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令和でバズっている「ひとり温泉旅」、はずさない秘訣とは?

植竹深雪温泉専門家/温泉ジャーナリスト
鶴の湯温泉入口

温泉ジャーナリストの植竹深雪です。


コロナ禍以降、ひとりで温泉に出かけてみたいという人が増えています。

「ひとり温泉旅をしてみたいけど、なかなかはじめの一歩が踏み出せない」という方に、ぜひ熱海や箱根といったにぎやかな温泉地ではなく、田舎の素朴な湯治場やこぢんまりとした温泉地の宿を、デビュー時にはオススメしたいのです。

誰でも初めてのひとり旅はやはり緊張するし、不安もあります。だからこそ、いい思い出として残る旅がしたいもの。

ひとり客を温かく迎えてくれるところ、ひとり旅プランがあるところは「失敗したな」と思うことなく、ポジティブなイメージが残りやすいです。

ここで成功体験をすることこそが、次回のひとり温泉旅につながるのだと思います。

あ、意外とひとりでいけるかも!

私が初めて温泉旅をしたのは、秋田県仙北市にある「乳頭温泉郷 鶴の湯温泉」です。

ここは、予約がなかなかとれない人気宿。行く前までは不安もありましたが、いざ行ってみると宿泊者限定の浴槽もあり、さまざまな泉質の温泉を出たり入ったりしていたら結構忙しくて・・・チェックアウトまでの時間がものすごく早く感じました。

今考えると、ここは食事処に仕切りがなく、個室ではなかったので、デビュー戦としては少しハードルが高めだったかもしれません。食事が部屋食ではなく、みんなが集う食事処だと、どうしてもほかのお客さんの視線が気になってしまって緊張してしまいます。

でも鶴の湯温泉の場合それは初めだけ。秋田弁バリバリの男性スタッフさんの接客が楽しくて、気がつけば緊張がほどけ、ほかのお客さんの視線が気にならなくなっていました。

あ、意外とひとりでいけるものだなあと。

鶴の湯温泉名物 山の芋鍋
鶴の湯温泉名物 山の芋鍋

そして、鶴の湯温泉の名物料理「山の芋鍋」が、一度食べたら忘れられないくらいおいしく、しっかり胃袋も掴まれました。

きのこと山の芋を擦って団子状にまとめた芋団子と、味噌仕立ての汁の滋味深い鍋にほっこり癒される。お腹が満たされ、幸せな気持ちで部屋に戻ると、しばしゴロゴロ。

うたた寝して、目が覚めたらまた温泉へ・・・

夜、ぼんやり星を眺めながら、乳白色のにごり湯や新鮮な温泉を五感をとぎすませてじっくり味わい尽くせるのが最高で、自由きままっていいものだなあと、ひとり温泉旅でしか味わえない魅力を実感しました。

「ひとり旅プラン」は要チェック

幻想的な夜の鶴の湯温泉 本陣
幻想的な夜の鶴の湯温泉 本陣

これまで数多の温泉旅館に投宿してきて思う、ひとり温泉旅デビュー時にチェックしておきたいポイントをお伝えします。

・客室数が10室以下の小宿

・ひとり旅プランを出しているところ

・温泉や食事が素晴らしいとクチコミ高評価の温泉宿

・人気温泉ランキングの上位を占める、にぎやかな温泉地を選ばないこと

やはりこれまでの経験上、空室を埋めたいがために直前でひとり泊を受け入れる宿より、普段からひとり旅プランを出しているところは、実際に訪れたときよりも終始丁寧におもてなしをしてくださるところが多く、気持ちいい湯旅時間を過ごすことができました。

このほか、ほどけるようなぬる湯が至福で、地元で旬の野菜をふんだんに使った料理がおいしい、新潟県にある「栃尾又温泉 宝巌堂」。モール泉に癒され、主人の人柄のよさを感じた、宮城県にある「川渡温泉 山ふところの宿みやま」も、ひとり旅デビューにオススメしたい温泉宿です。

この記事は、2024年12月13日に発売された自著 おとな「ひとり温泉旅」のススメ(外部リンク 三笠書房)から抜粋、転載しています。

温泉専門家/温泉ジャーナリスト

現役アナウンサーで温泉専門家|温泉ライター|温泉の持つ湯力や美肌力等に魅せられ、国内外3500湯以上1500泊以上ほぼ自費で宿泊するほど大の温泉好き。現地に何度も足を運び、温泉全般、旅館、ご当地グルメなどにおいて温泉施設、旅館経営者や女将さんへ綿密な取材のうえ各メディアに発信。人気情報番組から報道番組コメンテーター、雑誌連載において利用者目線のわかりやすい解説は、各業界からの信頼も厚い。温泉に関する資格多数取得。precious.jpにて連載中。著書『からだがよろこぶ!ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)

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