印象的でした。

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▲新型KATANA

国産勢としては他に、カワサキが231psにパワーアップした「NinjaH2」の新型や、ジョナサン・レイのライドでスーパーバイク世界選手権4連覇中の「ZX-10R」の新型に加え、欧州のA1免許に対応したエントリーモデルとしての「Ninja125」と「Z125」を発表するなど注目を集めていました。

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▲Ninja125

また、ヤマハからは「YZF-R125」の新型の発表にとどまり、注目のアドベンチャーモデル「テネレ700」の発表は据え置き。ホンダからも目立ったアナウンスはなく、ヤマハとホンダは約1か月後に今度はミラノで開催されるEICMAに照準を絞っているようでした。

ブランニューモデルが少なかった海外勢

一方、海外メーカーの動きですが、目立っていたのはトライアンフで、10psパワーアップして装備と外観もよりリッチになった並列2気筒エンジン搭載のネオクラシック、「ストリートツイン」と「ストリートスクランブラー」がデビュー。黒のブランドカラーに統一されたステージでは、実際に人気タレントがニューモデルに乗って走りこんでくるという日本でもお馴染みの演出が大いに会場を沸かせていました。

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▲NEW Street Twin

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▲NEW Street Scrambler

ドゥカティからは「スクランブラー」ブランドから新型3バリエーションとして「フルスロットル」「カフェレーサー」「デザートスレッド」が登場。ポップなカラーとそれぞれ個性的なスタイリングで、より自由な世界観を打ち出していました。

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▲Scrambler Cafe Racer/Desert Sled/Full Throttle

お膝元ということで何が出てくるか期待していたBMWですが、プレスカンファレンスで紹介されたのは既報どおりの新型ボクサー「R1250GS」と「R1250RT」のみ。KTMもすでに東京モーターサイクルショーで展示されていた「790アドベンチャー」がメインで、ホーム色の強いゲルマン系2ブランドにしては、今回は意外にもあっさりとしていた印象です。

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▲R1250RT

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▲790 ADVENTURE

欧州でも絶大な人気を誇るハーレーダビッドソンも、既に発表済みの新型ソフテイル「FXDR」がメインで、期待していた新型アドベンチャーモデルやEVのネタはありませんでした。

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▲新型ソフテイル「FXDR」

等々、全体的に見ると海外勢はブランニューモデルのネタに乏しかった気がします。

新境地で攻勢に出たインディアン

その中で目を引いたのがインディアンの新作「FTR1200」です。昨年の全米ダートトラック選手権を制したFTR750の雰囲気を再現したストリートモデルで、今までのインディアンにはない斬新でスポーティなスタイルと全米王者という実績を引っさげての華々しいデビュー。

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▲FTR1200S

実はプレスデー前日にもメディアを集めてのFTR1200のお披露目パーティを盛大に行っていて、新時代の若さ溢れるアメリカンモーターサイクルを印象付けていました。

最後に、モトグッツィ期待のアドベンチャーモデル「V85TT」がついにアンベールされたのもトピックでした。最新の電子制御を備えた、ステルビオ以来の本格的ADVツアラーということで期待が膨らみます。

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▲V85TT

「ゆるオフ系」が次の世界的トレンドに

ということで、主要メーカーの動向に絞ってお伝えしましたが、今回はEICMA狙いのメーカーとの温度差が感じられたインターモト2018でした。その中でも、全体を俯瞰してみると、スクランブラーやトラッカーといった”ゆるオフ系”モデルの台頭が世界的にも顕著になってきているのは明らかと言えるでしよう。

そして、会場のスケールの大きさと国際色豊かな展示、カスタムシーンの奥深さなどは、やはり世界一のバイク見本市にふさわしい内容だったと思います。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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