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メッシとスアレスの相棒探しは続く。グリーズマン、デンベレ、ファティと「第3のFW」を求めて。

森田泰史スポーツライター
メッシとスアレス(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

大一番で活躍したのは、また「あの2選手」だった。リーガエスパニョーラ第15節、アトレティコ・マドリー対バルセロナの一戦で、ルイス・スアレスのアシストからリオネル・メッシが決勝点を記録。エルネスト・バルベルデ監督に、大きな勝ち点3が届けられた。

主六が抜け、チームが刷新したとはいえ、アトレティコの守備組織は固かった。それまで169試合中95試合を無失点で抑えてきたヤン・オブラクを守護神に据えるDF陣に対して、残り5分を切ったところで、スアレスとのパス交換でバイタルエリアを割ったメッシが左足を振り抜き、勝負が決した。

「黄金のゴール」(スポルト紙)と称されたように、タイトルに直結する可能性のある得点だった。

■メッシとスアレスの相棒

ただ、バルベルデ監督の抱える問題は解決していない。メッシとスアレスの相棒が、見つからないのだ。

スアレスは、これまでメッシに対して42アシストを記録している。一方で、メッシはスアレスに対して35アシスト。ピッチ外でも兄弟のように仲が良いといわれているスアレスとメッシだが、そこには「第3のFW」を当てはめる困難が付随する。

アントワーヌ・グリーズマン、ウスマン・デンベレ、アンス・ファティ、カルレス・ペレス...。今季、バルベルデ監督は、複数選手を3トップの一角に組み込んできた。

3トップの余った一枠は、グリーズマン(出場時間1421分/18試合出場/5得点3アシスト)、デンベレ(494分/9試合/1得点)、ファティ(408分/11試合/2得点1アシスト)、ペレス(452分/7試合/1得点2アシスト)と分け与えられている。

ポールポジションに立つのは、グリーズマンだ。アトレティコでプレーして、ディエゴ・シメオネ監督の下で培った守備意識は無駄になっていない。守備時に中盤を4枚にすることを好むバルベルデ監督にとって、グリーズマンの走力と献身性はプラスになる。そこの差別化が得点力の不足を補っている。

■ネイマール・ショック

この夏、バルセロナのネイマール再獲得のニュースが、世間を賑わせた。メッシが復帰を望んでいたというが、バルセロナ側からすれば金銭面でのリスクは大きく、最終的に取引は不成立に終わった。

2017年夏にネイマールがパリ・サンジェルマンに移籍した際、多くのバルセロニスタが不安を抱えた。果たして、彼の穴を埋められるのだろうか、という懸念だ。事実、バルセロナはネイマールの代役を確保するために3億4500万ユーロ(約414億円)を費やしている。ボーナスを含めると、その額は4億4200万ユーロ(約530億円)に膨れ上がる。

ネイマールの売却で2億2200万ユーロ(約264億円)を得たバルセロナだが、3選手の獲得資金はそれを完全に上回っている。この夏にレンタルでバイエルン・ミュンヘンに移籍したフィリップ・コウチーニョ(移籍金固定額1億2000万ユーロ+ボーナス4000万ユーロ)を除き、デンベレ(移籍金固定額1億500万ユーロ+ボーナス4000万ユーロ)とグリーズマン(契約解除金1億2000万ユーロ)への期待値は高い。

「MSN」への郷愁ーー。まずは、それを払拭しなければならないだろう。バルセロナの第3のFWを探す旅は続く。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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