小中高校生のパソコンとスマートフォンでのインターネットの使い方をさぐる(2020年公開版)
スマートフォンもパソコンも道具の一つでしかなく、それで何をするか、何ができるのかが要には違いない。それぞれで子供達は何をしているのか、その実情を内閣府が2019年4月に報告書を発表した「令和元年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)を基に確認する。
次に示すのは小学生から高校生を対象に、デスクトップパソコン、ノートパソコン、従来型携帯電話、スマートフォンそれぞれでインターネットを利用している人における、その端末による利用内容を示したもの。普段からその目的で利用していると認識した項目に答えてもらっている。「コミュニケーション」とは電子メールやメッセンジャー、ソーシャルメディアなど、他人との意思疎通ができるサービス全般を指す。
パソコンではデスクトップとノートのような形状による違いはあまり生じておらず(ゲームやコミュニケーションなどでデスクトップの方が高めの値が出ている)、従来型携帯電話・スマートフォンとは大きく使われ方が異なる状況が確認できる。また従来型携帯電話とスマートフォンでは差異が大きな項目がほとんどで、機種の性能による利用目的の違いが明確化している。
パソコンでは情報検索や動画視聴がメイン、音楽視聴やゲーム、学習・勉強などがそれに続く。コミュニケーションやニュース(の取得)などはあまり行われていない。一方で従来型携帯電話はコミュニケーションがほとんどで、他項目は押し並べて低め。機能そのものがスマートフォンと比べて低く限定されており、現在のサービスがほとんど対応していないことから、子供達の間では電子メールなどのコミュニケーションに限ったツールとして使われている実情が分かる。あるいはそれこそが、端末を提供する保護者側の思惑なのかもしれない。
他方スマートフォンはコミュニケーションをはじめ、ゲームや動画・音楽視聴、情報検索など利用方法は多様。ニュースの取得や地図・ナビゲーションの活用面でも大いに利用されている。さらに電子書籍も15.2%と高めな値(パソコン以上)が出ているのは注目に値する。
これを全体比で算出したのが次のグラフ。上記が「その端末でインターネットを利用する人における利用実情」であるのに対し、これは全体に占める割合。それぞれその端末でインターネットを利用する人の割合から逆算しており、例えばスマートフォンではコミュニケーションの項目は48.7%とあるので、小中高校生全体の5割近くは、スマートフォンでコミュニケーションをしている形となる。子供達の実態を全体的に見る時に役立つ値といえる。
コミュニケーション以外でも3~4割台が情報検索や音楽視聴、動画視聴、ゲームをスマートフォンで行っている。この現状は、数年前には到底想像も出来なかったに違いない。さらに約2割がスマートフォンでニュースを取得したり地図・ナビゲーションを活用したり、学習や勉強をしている。ノートパソコンによる利用状況も情報検索や動画視聴などでそれなりの値が出ているが、スマートフォンの利用状況の前にはかすんでしまう。
パソコンとスマートフォンで利用傾向が大きく異なるのは、画面の大きさや操作性、機動力の違いによる得手不得手から生じるもの。見方を変えればスマートフォンでメインとなるような機能でインターネットの利用は十分だと考えているからこそ、今の子供達はパソコンの必要性を感じない、距離を置いているのかもしれない。
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※令和元年度青少年のインターネット利用環境実態調査
2020年1月10日から2月14日にかけて、2020年1月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3194人(うちウェブ経由は255人)、保護者は3384人(うちウェブ経由は115人、郵送回収法は41人)。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。