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PS5 Proなぜ12万円の強気設定 過去の“教訓”から考えるゲーム機の適正価格は #専門家のまとめ

河村鳴紘サブカル専門ライター
公式動画「PS5テクニカルプレゼンテーション」で公開された「PS5 Pro」

 ソニーの家庭用ゲーム機「PS5 Pro」が11月7日に11万9980円で発売されると発表されました。約12万円という、従来のゲーム機では考えられない強気の価格設定に、SNSなどネットで話題になりました。そこで「ゲーム機の適正価格」について考えるわけですが、かつて市場動向に合わせて“値下げ”をした二つのゲーム機について振り返ります。

ココがポイント

PS3向けの(中略)「600万台」の公約を死守するためとはいえ,1万2000円を超える値下げは思い切った判断だ。
出典:日経エレクトロニクス 2006/9/22(金)

従来の(中略)(PS3)より1万円安い新型PS3(中略)を発売する。(中略)不満に応えた形だが、一方でPS2のソフトとの互換機能を外してしまった。
出典:J-CAST 2007/10/10(水)

発売されてから5ヶ月しか経過していないにもかかわらず、(中略)任天堂がニンテンドー3DSを1万円値下げとなる1万5000円で販売
出典:GIGAZINE 2011/8/2(火)

3DSという名前が示す通り、裸眼立体視の機能は3DSのアイデンティティとも言うべき機能です。3DSから3Dを削るなんて、随分と大胆
出典:All About 2013/8/31(土)

エキスパートの補足・見解

 家庭用ゲーム機の適正価格は、判断の難しい問題です。売れ行きに影響するものの、安すぎると経営に悪影響を及ぼすためです。そしてゲームファン視点の適正価格は「レートは考慮しない。可能な限り安く」となりがちです。

 PS3と3DSは共通点があります。発売前から「高い」と指摘されたこと、後に一部の機能を削った安価なモデルを出したこと、値下げで巻き返したものの経営面で苦しんだことなどです。両機の結果を踏まえると、円安というレートの問題があったにせよ、PS5 Proが「安売りをしない」戦略を取るのも選択の一つです。

 PS5 Proは、既に5600万台以上売ったPS5の強化版で、PS3や3DSと状況は異なります。世界的なインフレもそうですし、ソフトの数は質量とも充実。さらにソニーは、デジタル販売や追加コンテンツの売上高比率が高く、自社のソフトを、PCにも展開する戦略を取っています。

 ポイントは二つあり、まずPS5とPS5 Proがどれだけ売れるのか。もう一つは企業の業績です。ゲーム機の価格を押し上げることができるのか。ある種の“実験”で、関係者の注目を集めています。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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