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激震のゴルフ界。PGAツアー撤退のジョンソンら6名、自主撤退はしないミケルソン、笑顔がいつまで続く?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

 ゴルフ界の揺れは、日に日に拡大しつつある。

 グレッグ・ノーマン率いる「リブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズ」で戦うことを選んだケビン・ナがPGAツアーから撤退することを発表したのは6月4日(米国時間)のこと。

 ナに続いて、セルジオ・ガルシア、ルイ・ウエストヘーゼン、チャール・シュワーツェル、ブランデン・グレースもPGAツアー撤退を発表。

 そして今度は、「リブ・ゴルフ」参戦の意思表示をしたばかりのダスティン・ジョンソンが、6月9日からロンドンで開催される同ツアー初戦の開幕前の会見に臨み、ジョンソンもPGAツアーから撤退することを発表した。

「長い時間をかけて考えた結果、PGAツアーから去ることを決めた。でも僕はこれからのことがとても楽しみでドキドキしている。メジャー大会については、出場できるかどうかは、今は僕にはわからないが、彼ら(メジャー大会の主催団体)が(リブ・ゴルフに参戦する)僕たちの出場を許可してくれることを願っている」

 米国を代表して戦う団体戦のライダーカップとプレジデンツカップは、「PGAツアーのメンバーであること」が出場資格に記されているため、PGAツアーから撤退したこの6名の選手はライダーカップとプレジデンツカップには出場できなくなった。

 だが、失うものより得るもののほうが大きく、より一層、魅力的ということなのだろう。会見に臨んだジョンソンの笑顔は、これまで見せたことがないほどの明るい笑顔だった。

【「自ら撤退するつもりはない」ミケルソン】

 一方、「リブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズ」の年間8試合すべてに出場することを6月6日にSNSで発表したフィル・ミケルソンは、初戦のロンドンへ発つ直前に米スポーツ・イラステレイテッド誌の電話取材に応え、ジョンソンら6名とは対照的に、PGAツアーから自主的に撤退するつもりはないことを明かしたという。

 今年2月に公表された自身の発言が大騒動へ発展し、謝罪して公の場から姿を消していたミケルソンは、その間にギャンブルによる借金問題などが報じられ、「精神的に追い詰められている」と噂されていた。

 しかし、同誌の取材に応じたミケルソンの返答ぶりからは、むしろ満足感や幸福感が伝わってきた。

「30年のキャリアで初めて、こんなに長いオフを取ることができ、妻や大切な家族とゆっくり過ごすことができて、とてもリフレッシュできた。以前よりずっとヘルシーになり、幸せな気持ちになっている。仕事と人生のバランスを取ることを、ずっと追い求めてきたけど、そうできる機会をついに得ることができて、とても興奮している」

 PGAツアーで通算45勝を挙げてきたミケルソンは、PGAツアーのメンバーシップを返上するつもりも、自ら去るつもりもないとのこと。

 そして、通算20勝以上の選手に授けられる生涯シードを「今後も活かしたい」と語り、「戦う場所を選ぶことは選手の正当な権利」「生涯シードは僕が勝ちとった権利」と主張。

 「これまで30年、僕はPGAツアーに貢献もしてきた」「生涯シードは残してほしい」と、正直な胸の内を明かした。

 ギャンブルによる借金に関しては「不注意だった。恥ずかしい」とした上で、「(ギャンブル依存症のための)セラピーも数時間、受けた」と明かし、現在の自身と家族の経済状態は良好で問題はないと語ったという。

 今年1月のファーマーズ・インシュアランス・オープン、2月のサウジ・インターナショナルに出場して以降、試合から遠ざかっていたミケルソンは「この数か月、ゴルフクラブにほとんど触ってもいない」。

 4か月ぶりの試合出場となるロンドンでの初戦における自身のゴルフは「さあ、どうなることか?でも、僕は気楽に考えているよ」

 ビッグ大会の開幕直前に語られたミケルソンの言葉が、これほど楽観的で平和的なトーンだったことは、少なくとも私の記憶にはない。

 「リブ・ゴルフ」という新たなツアーで戦うことを決意し、動き出した選手たちは、みな笑顔を輝かせ、喜々としている。

 もちろん、彼らから背を向けられたPGAツアーの怒りや不快感が高まる一方であることは疑いようもない。

 だが、ジョンソンやミケルソンらが発しているハッピー・オーラが、今、心の底から幸せそうに感じられることだけは事実だ。

 その笑顔がいつまで続くのか。答えは、やがてわかるはずである。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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