首都圏郊外で憧れの100平米新築マンションを探せ。「平均価格」並で30戸販売の事例も
マンションの100平米住戸は、昔の単位で約30坪に相当。4LDKの間取りがゆったりとれるし、リビングが20畳以上の3LDKも余裕で可能な広さだ。
60平米台の3LDKが増えている現在、そんな広い家に一度でいいから住んでみたい、と憧れる人は多い。
が、問題は価格だ。
新築マンション価格が高騰している現在、都心部で専有面積100平米のマンション住戸を買おうとすれば、1億円ではとても無理。2億円でも手が届かない。3億円以上の予算が必要というのが悲しい実情である。
では、郊外部ならどうか。
東京市部や神奈川県、埼玉県、千葉県であれば、1億円未満で購入できる100平米マンションがみつかるのだろうか。2024年10月4日時点で購入可能な物件を探してみた。
郊外でもみつかる100平米住戸。その価格は……
首都圏郊外で100平米住戸を買いたいとき、ある種のマンションに狙いを定めれば、確実に探すことができる。
「ある種のマンション」とは……ずばり、駅近の超高層マンション、いわゆるタワマンである。
郊外の場合、超高層マンションを建設できる場所は駅に近い場所、そして再開発が行われている場所になるのが普通だ。
エリアの注目を集める場所でタワマンが建設されると、最上階に専有面積100平米を超える大型住戸がつくられやすい。
たとえば、10月下旬から販売が始まる予定の「URAWA THE TOWER(浦和 ザ・タワー)」の場合、約63〜114平米の住戸が売り出される予定になっている。100平米以上の住戸が販売メニューに入っているわけだ。
千葉県で販売中のタワマン、千葉駅から徒歩4分の「ブリリアタワー千葉」では最上階に約160平米の特大住戸が設定されている。
タワマンの上のほうに狙いを定めれば、100平米住戸はみつかりやすい。しかしながら、その住戸数は少なく、普通はマンションごとに数戸から10戸程度までの戸数になる。
戸数が少なく、価格設定は高い。
「URAWA THE TOWER」の場合、約63〜114平米の予定価格は9600万円台から4億2000万円台。そこから専有面積114平米の住戸は4億2000万円台になるのだろう、と推測できる。
浦和駅から徒歩3分で、商業施設、公共施設との複合開発であるため、もともとの価格設定が高い。そのなかでも、最上階に位置する特別住戸はプレミアが付き、とてつもなく高額になるわけだ。
「ブリリアタワー千葉」の場合、約160平米の住戸は2億9998万円で売り出されたが、瞬間蒸発的に売れてしまった。
現在販売中の「プラウドタワー相模大野クロス」(神奈川県相模原市)や「THE TOWER湘南辻堂」(神奈川県藤沢市)でも上層階に100平米を超える住戸があるのだが、最新の販売住戸に100平米の間取りはない。1億円を大きく超える価格設定だが、早々に売れてしまったようだ。
つまり、郊外エリアでは、駅近のタワマンで100平米住戸が販売されやすいのだが価格が高い上に、すぐに売れてしまう。つまり、みつかることはみつかるのだが、購入しにくいのだ。
1億円を切る価格で郊外100平米住戸を探した
郊外でもタワマンの100平米住戸は高額になりやすく、ときに都心マンションと変わらぬ超高額になりがち。それは、駅近のタワマン最上階でコーナー部分など特別な上にも特別な場所に配置されるからだ。
そこまでスペシャルな場所でなければ、郊外100平米住戸はもう少し安く購入できるはず。そんな新築マンションはないか、と探したら、ひとつ特殊な新築物件をみつけた。
神奈川県海老名市で販売されている全228戸の「ブランシエラ海老名」(冒頭の写真も、同マンション)で、現時点で100平米以上の住戸が30戸も購入可能。しかも、その価格は1億円を超えていない。100平米を超える住戸が8000万円台、9000万円台(いずれも1000万円単位)で購入できることがわかった。
不動産経済研究所の発表によると、昨年2023年の首都圏新築分譲マンション年間平均価格は8101万円だった。つまり、100平米で8000万円台の住戸は首都圏の平均価格並で販売されていることになる。いや、首都圏新築マンションの平均価格は70平米換算なので、100平米住戸が8000万円台で購入できれば、首都圏の平均価格より安いといえる。
しかしながら、首都圏の新築マンション平均価格は、高額化した都心物件によって数字が高められた側面がある。実際の首都圏郊外マンションがどこでも8000万円になっているわけではない。実際には70平米クラスの住戸が6000万円程度で販売されるケースが多い。その実勢価格からみても、100平米で8000万円台、9000万円台というのは納得感がある。
理由は、地上13階建てなので、目立つ超高層ではないこと。そして、海老名駅から徒歩11分から14分(利用する路線により距離が異なる)となり、駅近というわけでもないことが大きいだろう。
大規模商業施設の「ららぽーと海老名」まで徒歩8分なので生活は便利だが、駅から距離があるため、分譲価格が抑えられる立地だ。
それを利点とし、8000万円台、9000万円台の100平米住戸を多く設定したと考えられる。
「ブランシエラ海老名」の100平米住戸は1階から13階(最上階)まであり、好みの階数を選べるのもうれしい。そのなかには、専用庭付きの1階住戸で約103平米というものもある(この住戸は発売前)。
私が取材する限り、首都圏の郊外で100平米を超える新築マンションを買おうとした場合、今はこのあたりが最安値だ。広い分、価格も相応に高くなってしまうが、「ゆとりあるマンション住戸が欲しい」というニーズに応える物件は今もつくり続けられているのである。