台湾市民の7割が同性婚を支持
同性同士の結婚の是非を巡って議論がくすぶる日本だが、5年前、アジアで初めて同性婚を合法化した台湾では、市民の7割近くが同性婚を支持しているという世論調査の結果が出た。
同性婚の支持はどう変化?
台湾で同性カップルの結婚が合法化されたのは5年前。2019年5月、台湾の国会に当たる立法院が同性カップルの婚姻登記を認める法律を可決。同法は5月24日より施行され、アジアで初めて同性婚が合法化された。
同性婚の合法化から5年となるのを前に、台湾行政院が満20歳以上の市民を対象に行った性の平等に関する世論調査の結果を発表した。調査は今年4月下旬に電話で行われた。
それによれば、「同性カップルが合法的な結婚の権利を享受すべき」という考えに同意する人は69.1%、同意しない人は30.1%だった。
合法化前の2018年の調査では、同意する人は37.4%に留まっていた。その割合は、この5年間で大幅に増加したと言える。同性婚が、合法化されたことによって社会的に一層許容されるようになったという側面もありそうだ。
また「同性の配偶者が養子をもらう権利はあるべき」という考えについては、76.9%が同意、22.7%が同意しないと答えた。
同性婚は伝統的な家族を破壊するのか?
日本で同性婚の問題が議論される際に、「伝統的な家族の形にそぐわない」論の類を反対の論拠とする向きもある。
この調査では「同性カップルの結婚が家庭制度と倫理を破壊する」という意見について、同意すると答えた人は35.2%に留まり、同意しない人は63.3%に上った。日本の議論でも参考にしてもらいたい結果である。
同性婚の合法化は、性を巡る台湾社会の内なる要求をきちんと受け止めたという点と同時に、国際社会に対し、台湾が多様性を尊重する政治・社会体制を持つ、民主主義グループの一員というイメージを与えた点でも大きかった。
台湾では今月20日、総統を8年間務めた蔡英文氏が退任し、後任の頼清徳氏が新総統に就任する。同性婚の合法化は、蔡英文政権が台湾に残した大きな功績の一つとして捉えられている。