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【御茶ノ水】職人技が光るあめ細工のパフェが絶品!創業70年老舗ホテル併設カフェ

なかくきくみこカフェライター

はじめまして。私はカフェ専門ライターをしている、なかくき くみこと申します。この度「大人のための東京カフェ案内」と題し、私が実際に足を運んだ1,500軒以上のお店の中から、大人の皆さんが心から満足できるような素敵なカフェを紹介していくことになりました。

第一回は私自身もとても気に入っているお店で、伝統的でありながらも革新的なデザートを作り出している、山の上ホテル内にある「コーヒーパーラー ヒルトップ」を紹介します。

創業当時から多くの文化人に愛されてきた「山の上ホテル」

JR御茶ノ水駅から徒歩5分、神田駿河台の小高い丘の上に立つ「山の上ホテル」。

1937年に建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズによって設計されたアール・デコ調の建物は、戦時中に帝国海軍の宿舎として利用された時代などを経て、1954年にホテルとして開業しました。

昭和の時代には川端康成や三島由紀夫、池波正太郎などの文豪が好んで通い、多くの作家たちからいわゆる「カンヅメ」をして作品を執筆する宿として利用されていた、文化人とゆかりの深いホテルです。

2019年には建物を大幅にリニューアルし、じゅうたんの下に眠っていたテラゾー床を復活させたり、階段のタイルを当時の設計図通りに作り直したりするなど、竣工当時の姿を復元しました。

立体的な塔の外観や、天井や床の意匠、螺旋階段など、ホテルの至る所にアール・デコの特色を見ることができます。階段に使われているフロアサインも、図面に残っていたものを再現したものだそう。

最上階である5階から階下を見下ろすと、螺旋階段に沿う流線形の手すりが印象的です。

逆に、地下1階から上階を見上げると、高い天井に配された一枚のステンドガラスも、趣があって素敵なのです。訪れた際はどうぞ眺めてみて。

とっておきのデザートが楽しめる「コーヒーパーラー ヒルトップ」

「山の上ホテル」は創業以来、食にも力を入れており、建物内には天ぷら店やフレンチ、中国料理店など7つのホテル直営の飲食店がありますが、今回ご紹介するのはその中のひとつ「コーヒーパーラー ヒルトップ」。

レトロな趣のタイルや壁紙、オリジナルで製作した上質な家具、小花をたくさんあしらったシャンデリアなどが配された、心地よい空間のカフェです。

店舗は地下1階にあるのですが、ホテル自体が坂の上に建っているため、陽光がたっぷりと射し込む開放感ある造りになっています。

同店によく訪れていた食通でも知られる作家、池波正太郎の絵画も。

創業当時のメニューを復刻した、特別なプリンアラモード

「コーヒーパーラー ヒルトップ」にはとっておきのデザートが数々用意されていますが、なかでも特に注目したいのは、創業当時のメニューを復刻した「山の上ホテルの プリンアラモード」(2,000円)。

中央にあるのは昔懐かしい固めのプリン…、なのですが、これがひとくち食べてビックリ! 濃厚でコクがあるのに雑味がなく、生地はぎゅぎゅっと凝縮されているのに食感はとってもなめらか。

美味しさの秘密をペストリー担当シェフの安﨑正平さんに伺うと、「濃厚で旨味を出すために卵黄をたくさん使っています。

プリンは卵白の成分で固めるのですが、卵白が多いと臭みが気になる方もいるのでなるべく少なくしています。その代わり1時間じっくり低温で焼き上げることで、昔懐かしい固さに仕上げました」と教えてくれました。

実は復刻と言っても、昔のレシピをそのまま再現するのではなく、今の時代の私たちが食べても心踊るような味わいと見た目に変化させているのですね。

「昔そのままの作り方だと甘すぎたり重すぎたりするので、今の人が食べても美味しいと感じてもらえるように、甘さは控えめで軽く仕上げるようにしています」と、安﨑シェフ。

プリンに添えられたバニラアイスは、さっぱりとしていながらも爽やかなバニラの香りが口の中に優しく残ります。

これはシェフのアイデアで、バニラアイスを作る際は一般的にバニラの種を使用しますが、同店では種だけではなくさやごと砕いたペーストを加えているのだそうです。

プリンやアイスを取り囲むように、最大限に甘くなるまで追熟させたフルーツと、気品あるスワンシューが華を添えます。

ここでしか味わえない、あめ細工の技術が光る「デコポンのパフェ」

季節のフルーツを使用したデザートも目が離せません。今春のシーズンに楽しめるのは数量限定で提供している「デコポンのパフェ」(2,500円。5/31までの提供)。

パフェの一番上に置かれた、つやつやと輝いて見えるのはデコポン型のあめ細工。表面のボコボコした感じや左右対称でない形がまるで本物のデコポンのよう。シェフに尋ねると、なんと本物のデコポンを使いシリコンで型から作り上げたのだとか...!

実はこちらの安﨑シェフ、四ツ谷の「オテル・ドゥ・ミクニ」で下積みを経験したのち、六本木の「キャンティ」でシェフパティシエなどを務め、現在は「山の上ホテル」でホテル全体のペストリーの統括をしています。

なかでもあめ細工を得意とし、これまでコンテストでは幾度となく賞に輝いた腕の持ち主なのです。

デコポン型のあめ細工はとても薄いので、スプーンでコンコンと割るか、手で持ち上げると、中からすりおろした皮をたっぷり使用したデコポンシャーベットと、爽やかな味わいのフロマージュブランのシャーベットが登場します。

その下にはデコポンの果実や、デコポンのジュレ、デコポンのマルムラード(マーマレード)など、デコポンスイーツのオンパレード!

デコポンスイーツの間に、カスタードクリームや生クリーム、自家製グラノーラなどが重ねられているので、最後のひとくちまで飽きない構成になっています。

12時間以上かけて水出しで抽出し、一晩寝かせてから提供する「ストロングコーヒー」(1,100円)も、同店の定番商品。

コロンビアをベースとした深煎りのブレンド豆を使用しており、コクと苦味が堪能できます。

ちなみに、コーヒーに使われるカップ&ソーサーや、ケーキ用のうつわは統一しておらず、ヘレンドやリモージュ、リチャードジノリなど様々なブランドのものが使用されています。

それはホテルの創業者の奥さまが気に入ったうつわを見つけては店舗用に購入し使用していたという、当時の名残なのだとか。訪れるたびに異なるうつわと出会えるのも、楽しみのひとつ。

同店は週末は混み合う日も多いそうですが、17時以降であれば電話または公式サイト(外部リンク)から席の予約が可能です。

歴史と伝統を守るホテル内にあるカフェでありながら、リラックスして過ごせる「コーヒーパーラー ヒルトップ」。とっておきのデザートが楽しみたい気分の時はぜひ足を運んでみてくださいね。

【店舗情報】

店名/コーヒーパーラー ヒルトップ

住所/東京都千代田区神田駿河台1丁目1番地 山の上ホテル B1F

公式サイト/https://www.yamanoue-hotel.co.jp(外部リンク)

アクセス/JR総武線、中央線 御茶ノ水駅から徒歩5分

定休日/無休

営業時間/11時30分〜21時(L.O.20時)

※新型コロナウイルス感染症対策により店舗の休業や営業時間の変更など、掲載内容と異なる場合があります。訪問される前に最新情報をご確認されることをおすすめします。

※取材ではコーヒーパーラーヒルトップ様のご協力により商品を無償で提供頂きました。本記事制作にあたってはガイドラインに基づき公平中立に制作しています。

本連載「大人のための東京カフェ案内」では、今後もカフェライターなかくき くみこが心からおすすめする魅力的なカフェを紹介していきます。ご興味のある方はぜひプロフィールからフォローをして頂けるとうれしいです。日々のカフェ巡りはインスタグラム(外部リンク)やツイッター(外部リンク)に投稿しています。

カフェライター

カフェ専門のライターとして、雑誌やWEBで取材記事を執筆。都内を中心に1,600軒以上のカフェを訪問。各メディアにおいて空間・おいしさ・居心地の三拍子揃った「大人が心地よく過ごせるカフェ」を主に紹介している。2024年11月に著書が出版される予定。プライベートでは中学生男子の母で東京郊外在住、身長147cm、性格はのんびり屋。日々のカフェ巡りはinstagramで更新中。仕事実績:リンネル、タイムアウト東京、偏愛東京、CafeSnap、るるぶ&more.、レッツエンジョイ東京、書籍や雑誌にて取材協力、ラジオ出演、新聞掲載、他

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