コネ採用で待遇も抜群。新作映画に出演する、超絶にかわいい猫の正体
映画を見ていて猫が一瞬出てきただけでも心の中で「あっ」と叫び、思わず笑顔になってしまうアナタ。一方で、猫の出番が多い映画では、現場でちゃんとケアされたのかなと余計な心配をしてしまうこともあるのでは。
そんな猫好きの映画ファンに安心してお勧めするのが、1日(金)に日本公開される「ARGYLLE/アーガイル」。マシュー・ヴォーン監督らしい、スタイリッシュで大胆なアクションにあふれるこの映画は、これまでの彼の作品より明るいのが特徴。それはヴォーン監督の狙いで、主要なキャラクターとして猫を出そうと思いついたのも、そのためだったとのこと。
アルフィーという名のそのスコティッシュ・フォールドは、ブライス・ダラス・ハワード演じる主人公エリー・コンウェイの飼い猫。スパイ小説で知られる売れっ子作家のエリーは(‘アーガイル’は、彼女が書く小説の主人公の名前)、アルフィーを連れて電車に乗っている時に思わぬ危険に巻き込まれ、本物のスパイを名乗るエイダンという男性(サム・ロックウェル)に救われる。エイダンはエリーとアルフィーをロンドンに連れて行くのだが、そこでエリーはとんでもない事実を発見することになる。
「キングスマン」でちょっとしたメンズファッションのトレンドも作ったヴォーン監督らしく、エリーが旅に同行させるアルフィーを入れるキャリーバッグは、アーガイル柄のおしゃれなバックパック。うちの猫もあんな素敵なバックパックであちこちに連れていけたらと羨ましくなってしまうのと同時に(現実的に、筆者の猫は2匹とも人見知りで外が嫌いなのと、男の子のほうは体が大きくて絶対にあれには入らないのだが)、人間の目には優しくても入れられる猫にとっては窮屈だったのではないかと不安になってしまう。
でも、大丈夫。実は、あの猫の正体は、ヴォーン監督の愛猫なのだ。正確にいうと、ヴォーン監督の妻でモデルのクラウディア・シファーが、娘さんにプレゼントしてあげた猫。本名はチップ。ヴォーン監督は、最初、“俳優”の猫を起用したのだが、気に入らなかった上、費用が高額で、1日でクビにしたのだそう。帰宅してから娘さんの部屋に行き、3ヶ月間、チップを借りてもいいかと聞いたのだという。
そうやって“コネ採用”で現場にやってきたチップの待遇は、快適。毎日の“出勤”は、パパであるヴォーン監督が直々に運転する車で。休憩時間にはヴォーン監督のトレーラーでくつろぎ、撮影の合間にもしょっちゅう抱っこしてもらっていたようだ。チップとのシーンが最も多いハワードは、「もしチップに何かあったらマシューは家族から殺されるから」と、ヴォーン監督のチップへの気遣いについて語っている。
かわいい“わが子”に出てもらったとあって、見せ場もちゃんと用意されている。映画の途中でしばらく出なくなるのだが、もちろん、ヴォーン監督は忘れているわけではない。猫に対する冷たいせりふにむっとさせられることもあるが、そこも大丈夫なのでご安心を。クライマックスのチップのシーンは、この映画に数ある名場面の中でも、痛快で心に残るもののひとつ。ヴォーン監督は「チップはこの映画で彼が運命づけられたとおりの映画スターになった」と誇らしげにコメントしている。
そんなチップは、あのアーガイル柄のバックパックに入ってプレミアにも出席。背負ってくれたのは、ママで映画のプロデューサーでもあるシファーだ。カメラのフラッシュにも動じないところにも、映画スターの資質と貫禄を感じさせる。そのナチュラルな才能とかわいらしさを、ぜひビッグスクリーンで堪能してほしい。
写真/Universal Pictures