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高津監督は19試合目、小川監督は11試合目、古田兼任監督は…今世紀のヤクルト監督「初首位」を振り返る

菊田康彦フリーランスライター
高津監督を中心とした今季のヤクルトのメインビジュアル(筆者撮影)

 東京ヤクルトスワローズが7月12日にほっともっとフィールド神戸で行われた読売ジャイアンツとの首位攻防戦に3対2で競り勝ち、セ・リーグ首位に進出した。ヤクルトの単独首位は、昨年4月20日以来、449日ぶり。今季からチームの指揮を執る高津臣吾監督(51歳)にとっては、公式戦初采配から19試合目での「初首位」となる。

小川監督は就任11試合目で初首位。終盤まで独走も…

 それでは過去のヤクルト監督が、初めて単独首位に立ったのはいつだったのか? ここでは今世紀に入って就任した4人の監督について振り返ってみる。まずは昨年までチームを2期にわたって率いた小川淳司監督(現GM)だが、2010年途中から監督代行を務めたのち、翌2011年に監督に昇格。この年は開幕から3連敗と出足でつまずくも、その後は引き分けを挟んで9連勝と持ち直した。

 この間、小川監督にとっては初めての単独首位に立っている。4月24日の広島東洋カープ戦(マツダ)、畠山和洋(現ヤクルト二軍打撃コーチ)の逆転2ランで試合をひっくり返し、8対3と快勝。連勝を6に伸ばし、監督就任11試合目で「初首位」となった。

 その後は5月の終わりに2日だけ首位を譲るも、すぐにこれを奪回すると、10月初旬までトップを独走。ところが落合博満監督率いる中日ドラゴンズの猛追に遭って10月6日に首位の座から陥落し、2001年以来のリーグ優勝を逃す結果となった。

17試合目で初首位の真中監督は、就任1年目でリーグV

 2015年から3年間チームを指揮した真中満監督も、「初首位」は就任1年目の4月17日。先発の小川泰弘が7回1死までパーフェクトを続けるなど、本拠地・神宮球場のファンの前で横浜DeNAベイスターズ打線を封じ込め、3対1で勝利。首位の中日が広島に敗れたため、チームとしては小川監督1期目の2012年5月7日以来1075日ぶり、真中監督にとっては就任17試合目で初の単独首位となった。

 ヤクルトは4月30日に首位の座を明け渡すと、その後は史上まれに見る大混戦となったペナントレースで2位から6位まですべての順位を経験するが、9月13日以降は終始、単独首位。2位の巨人と1ゲーム差で迎えた9月27日の直接対決に勝って、ついにマジック3が点灯する。

 そして、シーズン141試合目の10月2日の阪神タイガース戦(神宮)に雄平のサヨナラ打で勝利。14年ぶりの優勝を決めたのは、ファンの方はよくご存じだろう。

開幕3連勝スタートの高田監督の初首位は…

 2008年に就任した高田繁監督の場合、いきなり開幕3連勝のロケットスタートを切りながら、「初首位」への道は遠かった。なにしろ岡田彰布監督率いる阪神は、これを上回る開幕5連勝。その後、阪神が4月3日の広島戦で初黒星を喫すると、ヤクルトは横浜(現横浜DeNA)ベイスターズを下して阪神と同率首位に返り咲くが、4月5日にはその座から転落。再び首位に浮上することなく、5位(※)でシーズンを終えることとなった。

 翌2009年は3位に滑り込んで初のクライマックスシリーズ出場を果たすも、首位に立ったのは中日と同率で並んだ4月9日の1日だけ。高田政権初の単独首位は、3年目を迎えた2010年の4月2日。本拠地の神宮で新外国人のトニー・バーネットが横浜打線を7回まで無失点に抑えると、中継ぎの押本健彦、抑えの林昌勇の継投でリードを守って1対0で勝利。首位の中日が敗れ、高田監督就任295試合目にして、ついに単独首位に躍り出た。

 翌4月3日は一転して激しい点の取り合いの末、代打・川本良平の逆転サヨナラ2ランで、13対12と横浜に連勝。ところが翌日からの連敗で首位の座から陥落すると、その後は打線の低迷が深刻になっていく。投打の歯車がかみ合わず4月末には最下位に転落し、5月12日に始まった交流戦ではいきなりの9連敗。そこで高田監督が休養を発表し、小川ヘッドコーチが監督代行を務めることになる。

古田兼任監督は就任2試合目で初の単独首位も…

 1999年から7年間チームを率いた若松勉監督の退任を受け、球団史上初のプレーイングマネジャーとして古田敦也監督が就任したのは2006年。3月31日の阪神との開幕戦では七番・捕手でフル出場し、ヒットこそ出なかったものの先発の石川雅規ら3人のピッチャーをリードして、初陣を勝利で飾る。

 翌4月1日の同カードは、ルーキーの武内晋一(現ヤクルトスカウト)の3ランで試合を振り出しに戻すと、最後はアダム・リグスが押し出し四球を選んでサヨナラ勝ち。勝利投手になったのは、メジャーから復帰したばかりの高津現監督だった。

 この年のセ・リーグ開幕カードはヤクルト、阪神以外の4球団は、すべて2試合を終えて1勝1敗。このため、連勝のヤクルトはこの時点で単独首位に立った。だが、阪神との開幕3戦目を落として巨人、中日に並ばれると、続く巨人との3連戦(神宮)に3連敗して4位まで転落。それでも最後はAクラスの3位を確保したが、翌2007年は1度も首位に立つことなく球団21年ぶりの最下位に沈み、古田監督は退任と共に現役も引退。18年間着続けたヤクルトのユニフォームに別れを告げた。

 ちなみに現在11勝7敗1分け、2位の巨人に0.5ゲーム差で首位のヤクルトだが、これは昨年の19試合消化時点(昨年は4月19日)とまったく同じ。昨年は20試合目(4月20日)まで首位をキープし、その後も2位で踏ん張っていたが、5月14日(40試合目)からの16連敗が響いて2年ぶりの最下位に終わっている。

 今年は例年よりも23試合少ないシーズン120試合制とはいえ、残りはまだ101試合。就任19試合目(※)で「初首位」に立った高津監督がここからどのように手腕を発揮していくのか、大いに注目したい。

(※)初出時に誤りがありましたので、修正しました。

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フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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