カップ麺「凄麺」で巡る日本三大ラーメン「札幌」「博多」「喜多方」
「凄麺」で三大ラーメン「札幌」「博多」「喜多方」巡り
今回は、ヤマダイの「凄麺」ブランドのご当地ラーメンカップ麺のうち、日本三大ラーメンと称される「札幌」「博多」「喜多方」の味を再現した、「凄麺 札幌濃厚味噌ラーメン」「凄麺 熟炊き博多とんこつ」「凄麺 喜多方ラーメン」の3品をレビューします。
「凄麺」ブランドでは多くのご当地麺が再現されており、超メジャーなものからマニアックなもの、さらには創作的なものまで計28種類も存在します。今回レビューする3品は日本三大ラーメンと称されるご当地麺で、28種の中でも全国的によく知られる存在です。
特に「札幌」や「博多」は他社にもライバルが多いですが、「凄麺」ブランドは昔から他社に比べて品質の高さの割に安価で製品を供する姿勢を貫いており、昨今のインフレ、値上げのご時世にあって、その姿勢の価値はさらに輝いて映ります。
「凄麺 札幌濃厚味噌ラーメン」
まずは「凄麺 札幌濃厚味噌ラーメン」。札幌味噌ラーメンは、1950年代からの全国的なラーメンブームの礎を築き、ご当地ラーメンとして全国的に知られるようになった元祖と言える存在です。
札幌味噌ラーメンといえばカップ麺では「純すみ系」と呼ばれる「すみれ」「純連」といったお店を頂点とする系統のお店の味がよく再現されており、特にセブン-イレブンで売られている「すみれ」のカップ麺は、「博多一風堂」とともに名店再現計カップ麺と元祖とされています。
人気の札幌ラーメンを再現したカップ麺なので必然的に他社のライバルが多いですが、この商品にはどのような強みがあるのでしょうか。
豚骨ベースの味噌味のスープに、太くて縮れのついたノンフライ麺と、もやし、コーン、ネギといった具が合わせられています。
肉系の具が入っていないのは少し物足りないですが、札幌ラーメンらしくもやしが入っており、麺も黄色くて縮れを持たせ、札幌ラーメンの特徴を再現する意図が窺えます。
カップ麺で多く出回る「純すみ系」の味噌味カップ麺に比べると、ベースの豚骨が太くなく、味噌味の重厚感や油分もおとなしめ。また山椒や生姜といった刺激も控えめで、札幌ラーメンのイメージの割にはライトなスープとなっています。
豚骨や油脂がおとなしい分、味噌自体のコクやニンニクのキレが目立っており、いつもとはまた違った魅力が感じられました。そしてスープがやや赤味を帯びており、一般的な札幌味噌ラーメンに比べてピリ辛なのも特徴的でした。同じ札幌ラーメンでも、「すみれ」などとはまったく異なった味なので、「すみれ」の重厚な味が苦手な場合に良さそう。
「凄麺 熟炊き博多とんこつ」
続いては、博多豚骨ラーメンの味を再現した「凄麺 熟炊き博多とんこつ」。「凄麺」ブランドの中でも古くからラインナップされているロングセラー商品です。
筆者は豚骨ラーメンが大好きで、もう20年近く前の話ですが、この商品(当時は「凄麺 熟炊きとんこつ」)が麺やスープがとてもおいしく、こんなに本格的な豚骨ラーメンがカップ麺で食べられることに驚き、カップ麺を食べるのをライフワークにするきっかけのひとつとなりました。
乳白色で油脂の浮いた豚骨スープに、博多麺らしい極細ストレートのノンフライ麺と、チャーシュー、ネギ、すりごまが合わせられています。
スープは強くはないものの多少のクセがあり、骨の旨みがガッツリ感じられるとともに、醤油のキレが目立ちます。また、こってり系の豚骨スープでよく見られる油の量やニンニクのパンチに頼るような味付けではなく、濃厚でコクのある豚骨の味を前面に出し、具として入っているすりごまやネギの風味で彩りを加えていました。
具は豚骨ラーメンとしてはシンプルにチャーシューとネギ、すりごまの構成で、しっかり量が入っているのも良かったです。
スープも具も素晴らしいですが、博多麺らしい低加水で歯切れのよいストレート形状の麺が、お店と見紛うレベルで本格的です。博多ラーメン店でこの麺が出てきても、少なくともクレームになることはないのではないかと思います。
パツパツと切れる食感は博多麺ならではで、カップ麺でよく用いられる油揚げ麺ではなかなか得難い食感でした。
「凄麺 喜多方ラーメン」
最後に紹介するのは「凄麺 喜多方ラーメン」。福島・会津地方にある喜多方で食べられているご当地ラーメンです。喜多方は人口比でラーメン店の数が多く、朝ラーメンの文化が盛ん。観光資源としてだけではなく地元の人に強く愛される存在です。
この商品は、喜多方ラーメン店の組合である「蔵のまち 喜多方老麺会」の推奨を得ており、押しも押されもしない喜多方ラーメンカップ麺の代表といって良いでしょう。
豚骨をベースに鶏や魚介を加えた醤油味のスープに、平打ちで縮れのついた太めのノンフライ麺と、チャーシュー3枚、ナルト、ネギが合わせられています。
スープは「凄麺」ブランドの中でも屈指のあっさり味で、豚骨ベースにチャーシューの旨みを効かせています。醤油は地元喜多方産の再仕込み醤油を使用し、地元愛を貫きつつあっさりな割に豊潤な醤油の香りが感じられます。
かなりあっさりしているので、普段こってり系の味を好んで食べていたり、カップ麺などのはっきりした味を食べ慣れていると、パンチのなさに最初は戸惑う部分があるかもしれません。食べ進めて口が慣れてくると、あっさりな中で感じられるだしの旨みや醤油のコクが魅力的に感じられてきます。まさにお店で食べる喜多方ラーメンの魅力そのものという印象。
麺は太め平打ちで喜多方ラーメンの麺の形状が再現されていますが、規定の湯戻し時間5分で食べ始めると、やわらかい食感が特徴的な喜多方ラーメンの割には硬くてコシのある食感。徐々にやわらかくなっていく変化を楽しめます。
喜多方ラーメンといえば、名店として全国的に知られる「坂内食堂」や、東京で店舗展開する「喜多方ラーメン坂内」でどんぶりの中で所狭しと並べられる大量のチャーシューを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。筆者も初めて喜多方ラーメンを食べたのはあのチャーシューに釣られてでした。
定価税別255円の商品でお店のようにチャーシューを並べるのは無理がありますが、この商品では小さめながらしっかり肉感のあるチャーシューが3枚入っています。スープや麺へのコストのかけ方を考えると、余計なお世話ですがチャーシュー3枚はメーカーの採算を多少心配してしまうレベルでした。
「凄麺」三大ラーメンはそれぞれ魅力がハッキリ
本格派のスープや麺が特徴的な「博多」、本場の味の魅力そのままの「喜多方」に比べ、「札幌」は多少創作感のある一杯でしたが、3品それぞれに魅力がハッキリしており、魅力的な3品でした。
筆者の個人的見解では、思い出補正も加わって「熟炊き博多とんこつ」のお店さながらの麺やスープを最もオススメしたいですが、「喜多方ラーメン」のカップ麺は希少性が高く、特にあっさり好きな人にオススメしたいです。
「札幌濃厚味噌ラーメン」は既存の「純すみ系」カップ麺だと味の濃さや油の量が重すぎると感じる人に最適解ではないでしょうか。