くら寿司の寿司カバー特許について
回転寿司店での不潔な行為を動画に撮ってネットで公開する反社会的行為が話題になっています。寿司店にとっての被害は膨大なものと思われます(実際株価低下により時価総額170億円程度の被害があったそうです)。
湯飲みや箸は入店時に店員が渡す、醤油・緑茶粉・ショウガは小分け袋にしてやはり入店時に店員が渡すようなプロセスにすることでこの種の行為を防止すると共に、一般客への安心感を与えることができるのではと思いますが、回っている寿司の対策は困ります。
大手回転寿司チェーンの中では、くら寿司だけが寿司のカバーを備えた皿を使っていると思います(他にも簡易的なカバーを使っているチェーンもあるかもしれません)。このシステムは、コロナ対策として、くら寿司も強くアピールしていますが、バカッター対策としても有効なものと思われます(皿をレーンに戻すような行為については別途対策が必要ですが)。
実は、この寿司カバーはくら寿司(株式会社くらコーポレーション)が特許(5416288号)を取得しています(「飲食物搬送用収容体」というものものしい名称が付けられています)。PCT経由で国際出願されており、米国等でも権利化されています。
他社は同じような仕組みを実施できないのでしょうか?この特許の権利範囲は以下のようになっています。
大雑把に言うと、皿を載せるとカバーが閉まり、皿を取るとカバーが開くような仕組みになっていることがポイントになっています(タイトル画像参照)。特許権の回避可能性については、一般的には語れないですが、単に独立した蓋を手で載っけるような形態であれば、この特許権は回避できそうな気がします。とは言え、利便性と安全性の点でくら寿司方式に明らかな優位性があるでしょう。
回転寿司チェーンの中でもくら寿司は特許に関してかなり積極的であり、今までの特許出願件数は合計100件以上に及びます(たとえば、皿を返却することでクジが引ける「ビッくらポン!」も特許化されています)。なかなか自社からはアピールしにくいと思いますが、思いがけない事象により特許による差別化が発揮できそうな事例かと思います。