NY金12日:続落、ETF売り加速を嫌気
COMEX金12月限 前日比3.90ドル安
始値 1,085.40ドル
高値 1,089.00ドル
安値 1,073.00ドル
終値 1,081.00ドル
引き続き米利上げに対して強い警戒感が見られる中、続落した。
アジアタイムは1,090ドルを若干下回る値位置で揉み合う展開になったが、欧州タイム入り後はじり安の展開になり、ニューヨークタイム入りと前後して一気に1,073.00ドルまで急落した。7月24日の1,072.30ドルを割り込むには至らなかったが、下値切り下げ傾向を維持している。ただ、その後はドル安連動で下げ幅を縮小する動きが強まり、下げ幅を削って引けている。
金上場投資信託(ETF)市場からの資金流出傾向が加速していることが、マーケットの注目を集めている。11月10日時点では8営業日連続で売り越しになっており、当該期間だけで33.71トンもの売却超過になっている。金相場は急落しているものの特に値ごろ買いといった動きはみられず、逆に中長期投資家が金ETFの保有を警戒していることが窺える状況にある。インドでは需要期に突入しており、最近ではアジアタイムに一定のリバウンド力も観測され始めている。しかし、欧米投資家が大規模な金ETF売却を進める中、なお現物需給要因で金相場が下げ止まるのは困難な状況になっている。
シカゴ連銀のエバンス総裁は、毎回0.25ポイントよりも遅い金利軌道を支持すると発言している。引き続き利上げ着手に前向きな発言は行っていないが、従来のような明確な反対発言は聞かれなかった。焦点は、利上げ着手の阻止よりも、利上げペースの抑制にシフトしていることが窺える状況にある。ニューヨーク連銀ダドリー総裁も、米利上げが近く必要になる可能性は十分にあると発言している。12月利上げの是非については明言を避けたが、米金融当局内で利上げ着手の方向性を支持ないしは反対しないムードが高まっていることが再確認できる。
新規失業保険申請件数は前週の27.6万件と同水準で、特に材料視されていない。明日の10月小売売上高の結果なども注目されるが、余程のネガティブな指標が出てこない限りは、米利上げ着手に対する警戒感を後退させるのは難しいとみている。なお12月利上げ着手の確率を更に織り込む余地は残されており、今後は断続的な利上げサイクル入りの流れを織り込むことも要求される。本日は年初来安値更新に失敗したが、なお現物需給要因からの下げ止まりを打診する動きも鈍いことを考慮すれば、年初来安値1,072.30ドル割れからの一段安を打診する流れは維持されよう。