「未婚の母」による出生率の実情をさぐる(2021年公開版)
日本の非嫡出子率は約2%
「結婚していない女性により出生した子供」を「嫡出でない子」「婚外子」「非嫡出子」と呼ぶ。アメリカ合衆国など一部先進諸国において出生率が高いのは、非嫡出子が多いのが一因。日本では非嫡出子はどれぐらいいるのか、その実情を厚生労働省の人口動態調査による人口動態統計を用いて確認する。
次に示すのは出生総数に占める、嫡出でない子の割合の動向。例えば直近2019年は2.33%とあるので、2019年に生まれた子供全体のうち2.33%は非嫡出子となる。
非嫡出子に関するデータが収録開始された直後の1947年からしばらくは戦後の混乱期という事情もあり、嫡出でない子の比率は(日本としては)極めて高く4%近くに達していた。その後1975~1980年の高度成長期までは低下を続け、その後再び増加を見せる。このタイミングは高度成長期であるとともに日本の人口関連の数字におけるターニングポイントでもあり、非常に興味深い動きといえる。
直近の2019年においては非嫡出子率は2.33%。元のデータによれば嫡出子86万5239人、嫡出でない子は2万0171人。
諸外国の状況は
出生率の増減のカギを握る、出生全体における「嫡出でない子」の比率は、日本では極めて小さいことが確認できた。また今件記事のきっかけとなったアメリカ合衆国では特に、ヒスパニック系の人たちをはじめとした非白人の割合が高いことが確認できている。
これはアメリカ合衆国(をはじめとした諸外国)では「結婚しないまま子供を出産する」(非嫡出子)事象が社会的・文化的に容認されつつあること、国や社会全体が支援する仕組みを構築している(あるいは個人の「何とかなるだろう」との楽観的な考え方、「そうせざるを得ない」との悲観的状況の増加など)が要因。この非嫡出子の増加が出生率そのものを押し上げている。
それでは日本とアメリカ合衆国以外の状況はどうなのだろうか。OECDが公開しているデータベースOECD.statから、調査対象国における「その年の総出生者のうち結婚していない人による出生者数比率」、つまり非嫡出子比率を抽出した結果が次のグラフ。
収録国に関してやや偏りがあり、アジア方面の値がほとんど収録されていないことから、アメリカ合衆国の実情から推測できる「社会的、文化的特性から、太平洋・アジア文化圏では非嫡出子が容認されにくい環境にあり、結果として値も低くなる」との仮説の裏付けがし難いものとなっているのが残念。
それはさておくとしても、日本は諸外国と比べて非嫡出子の比率が極めて低い、見方を変えれば子供を持つことが結婚とほぼ同義である実情が把握できよう。
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