PGAツアー会長、リブゴルフへの対抗心に溢れた大改革を発表。史上初「支度金」「予選落ち手当て」支給!
PGAツアーが来季からの「本気の大改革」を発表した。
ジェイ・モナハン会長は8月24日(米国時間)、プレーオフ・シリーズ最終戦、ツアー選手権の会場である米ジョージア州アトランタ郊外のイーストレイクで会見を開き、これまではまったく見られなかった新たな施策を含む大改革を発表した。
「今日のヘッドラインは、これだ」とモナハン会長が開口一番、伝えたのは、来季から「トッププレーヤーの年間義務試合数が20試合になる」という変更だった。
現行制度では、PGAツアー・メンバーの義務試合数は15試合で、この数字は一般メンバーは来季からも変わらない。だが、来季からは「トッププレーヤー」のみ、義務試合数が20試合に引き上げられる。
これは、選手会を代表するローリー・マキロイらが上げた「ファンが期待しているのは、トッププレーヤーが集結している大会だ」という声が反映された改革である。
この声にこたえるべく、PGAツアーは来季からジェネシス招待やアーノルド・パーマー招待、メモリアル・トーナメント、プレーオフ・シリーズ3試合など12試合を賞金2000万ドル級に格上げする。プレーヤーズ選手権は2500万ドルへ引き上げられ、メジャー4大会、新設される3大会などを加えると、トッププレーヤーが必ず出場すべき試合数は「20」になるという仕掛けだ。
「トッププレーヤー」とは、選手の人気度や露出度に応じてボーナスを支給する現行のPIP(プレーヤー・インパクト・プログラム)のトップ20と来季から変更される新たなPIPのトップ20と定義されている。要は、強いだけではなく、人気も伴ってこそのトッププレーヤーという考え方だ。
現行PIPは、各種メディアやSNSにおける露出度などを数値化したQスコアでランク付けされているが、新PIPはQスコアを廃止し、ファンによる認知度を新たな指標とするという。
そして、現行のPIPはトップ10にのみボーナスを支給しているが、来季からはトップ20へ拡大され、ボーナス総額は5000万ドルから1億ドルへ倍増され、優勝者は1500万ドルを得る。
PGAツアー史上初となる施策は、PGAツアー・メンバーになった選手に50万ドル(約6850万円)が支給されること。これは、高額な経費がかかるツアー転戦のための「支度金」という考え方に基づき、ルーキー選手やシード落ちからの返り咲き選手を経済面から支援するためのものだ。
さらに、フルシード選手ではないメンバー選手には、予選落ちしても5000ドル(約68万円)が「予選落ち手当て」という意味合いで支給される。これも、最低限の出費分が賄えるようにという考慮から新設される施策だ。
モナハン会長いわく、「選手もファンも、成長し続けるPGAツアーとともに歩みたいと思ってくれているはず」。そう信じて作り上げた大改革だそうだ。
米メディアから「リブゴルフへ移った選手たちのメンバー資格停止処分を取り消すつもりは?」と問われたらモナハン会長は「ノーだ」と即答。
「選手には戦う場を選ぶ権利があり、私はその権利をリスペクトしている。そして彼らはリブゴルフを選んだのだ」
PGAツアーがリブゴルフと協調路線を歩む可能性は無いということ。そして、リブゴルフに対抗する姿勢を一層強める新生PGAツアーが来季から始まろうとしている。